【サブスク会員限定】後藤潤一(浪漫革命)が愛用する、セッティングの迷いを減らしたモダンなライブ機材 【サブスク会員限定】後藤潤一(浪漫革命)が愛用する、セッティングの迷いを減らしたモダンなライブ機材

【サブスク会員限定】後藤潤一(浪漫革命)が愛用する、セッティングの迷いを減らしたモダンなライブ機材

2024年9月25日(水)に6曲入りの新EP『溢れ出す』をリリースした京都出身の5人組バンド、浪漫革命。後藤潤一(g)がライブで使用するギター、ペダルボード、アンプを本人に解説してもらった。

取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊

Goto’s Guitar

Suhr
Classic T

Suhr / Classic T(前面)
Suhr / Classic T(後面)

大学の先輩から譲り受けた1本

大学の先輩から譲り受けたという、SuhrのClassic T。シリアル・ナンバーは“JST5T7K”。改造点は特になし。ライブやレコーディングで使用するほか、普段は本器で練習を行なっているという。しっかり鳴らさないと良いサウンドにならず、ミスタッチも目立つため、後藤は“練習に最適です”と語る。

ボディは極薄のポリ塗装が施されたスワンプ・アッシュで、ネックは22フレット仕様のメイプル。ブリッジはWilkinsonの3wayが採用されている。

ピックアップはフレーズよって全ポジションを使い分け。フロントはクリーン寄りのメロウなリード用。ミックス・ポジションはカッティングやパーカッション的なフレーズ用。リアは歪んだリード用。

ヘッドにはD’AddarioのNS Micro Headstock Tunerが取り付けられていた。弦はElixir OPTIWEBの.009〜.046を使用。

Goto’s Pedalboard

Duke of Toneを軸にした音作り

【Pedal List】
①Handmade Junction Box with Buffer
②BOSS / TU-2(チューナー)
③Xotic / XW-1(ワウ)
④Mad Professor / Forest Green Compressor Hand-Wired Ver.(コンプレッサー)
⑤MXR / Duke of Tone(オーバードライブ)
⑥KingTone / THE SOLOIST(オーバードライブ)
⑦KingTone / miniFUZZ Si(ファズ)
⑧strymon / El Capistan V1(ディレイ)
⑨strymon / blueSky V1(リバーブ)
⑩MXR / Iso-Brick Power Supply(パワー・サプライ)

ギターからの接続順は①〜⑨の番号どおりで、⑨blueSky V1のアウトから再び①ジャンクション・ボックスに戻りアンプへ。

①ジャンクション・ボックスは大学の先輩に作ってもらったもので、インプットとアウトプットにバッファが内蔵されている。色々と試した結果、ビンテージのMaxon SD-9に搭載されているオペアンプと同じもの(MC4558CP)が採用されているとのこと。バッファを通すと音が元気になるそうだ。

後藤のメイン・アンプにはリバーブが搭載されていないため、⑧blueSky V1で作ったspringタイプ/normモードの薄いリバーブを常時オン。FAVORITEスイッチには深めのplateリバーブをプリセットしており、フレーズによって切り替える。

④Duke of ToneはBOOSTモードを選択し、アンプのクリーンを持ち上げるようなクランチ・セッティングでほぼかけっぱなし。カッティング・フレーズを弾く際は④Duke of Toneをオフにして③Forest Green Compressorに切り替えるが、2台を同時にオンにしてクリーン気味のリードを弾くこともあるそうだ。③Forest Green Compressorのモード・スイッチはCOMPRESSORが選択されていた。

歪んだフレーズでは④Duke of Toneに⑤THE SOLOISTを重ねている。モードはSTOCKが選択されていた。ソロなどで最も歪ませる際は⑥miniFUZZ Siを使用。単体だと音作りが難しいそうだが、前段に歪みペダルを置くことで使いやすくなるとのこと。そのため、③〜⑥のコンプ&歪みペダルをすべてオンにすることもあるという。

