現代のイギリスを代表するロック・バンドに成長をとげたアイドルズが、2025年1月に約6年半ぶりとなる単独来日ツアーを開催した。1月27日(月)のZepp DiverCity公演にて、マーク・ボーウェンとリー・キアナンの機材撮影に成功。さらにマーク・ボーウェンの対面インタビューも行なうことができたので、膨大なシステムを解説してもらった。本記事では、マークが来日公演で使用したペダルボートを本人のコメントと共にご紹介。
取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モリー 機材撮影=星野俊
Board A

アウトをアンプとラインに分岐するメイン・ボード
【Board A / Pedal List】
①Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
②Z.Vex Effects / Super Duper 2-in-1 Hand-Painted(ブースター)
③JHS Pedals / Haunting Mids(EQ)
④The GigRig / G3(プログラマブル・スイッチャー)
⑤EarthQuaker Devices / Acapulco Gold(ブースター)
⑥Moog / MF Ring(リング・モジュレーター)
⑦Adventure Audio / Dream Reaper(ファズ)
⑧Death By Audio / WAVEFORMER DESTROYER(ファズ)
⑨Electro-Harmonix / POG2(ピッチ・シフター)
⑩Death By Audio / ECHO DREAM 2(ディレイ/ファズ)
⑪Death By Audio / REVERBERATION MACHINE(リバーブ)
⑫Red Panda / Raster V1(ピッチ・シフター/ディレイ)
⑬Red Panda / Particle 2(ピッチ・シフター/ディレイ)
⑭4ms Pedals / Mini Swash Full(ノイズ・マシン)
⑮Moog / MF Delay(ディレイ)
⑯Z.Vex Effects / Instant Lo-Fi Junky Vexter Series(ビブラート)
⑰Walrus Audio / Canvas Tuner(チューナー)
⑱BOSS / NS-1X(ノイズ・サプレッサー)
マークの足下に置かれたメイン・ボード。上下2段構成になっており、上段に置いてあるペダルはライブ中に自身で設定を変更することがあるもので、セッティングを変えないペダルは下段にセットされている。
ギターからの接続順は、まずステージ袖に置かれたワイヤレス・システムを経由し、①ジャンクション・ボックス、②Super Duper、③Haunting Midsの3台を通って心臓部④G3へ。
②Super Duperは右側の1chを常時オン。GainノブとMasterノブは1時方向にセッティングされており、本機で基本のサウンドをふくよかにしている。
③Haunting Midsは楽曲によってかけっぱなしにするという。ミドルの帯域に少し歪みを加えるためのもので、基本的にSWEEPノブはゼロの状態だが、「Gift Horse」では逆にMAXにまで上げるとのこと。
④G3の各ループに接続されているペダルは以下のとおり。
・Loop 1=⑤Acapulco Gold
・Loop 2=⑥MF Ring
・Loop 3=⑦Dream Reaper
・Loop 4=⑧WAVEFORMER DESTROYER
・Loop 5=⑨POG2
・Loop 6=⑩ECHO DREAM 2
・Loop 7=⑪REVERBERATION MACHINE
・Loop 8=⑫Raster V1 → ⑬Particle 2
・Loop 9=⑭Mini Swash Full
・Loop 10=⑮MF Delay
・Loop 11=⑯Instant Lo-Fi Junky
・Loop 12=なし
・Tuner Out=⑰Canvas Tuner
突発的にペダルを追加する場合にも対応できるよう、④G3のLoop 12は常に空きの状態にしているという。④G3では楽曲ごとにバンクを組んでおり、前段1列目のフット・スイッチの左から、楽曲のイントロ、ヴァース、ブリッジ、コーラス、アウトロというプリセットの並びになっている。

