サトウカツシロ(BREIMEN)に聞いた、新たなメイン・ギター“Katsushiro Full Custom”の全貌 サトウカツシロ(BREIMEN)に聞いた、新たなメイン・ギター“Katsushiro Full Custom”の全貌

サトウカツシロ(BREIMEN)に聞いた、新たなメイン・ギター“Katsushiro Full Custom”の全貌

2024年の『AVEANTIN』リリース・ツアーより、カツシロの新たなメイン・ギターとしてデビューを果たしたフェンダー製のストラトキャスター、“Katsushiro Full Custom”。フェンダーのAmerican Vintage II 1957 Stratocasterがもとになっているとのことだが、そのこだわりのカスタムとは……?

取材・文=伊藤雅景 写真=大谷鼓太郎

Fender
Stratocaster “Katsushiro Full Custom”

Fender/Stratocaster “Katsushiro Full Custom"

Interview

不必要なローがまったくない、羽根が生えてるみたいなサウンドなんです。

新たなメイン・ギターについて詳しく話を聞かせて下さい! ストラトキャスターは初めての導入ですよね?

ストラトキャスターは中学3年生くらいの時に買ってもらったことがあるんですが、そこからは1本も買っていなかったですね。中3ぶりです。

モデル名はありますか?

名前は“カツシロ・フル・カスタム”ですね(笑)。これはフェンダーAmerican Vintage II 1957 Stratocasterが元になっているんですよ。

American Vintage IIを選んだ理由は?

フェンダーでカスタムのストラトキャスターを作ることになったのがきっかけですね。それと、ストラトが70周年を迎えるタイミングっていうのもありました。その時に弾かせてもらったのがAmerican Vintage II 1957のストラトだったんです。

どのように好みのサウンドに近づけていったんですか?

最初はAmerican Vintage IIの中から気に入った個体を選ぶ作業をさせてもらいました。1957年モデルのまったく同じ製品を3本くらい弾かせてもらったんです。

そこで弾いた3本はローが強かったり、高音がキラキラしていてハイ・ミッドの抜け良かったりと、それぞれに違った個性があって。その中からバランスが一番良かった個体を選びましたね。めっちゃ迷いました。

では、そこで選んだギターの塗装を剥いでいったんですね。

そうですね。フェンダーの人は、俺が黒いギターしか使わないっていうのを知ってくれていたので、まずは黒色に塗装していく流れになりました。ヘッドは俺が使ってるジャズマスターと同じくマッチング・カラーにしてもらいました。

それと、ボディに黒色の下に紫っぽいレイヤー・カラーを入れるアイディアも思いついて。バーガンディ・ミストっぽいんですけど、それよりもちょっと濃いくらいの色味になっています。

めちゃくちゃカッコ良いですね。

良いですよね。実はリファレンスになったギターがあるんです。ネット・サーフィンしている時に見つけたカスタムショップのギターなので写真はないんですけど、そのギターは黒の下に紫のペイズリーが入っていて、凄くカッコ良かったんですよね。

そのギターのページをフェンダーの人に見てもらいながら、色んなカラーを混ぜつつ、微調整してもらいながら完成したのがこの色です。レリックとかは完全にお任せしました。

ピックアップは?

全部BONE TONE(元マスタービルダーのジョン・クルーズ氏が設計したピックアップ)が載っています。

配線やポッドなどのパーツにこだわりは?

ピックアップに合うものに変えてくれてると思うのと、電装系は全部オリジナルな仕様になっていると思います。

そのほかのこだわりポイントは?

もともとのAmerican Vintage IIよりも薄い塗装になっている点と、俺がアームを多用するので、6点支持だったトレモロ・ブリッジを2点支持に変えているんです。

あと、俺はジェフ・ベックが好きなので、ネック裏にヒール・カットを入れてて。それは“ジェフ・ベックが好きだから”っていう理由だけですが(笑)。結果的にパーツや塗装の重さが減ったので、ボディも軽くなったんですよね。

サウンドの印象はどうでしょう?

自分で宅録とかをする時には、EQで100KHz以下のローを切ったりするんですけど、最初からそれをしてる音っていうか。不必要なローがまったくないんですよ。もうね……羽根が生えてるみたいなサウンドなんです。

軽いっていう言い方をするとちょっと違うんですけど、細いわけでもなく、めちゃめちゃ音が抜けるんです。デカい会場だと音が“スコーン”と前に飛んでいきそうな感じです。

それに、透明感がありますね。最初から狙ってはいたんですけど。自分のプレイのトラッドな部分と、モダンな一面を上手くミックスできるように試行錯誤させてもらいました。結果的に、凄く面白いバランスのギターになってくれましたね。

作品データ

『AVEANTIN』
BREIMEN

『AVEANTIN』
BREIMEN

ソニー
BVCL-1372
2024年4月3日リリース

―Track List―

  1. a veantin
  2. ブレイクスルー
  3. 乱痴気
  4. ラブコメディ
  5. 眼差し
  6. LUCKY STRIKE
  7. T・P・P feat.Pecori
  8. 寿限無
  9. 魔法がとけるまで
  10. yonaki
  11. L・G・O

―Guitarist―

サトウカツシロ