⑦El CapistanはTAPE HEADがfixed、MODEがBにセッティングされていた。TIMEノブがMAX近くまで上げられており、原音とディレイ音が混ざらないようにしているとのこと。また、WOW & FLUTTERノブが3時過ぎまで上げられており、モジュレーションがかかったディレイ・サウンドになっている。

③XW-1はTREBLEノブ(右から二番目)を下げて耳に痛いハイを抑えている。
③XW-1はTREBLEノブ(右から二番目)を下げて耳に痛いハイを抑えている。

Goto’s Amplifier

Supro
1690T Coronado Reissue

Supro / 1960T Coronado Reissue

常時オンのトレモロに注目

後藤のメイン・アンプは、2022年頃に入手したSuproの1690T Coronado。マーク・レッティエリ(スナーキー・パピー)やコリー・ウォンが使用していたことでSuproアンプに興味を持ち、オークションで購入したそうだ。

35W出力、Suproオリジナルの10インチ・スピーカーが2発搭載されており、ロー・ミッドがよく出るところが気に入っているという。

IN2にインプットし、各ノブはVOL2が12時、TONEが1時にセッティングされていた。トレモロは薄く常時オンにしている。後藤曰く“かかってるか、かかってないかわからないくらい薄いんですけど、トレモロがあることでオールディーズな感じが出る”とのこと。本機はクリーンの状態で、ペダルで歪みを作っているが、アンプのボリュームを上げて作る歪みサウンドも気に入っているそうだ。

IN2にインプットし、VOL2は12時、TONEは1時。トレモロのSPEEDとDEPTHは両方1時にセッティング。
IN2にインプットし、VOL2は12時、TONEは1時。トレモロのSPEEDとDEPTHは両方1時にセッティング。

Interview

モダンとビンテージのバランスというか、
ギターの年代感をけっこう考えています。

今回は後藤さんが普段メインで使用しているMomoseのSTタイプではなく、SuhrのClassic Tを撮影させていただきました。

 このギターは大学の先輩から買い取らせていただいたものなんですよ。ライブでもレコーディングでも使っていますし、普段からこれで練習しています。このギター、ミスタッチが凄く出るし、しっかり鳴らさないと良い感じになってくれないんですよ。だから練習に最適で、ライブ中も背筋が伸びますね。自分の弾き方はこのギターに合わせて変わってきたと思います。

ペダルボードについて聞かせて下さい。まずギターからジャンクション・ボックス(①)に接続されていますよね。

 ジャンクション・ボックスは大学の先輩に作ってもらったもので、インとアウトの両方にバッファが入っているんです。バッファによって後段につないだファズのかかり具合がけっこう違うのが前から気になっていて、それを先輩に相談したら“インとアウトでバッファをかけて音をまとめたらいいんじゃないか?”ということになったんですよ。僕、ビンテージのMaxon SD-9がめっちゃ好きで、通すだけで良い音になるんですよね。なのでオペアンプはSD-9にも載っているMC4558CPっていうやつを選びました。

メインの歪みは?

 Duke of Tone(⑤)のBOOSTモードを使っています。THE SOLOIST(⑥)をクランチにしていて、Duke of ToneとTHE SOLOISTの2台を同時にオンにするとリード・トーンになる感じですね。歪んだソロではminiFUZZ Si(⑦)を踏むかな。Forest Green Compressor(④)でもわりとクリーンなリード・トーンを作ったりするんです。一番歪ませるソロでは、コンプと歪みペダルを全部オンにすることも全然ありますね。

XoticのXW-1(③)は以前ボードには入っていませんでしたよね。なぜ今回入れたんですか?