④G3にはアウトが2つあり、1つはボード下段の⑱NS-1Xと①ジャンクション・ボックスを経由し、アンプの裏に置かれたLehleのDual SGoS(ABYスイッチャー)へ。Dual SGoSではOrange AD200B MKⅢ、Hiwatt DR-103、Roland JC-120という3台のアンプに信号が分岐され、④G3のMIDIコントロールで各アンプのオン/オフを操作する。
④G3のもう1つのアウトは①ジャンクション・ボックスを経由し、Sequential Prophet-5(シンセサイザー)の下に置かれた2枚目のボードへ。こちらはアンプでなく、ラインで出力される信号である。
⑤Acapulco GoldはSunnのModel Tのような低いサウンドを出す際に使用。⑦Dream Reaperは「Never Fight A Man With Perm」のイントロでオンに。
⑨POG2は「Roy」を始め、ほぼすべての楽曲で使用している。本機はマークの汗により故障することが多く、イギリスには使えなくなったものが25台ほどあるのだとか。アイドルズの楽曲はバリトン・ギターでレコーディングしたものも多く、④G3と⑨POG2を使用することで、例えば1台のアンプではバリトンのような低いサウンドを、もう1台のアンプではノーマルのギター・サウンドを出力することもできるという。
⑩ECHO DREAM 2は「Car Crush」を始め多くの楽曲で使用しているディレイで、マークにとって欠かせないペダルの1つである。⑥MF Ringと⑮MF Delayは「Mr. Motivator」のイントロで使用。
⑬Particle 2は「Progress」のレコーディングで使用。マークは“刺激的でクリエイティブなペダルだ”とコメント。⑭Mini Swash Fullはおもに『Ultra Mono』(2020年)の楽曲で使用するが、あまりにもカオスなサウンドのため、過去にアンプを何台も飛ばしてしまったことがあるという。『Ultra Mono』の楽曲はあまりライブで演奏しないため、現在は実験用、もしくは楽曲の最後に踏むこともあるそうだ。

ちなみに、各ペダルへの電源供給はThe GigRigのGenerator(パワー・サプライ)をもとに、Distributor(電源分配機)やIsolator(電源分配機)で複数台のペダルを駆動させている。消費電流の大きいペダルにはTime Lordを使用。
Board B

鍵盤演奏時にもコントロールが行なえる2枚目のボード
【Board B / Pedal List】
⑲Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
⑳The GigRig / Three 2 One(インプット・セレクター)
㉑The GigRig / G3(プログラマブル・スイッチャー)
㉒Mission Engineering / EP-25K(エクスプレッション・ペダル)
㉓Mission Engineering / SP-25-Pro-Aero(エクスプレッション・ペダル)
㉔Mission Engineering / SP-25-Pro-Aero(エクスプレッション・ペダル)
㉕Mission Engineering / Expressionator(マルチ・エクスプレッション・コントローラー)
㉖Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
㉗Walrus Audio / Canvas Passive Re-Amp(パッシブ・リアンプ・ボックス)
㉘Moose Electronics / Dobsky Fuzz(ファズ)
マークの足下に置かれているメインのボードからは、Prophet-5の下に置かれた2つ目のボードへ。⑲ジャンクション・ボックスを経由し、⑳Three 2 Oneに接続されている。
⑳Three 2 Oneにはメイン・ボードからの信号と、モニター・コンソールからの信号の2つがインプットされている。
本機では、この2つのシグナルのどちらを、後述するProphet-5の上に置かれたボード(通称“クローラー・マシン”)に入力するかを選択。モニター・コンソールを選択した場合、PAから送られたボーカルやドラムなどのサウンドにクローラー・マシン内のペダルでエフェクトを加えることができるとのこと。
そして⑳Three 2 Oneのアウトからは、再び⑲ジャンクション・ボックスを経由し、Prophet-5の上に置かれたクローラー・マシンへ。
㉗Canvas Passive Re-Ampと㉘Dobsky FuzzはProphet-5に接続されている。
CRAWLER Machine


