WANDSの柴崎浩が2024年のツアーで使用した、デジタル・サウンド・システム WANDSの柴崎浩が2024年のツアーで使用した、デジタル・サウンド・システム

WANDSの柴崎浩が2024年のツアーで使用した、デジタル・サウンド・システム

2024年6月下旬から7月上旬にかけて、第5期のWANDS(2019年〜)としては初となる東名阪ホール・ツアー“WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~”が開催された。実際にツアーで使用された柴崎浩(g)のサウンド・システムを解説していこう。柴崎のサウンドを目指しているギタリストへ、本人からのアドバイスも貰ったので、ぜひ最後まで読んでみてほしい。

取材・文=原田右恭 機材写真=小原啓樹

Fractal Audio Systems
Axe-Fx III

Fractal Audio Systems / Axe-Fx III
ペダルボード

SCENEを活用してスムーズに音色を切り替え

【Equipment List】
①Shure / UR4D+(ワイヤレス受信機)
②Fractal Audio Systems / Axe-Fx III(マルチ・プロセッサー)
③Fractal Audio Systems / FC-12(専用フット・コントローラー)
④BOSS / FV-500H(ボリューム・ペダル)
⑤Fractal Audio Systems / EV-1 Black(エクスプレッション・ペダル)
⑥KORG / DTR-1(チューナー)

ステージ後方に置かれたラック・システムと、柴崎の足下に置かれたボードから見ていこう。WANDSでの柴崎のサウンド・メイクは、ラック内にセットされている②Axe-Fx Ⅲの1台でシンプルに完結。

ギターからの信号の流れは、ギターに取り付けられたワイヤレスの子機から①UR4D+へ入り、そのまま②Axe-Fx Ⅲにイン。本機のOUTPUT1からLRでPA卓に送られていた。なお②Axe-Fx Ⅲはマニピュレーターが操作するシーケンサーとMIDI接続でリンクされており、楽曲に合わせて演奏中に自動で音色が切り替わる設定になっている。

③FC-12は②Axe-Fx Ⅲを足で操作するためのもので、XLR ケーブルを使ったFASLINK Ⅱシステムにて信号を送受信させている。前述のとおり②Axe-Fx Ⅲの音色は自動的に切り替わるが、③FC-12は柴崎のその時の判断でプリセットを切り替えるために使っているとのこと。

④FV-500Hと⑤EV-1 Blackは、③FC-12のエクスプレッションに接続。⑥DTR-1は、②Axe-Fx IIIのOUTPUT3から出たドライのモノラル信号がマニピュレーターを経由し、本機に入力されていた。

Fractal Audio Systems / FC-12

③FC-12のセッティングを見ていこう。柴崎は共通したプリセットの音色を、②Axe-Fx ⅢのSCENE機能を使って操作。足でスイッチングしやすいように、手前の6つのスイッチにSCENEを並べていた。左上にある青いLEDが目印の2つのスイッチには、その時に演奏している楽曲の前後のセットリストのプリセットが表示される(撮影時には「Jumpin’ Jack Boy」と「MILLION MILES AWAY」がアサインされていた)。

次に、②Axe-Fx Ⅲ内での音作りについて詳しく見ていこう。今回、柴崎から本ツアーで使用したプリセットの1つ「世界が終るまでは…」のAXE-EDITのスクリーン・ショットを提供してもらったので、その一部を掲載する。ぜひ参考にしてほしい。

「世界が終るまでは…」のAXE-EDITのスクリーン・ショットその1
イントロのリズム・セクションで使用されたSCENE。アンプはCA3+ Rhythmを選択。
「世界が終るまでは…」のAXE-EDITのスクリーン・ショットその2
イントロのリズム・セクションで使用でされたSCENE。キャビネットIRは4×12 Brit 70s GB 421 Gと4×12 5153 57 Cが選択されていた。
「世界が終るまでは…」のAXE-EDITのスクリーン・ショットその3
リード・フレーズで使用されたSCENE。アンプはCA3+ Leadを選択。
「世界が終るまでは…」のAXE-EDITのスクリーン・ショットその4
リード・フレーズで使用されたSCENE。キャビネットIRはTaco Soundsが販売している外部IR、412 MARS 1960A L-Grill Originalが選択されていた。
「世界が終るまでは…」のAXE-EDITのスクリーン・ショットその5
バッキングで使用されたSCENE。アンプは5153 100W Redを選択。イントロ時に比べて、トレブルの成分が若干増えており、ブーミーなセッティングとなっていた。
「世界が終るまでは…」のAXE-EDITのスクリーン・ショットその6
バッキングで使用されたSCENE。キャビネットは4×12 Brit 70s GB 421 Gと4×12 5153 57 Cが選択されていた。

前提として柴崎がメインの歪みとして使っているアンプ・タイプは、おもに2種類。基本的にはバッキングで5153を使用し、リードではCA3+を使用しているとのこと。ちなみに、5153はEVHの5150Ⅲを、CA3+はCustom Audio Amplifiersの3+ SE Preampをモデリングしたものとされている。

一例ではあるが、「世界が終るまでは…」のプリセットでは、リズム・ギターのセクションでCA3+ Rhythmと5153 100W Red、リード・ギターのセクションではCA3+ Leadを使用。キャビネットIRはTaco Soundsが販売しているものなど外部IRを織り交ぜながら、幅広く使用していた。

クリーン系のサウンドはCAE、Soldano、フェンダー、VOX、BognerのShivaなど、楽曲ごとに選んで使用しているようだ。

Fractal Audio Systems
FM3

Fractal Audio Systems / FM3

バックアップ用にラック・ケース上に置かれていた、Fractal Audio SystemsのFM3。基本的に②Axe-Fx Ⅲと同じバンク内容で、②Axe-Fx Ⅲに何か問題が起きた時は、このFM3につなぎかえるとのこと。

Tips

Axe-Fx Ⅲのキャビネット・シミュレーターを
全部鳴らして聴きました(笑)。

柴崎さんのサウンドを目指しているギタマガWEB読者に向けて、サウンドメイクのポイントを教えて下さい。

まずは自分のギターの鳴り方をチェックすると良いと思います。僕の場合は“このくらい弾いたら、これくらいアンプに信号が伝わるよな、これくら出力されるよな”という鳴りの基準があるんですよ。そのうえで、弦高やネックの反りを調整するというのが基本です。

その後は、自分のピッキングや弾き方と、アンプのセッティングの照らし合わせ、という感じですかね。弾き手として、自分の出したい音のイメージができているか否かが凄く重要だと思ってます。頭の中の出したい音を再現していくのが流れですね。

慣れないうちは、ギター単体で作った音がアンサンブルの中や客席でどんな風に聴こえるかが一致しないと思うんですけど、現場でのトライ&エラーを重ねるべきで、その中で“ここでこういう音が出ていれば大丈夫だな”っていう軸ができると良いと思います。家で1人で弾くだけではできない経験を積んでみて下さい。

最後に機材的な側面で言うと、キャビネットはしっかり選ばないといけないです。Axe-Fx Ⅲ内には何千っていうキャビネットのIRデータがあるんですけど、全部鳴らして聴きました(笑)。使えそうなものにはチェックを入れて、絞り込んでいく作業をやりましたよ。