 前まではボードに入れずに持ち歩いていて、ライブのたびにつないでいたんです。でも、毎回持って行くのがダルいなと思って入れました(笑)。ワウはギター・ソロの時とかにけっこう使いますし、「君という天使」ではずっと踏みっぱなしですね。ペダルの開閉具合を中くらいにして、ローファイというかフィルターがかかった音にして使っています。Xoticのワウを使っている理由は、側面のノブでトーンを可変できるのがいいなと思ったからなんですよ。でも何もいじらず、全部12時方向でも良い音(笑)。今はTREBLEノブを少し下げて、耳に痛くないようにしていますね。

空間系は2台のstrymon(⑧⑨)でまかなっています。それぞれの使い方を教えて下さい。

 El Capistan(⑧)はギター・ソロで広がりが欲しい時に使っていますね。カオスにする時は左側のTAPスイッチを長押しして発振させます。ディレイ・タイムは長めが好きなんですよ。タイムが短いと、パッと弾いた時に原音がグチャッとする気がするんですね。だからTIMEノブは原音とディレイ音が混ざらないような感じに設定しています。それとWOW & FLUTTERノブを上げたテープ・エコーっぽい音がけっこう好きで。1人で弾いている時に“わざとらしいかな?”と思うくらいの設定のほうが、ライブだとわかりやすいんですよ。僕らはギタリストが3人いるので、薄い設定だとあんまり伝わらないかなと思って。

たしかに、ライブだとディレイの音がハッキリ聴こえないことが多いですよね。

 そうなんですよ。blueSky(⑨)は薄めのspringリバーブを常にかけています。FAVORITEスイッチには長めのplateリバーブを入れていて、ガッツリかけたい時はFAVORITEに切り替えますね。

アンプはSuproのCoronadoのリイシューですが、これを選んだ理由は?

 マーク・レッティエリやコリー・ウォンがSuproのアンプを使っていて、もともと気になっていたんです。しかも見た目もかわいいじゃないですか? ネットで探したらオークションに安く出品されていて、試奏はできなかったんですけど、“ま、いいかな”と思って買いました(笑)。

初めて音を出した時のサウンドの印象はどうでしたか?

 凄く良い音でした。このアンプの何が気に入っているかというと、サウンドがロー・ミッド寄りなところなんですね。ロー・ミッドがしっかりあると1人でアルペジオを弾いても成り立ちますし、個人的なバンド内のイメージは(大池)奏太さんがハイ寄りで、僕はロー・ミッド寄りという感じだったので。

アンプのセッティングのこだわりはありますか?

 今、インプットはIN2を使っていますけど、もともとはIN1+2を使っていたんですよ。IN1+2はVOL1とVOL2の両方がいじれるんですね。でもIN2のほうが音が好きだし、VOLUMEとTONEが1つずつなので感覚的に一番使いやすいんです。僕はボードも含めて機材は全部シンプルなほうがいいと思っていて。優柔不断なので、コントロールとかがいっぱいあると迷っちゃうんですよ。VOL2は12時で、TONEは1時くらい。薄っすらトレモロもかけています。かかってるか、かかってないかわからないくらい薄いんですけど、トレモロがあるとオールディーズな感じがして、“バーン!”と弾いた時にもゆらぎが出て良いんです。最近はずっとオンにして楽しんでいますね(笑)。

後藤さんのトータルの機材選びや音作りは、どのようなコンセプト?

 バンド全体のキャラクターが変わってくるので、モダンとビンテージのバランスというか、ギターの年代感をけっこう考えています。今でも“どうしようかな?”と思うことはあるんですけどね。もともとスタッフのコーネル・デュプリーが好きでギターを始めたんですけど、最近はジョン・メイヤーとかのモダンなブルース・ギタリストも好きで、今の機材はわりとモダンなほうから影響を受けています。あとさっきも言ったように、迷いがないようにすることを心がけていますね。

作品データ

『溢れ出す』
浪漫革命

新島出版
RORE-0008
2024年9月25日リリース

―Track List―

01.世界に君一人だけ
02.君という天使
03.ゆ
04.うわついた気持ち(feat.鎮座DOPENESS)
05.シルビー
06.聴いて!

―Guitarists―

藤澤信次郎、大池奏太、後藤潤一