上下2段構造のプロダクション・ツール
【CRAWLER Machine / Pedal List】
㉙Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
㉚The GigRig / G3 Extension Kit(G3用拡張キット)
㉛Electro Lobotomy / Particle Smasher+(ノイズ・マシン)
㉜Electro-Harmonix / POG2 Mod.(ピッチ・シフター)
㉝Moogerfooger / MF-107 FreqBox(エンベロープ・フィルター)
㉞Moogerfooger / MF-102 Ring Modulator(リング・モジュレーター)
㉟Moogerfooger / MF-104M Analog Delay(ディレイ)
㊱Old Blood Noise Endeavors / Minim(ディレイ/リバーブ)
㊲Vongon / Paragraphs(ローパス・フィルター)
㊳Moogerfooger / MF-108M Cluster Flux(コーラス/フランジャー)
㊴Electro-Harmonix / 95000(ルーパー)
㊵strymon / IRIDIUM(アンプ&IRキャビネット・シミュレーター)
㊶strymon / IRIDIUM(アンプ&IRキャビネット・シミュレーター)
㊷Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
2枚目のボード内の⑳Three 2 Oneのアウトからは、Prophet-5の上に置かれた“クローラー・マシン”と呼ばれるボードへ。コロナのロックダウン中、『CRAWLER』(2021年)の時期に組み上げたことから、このような名前になっているのだとか。
接続順は⑳Three 2 Oneから⑲㉙ジャンクション・ボックスを経て、㉚G3 Extension Kitにインプット。
㉚G3 Extension Kitは2枚目のボード内の㉑G3とリンクされており、クローラー・マシン内のペダルがループされている。各ループに接続されているペダルは以下のとおり。
・Loop 1=なし
・Loop 2=㉛Particle Smasher+
・Loop 3=㉜POG2 Mod.
・Loop 4=㉝MF-107 FreqBox
・Loop 5=㉞MF-102 Ring Modulator
・Loop 6=㉟MF-104M Analog Delay
・Loop 7=㊱Minim
・Loop 8=㊲Paragraphs
・Loop 9=㊳MF-108M Cluster Flux
・Loop 10=なし
・Loop 11=㊴95000(L)
・Loop 12=㊴95000(R)
㉑G3は④G3とMIDIで接続されているため、どちらのスイッチャーでもバンクを変更することが可能だ。
㉚G3 Extension Kitの2つのアウトからは、それぞれ㊵㊶IRIDIUMを経由し、㉙ジャンクション・ボックスと、Rupert Neve DesignsのRNDI-S(ステレオDI)を通ってPAに信号が送られる。片方のIRIDIUMにはOrangeの、もう片方のIRIDIUMにはHiwattのキャビネット・シミュレーターをアサインしているとのこと。マーク曰く“IRIDIUMはギター用のDIとして使っている”。
㉛Particle Smasher+の筐体手前に搭載された4つの円形のボタンはパッドで、叩いたりタッチしてノイズ・サウンドを生成できる。「Car Crash」では⑩ECHO DREAM 2と同時に使用しており、本楽曲には欠かせないペダルとのこと。

㉜POG2はモディファイされており、エクスプレッション・ペダル接続することでエフェクトのフィルターを調節できるとのこと。本機を使用する場合はメイン・ボード内の⑨POG2も同時にオンにすることもあるため、とてつもないサウンドになるそうだ。たまに⑳Three 2 Oneで入力を切り替え、ボーカルやドラムのサウンドに㉜POG2のエフェクトをかけることも。
㊴95000には様々なサウンドのループを取り込み、リアルタイムでノブを操作してノイズを作り出している。「Car Crush」の前半では、あらかじめ本機に保存されていたループを呼び出し、ノブを操作しているのが確認できた。

2枚目のボード内にはエクスプレッション・ペダルが3台(㉒㉓㉔)設置されているが、すべてクローラー・マシン内のペダルを操作するものである。これらはすべて㉒㊷ジャンクション・ボックスを経由し、配線を取りまとめている。
㉒EP-25Kは㉞MF-102 Ring ModulatorのFREQUENCYと㊱MinimのBLEND用。
㉓SP-25-Pro-Aeroはエクスプレッション・ペダルに対応できるように改造された㉜POG2のフィルター用。
㉔SP-25-Pro-Aeroは㉟MF-104M Analog DelayのFEEDBACKとLFO AMOUNT用である。
㉔SP-25-Pro-Aeroのアウトの1つには㉕Expressionatorが接続されており、㉟MF-104M Analog Delayのどちらかのパラメーターのスウィープ域を調節できるようになっている。
Interview
Moogerfoogerのペダルは、
かなり直感的に扱えるシンセサイザーのようだ。
ボードの先頭に配置されているSuper Duper(②)は、常にオンになっているんですよね?
ちょうど僕が欲しいレンジをプッシュするのに役立っていて、常にオンになっている。基本的にはコンプレッションを加えるためのものなんだ。これを通すことで音が良くなって、プレイの質も少しだけ向上する気がするね。ノブは12時をちょっと過ぎたあたりに設定していて、大した効果はないけど、なんだか華やかになる感じがするよ。以前は2つ目のチャンネルも使っていたけど、今は使っていない。

ほかに常時オンになっているペダルはありますか?
JHS PedalsのHaunting Mids(③)は、曲に応じてかけっぱなしにすることがあるね。オンにするとミッド・レンジの欲しいところに少しだけオーバードライブが加わる感じだ。どのレンジをプッシュするかを設定するSWEEPノブは、常に左側に振り絞っているよ。ブーストはかなり微弱な程度で、ベル状のEQカーブを描くような感じだ。基本的にかなり低いところをプッシュしていて、これによって必要なキャラクターをアンプから引き出しているというわけさ。
でも「Gift Horse」みたいな曲ではSWEEPノブをフルにしていて、ハイ・ミッドをブーストさせた状態になっている。これはやっぱりキャラクターを作り出すためのペダルなんだよね。
Acapulco Gold(⑤)はどのように使っているんですか?
ご存知のとおり、僕はサン O)))が大好きでね。Acapulco GoldはSunnのModel Tというアンプをベースにしている。12時を少し過ぎたあたりがスウィート・スポットで、Model Tっぽいトーンだと感じるよ。低い音を演奏する時は、いつでもコイツでModel Tのようなグラインド感を作っているんだ。スタジオではビンテージのModel Tアンプを使っているけど、さすがにツアーに持ち歩こうとは思えなくてね。
Prophet-5の上に置かれたボードについても教えてもらえますか?
僕の足下に置いてあるメイン・ボードからのシグナルの1つは、“クローラー・マシン”と呼んでいるProphet-5の上の大きなボードに接続されている。Cluster Flux(㊳)はフランジャー/コーラスみたいなもので、僕はコーラスとして使っているよ。これと同時にAnalog Delay(㉟)の短いディレイも加えているんだ。

Ring Modulator(㉞)はどのような使い方を?
ベルのような周波帯を出せるように設定している。ハーモニックなレゾナンスを与え、音楽的なものを作り出してくれるんだ。JHS PedalsのHaunting Midsをオンにすることで適切な周波帯をプッシュし、このペダルでそれをキャッチしているという感じだね。だから純粋なギターのトーンが入ってくるわけじゃないけど、Cluster FluxとRing Modulatorでハーモニックな周波帯をプッシュしているんだ。
FreqBox(㉝)はどうでしょう?
FreqBoxはかなり奇妙な使い方をしている。そもそも僕はハーモニック・リシンセシスにハマっていて、Moogerfoogerのペダルは全部そのためのものなんだ。Moogerfoogerはギターの倍音を拾い、シンセっぽいサウンドに変換してくれる。僕は常にギターっぽくないサウンドを求めているから使っているんだ。
あなたもリー・キアナン(g)も、Moogerfoogerのペダルがお気に入りのようですね。
うん。Moogerfoogerは、かなり直感的に扱えるシンセサイザーのようだ。僕にとって、こういうことを始める入り口のようなものだったよ。シンセサイザーにあんまり精通していないギタリストにとって、Moogerfoogerはある意味オススメの入り口と言えるね。
それはなぜでしょう?
LFOやCVがどういうもので、どう使えるのかを学び、それらすべてが相互に作用し合っていることを覚えられるんだ。特定の周波帯を扱うことや、アディティヴ・シンセシス、FMシンセシスなんかも体得していくだろう。実際に僕がProphet-5や、ほかのシンセを使うようになったきっかけはMoogerfoogerだったんだ。ちなみに以前はCVのエクスプレッション・ペダル・コントローラーを使っていたけど、すべてのパラメーターを足で操作したことはなかったね。
クローラー・マシンの中にある、オシレーターのようなペダル(㉛)は何ですか?
Electro Lobotomyというメーカーのものだよ。音を作るためのノブやスイッチがたくさん付いた装置を作っている、とてもクールなメーカーなんだ。僕にElectro Lobotomyを紹介してくれたのは、かつてガール・バンドという名前で活動していて、今はギラ・バンドに改名したバンドのギタリスト、アレン・ダガンでね。ギラ・バンドをまだ聴いたことがない人はぜひチェックしてみてほしい。史上最高のノイズ・ロック・バンドの1つで、日本でも大成功すると思う。で、そのアレンがElectro Lobotomyのペダルを使っていたんだ。
僕のElectro Lobotomyのペダルは非常に扱いにくいし、同じ音を再現するのが難しいから、このペダルでクールなサウンドが作れたら、すぐに95000(㊺)のループに取り込まなければならない。「Car Crash」の大部分を占めていて、この曲で僕が演奏しているメインの楽器なんだ。

クローラー・マシンの中には、strymonのIRIDIUM(㊵㊶)が2台置かれています。
この2つは基本的にギターのDIとして使っている。ギターはメインのペダルボードを通ってアンプにつながっているけど、常にこのクローラー・マシンにも信号を送っているんだ。IRIDIUMのキャビネット・シミュレーターを使っていて、それぞれにOrangeとHiwattをシミュレートしていてね。ここからラインでPAエンジニアにギターのシグナルを送っているんだ。

クローラー・マシンは
ライブ時のプロダクションを行なうツールのようなもの。
あなたのサウンドメイクに欠かせないペダルを挙げるとすると?
POG2(⑨)とECHO DREAM 2(⑩)は絶対に必要だね。ほかのペダルは数曲だけとか、たまに使うっていう程度なんだ。ECHO DREAM 2はライブ中の90%で使っているくらい重要だね。曲のビッグなエンディングとか、特定のパートとか、プロダクションの観点から必要な場合にはリバーブを足すこともあるよ。僕はベースっぽいことや、ハイ・ピッチでのプレイもたくさんやっているから、POG2もはずせないんだ。

非常にあなたらしいセレクトですね。
それとペダルと言っていいのかわからないけど、The GigRigのスイッチャー(④㉑㉚)おかげで、たくさんのペダルを自由に切り替えられている。シグナルのスプリットも操作できるから、例えば曲のサビでサウンドを切り換えたい時に重宝しているよ。低いオクターブと高いオクターブを1つのアンプに送ったり、どちらか一方をクローラー・マシンに送ったりすることもできるんだ。
POG2とECHO DREAM 2があればアイドルズのライブはできると思いますか?
新作(『TANGK』/2024年)からでなければ、だいたいは問題なくやれるだろうね。でも新作の曲となると、クローラー・マシンのペダルは必要かな(笑)。
足下のメイン・ボードとクローラー・マシンにはPOG2が1台ずつ用意されていますが、それぞれの使い分けは?
別々の目的で使っているんだ。クローラー・マシンはライブ時のプロダクションを行なうツールのようなものでね。このボードには基本的にギターからのシグナルが通っているけど、たまにProphet-5、ドラム、ボーカルの信号が通ることもある。
そうなんですか!?
クローラー・マシンはスタジオでもプロダクション・ツールとして使っているよ。僕は95000でループをたくさん作っていて、ボーカル、ギター、ドラムのループをクローラー・マシン内のペダルに通しているんだ。POG2でオクターブをいじって、ちょっとした変化を加えてから、ほかのエフェクトやプロセッサーなどをかけるというやり方だね。スタジオではドローンでもPOG2をよく使っているよ。色んな楽器からわずかなキラキラした倍音を取り出し、そこを強調する術を探しているんだ。
アイドルズの楽曲にエフェクターは必要不可欠なものですか?
とてつもなく大きいね。もし僕らのライブにペダルがなかったら、恐ろしいサウンドになっているだろう。アイドルズの音楽は複雑じゃないし、ある観点からすれば難しい演奏でもない。“トーンや音楽に由来する複雑さ”によって成り立っているんだ。エフェクトや、それらを使った表現が当たり前のようにあるのが僕らの音楽なのさ。だからアコースティック・ライブをするのは難しい。僕らのキャラクターとアイデンティティ、そのすべてを失ってしまうだろう。そうなるとまったくの別物だよ。
2025年1月27日(月)Zepp DiverCity
【Setlist】
01. IDEA 01
02. Colossus
03. Gift House
04. Mr. Motivator
05. Mother
06. Car Crash
07. I’m Scum
08. Roy
09. 1049 Gotho
10. Jungle
11. The Wheel
12. When The Lights Come On
13. Divided and Conquer
14. Gratitude
15. Benzocaine
16. POP POP POP
17. Television
18. Crawl!
19. The Beachland Ballroom
20. Never Fight A Man With A Perm
21. Dancer
22. Danny Nedelko
23. All I Want For Christmas Is You
24. Rottweiler