Interview|CHOJI(I Don’t Like Mondays.)コロナ禍だから生まれた音楽 Interview|CHOJI(I Don’t Like Mondays.)コロナ禍だから生まれた音楽

Interview|CHOJI(I Don’t Like Mondays.)
コロナ禍だから生まれた音楽

譜面にすると図形的に
“こういうことなのか”
ってわかるんです。

コロナの外出自粛期間にクラシックのフルスコアを読んでいたそうですね。「ミレニアルズ~just I thought~」の後半の盛り上がりは、それこそギターのオーケストレーションのような印象でした。

 きっとつながってるとは思います。クラシックが好きで、千住明さんっていう作曲家がいるんですけど、その人の「カレンダー組曲」というアルバムを聴いて“歌がなくて人を感動させるってすごい”と思ったんです。僕はギタリストなので、ギターでそういうことができるようになりたいと思って、オーケストラは全然学んだことなかったので譜面を買って、それを見ながら聴いていたんです。

フルスコアからどういったことを学びましたか?

 アナライズというのは全部はやれていないですが、ピアノでコードを弾いたりして“こういう風に感じる和音はこうなってるのか”とか、“この楽器とこの楽器だったらうまく合う”っていうのは勉強になりました。あと、単純にモーリス・ラヴェルの曲が好きで、それをガット・ギターでコピーしたりしましたね。ボイシングなんかは全然違うし、“自分のプレイにも活かせるんじゃないかな?”と思ってやってました。

クラシックを聴いたことが活きた部分は、今回の5曲の中にあったりしますか?

 クラシックはコードのアクが強過ぎる部分があるので、なかなか直接的に出ている部分はないですけど、リズム的には少しあるかもしれません。オーケストラって盛り上がっていく時とかで、実は大小さまざまな音量でいろんなリズムが鳴ってたりするんですよ。そういう意味では「ミレニアルズ ~just I thought~」の最後、オクターブでいくところの前なんかは、ポリリズムや3拍フレーズ、1.5拍だったりっていうのを意識して盛り込みました。ただ、全部のパートに思い入れがあるんで、“生でやる時はどれを弾こうかな?”っていうのは悩んでますね(笑)。

ライブ・アレンジが大変そう(笑)。

 そうそう(笑)。“やっぱり1個に絞らんと無理かな~”みたいな(笑)。

ちなみにコロナの外出自粛期間でほかに何かギター的な勉強はしましたか?

 2020年は、服部隆之さんや千住明さんの書いたいろんなサントラ音楽を何曲か譜面に起こしました。でも、なかなか真似できないですね。

ストイックですね(笑)。何曲くらいスコアにしたんですか?

 そのスコアを見てほしい(笑)。服部さんの曲だと『華麗なる一族』っていうドラマの音楽から気になる曲を5曲くらいは譜面にしましたね。

サントラの採譜で勉強になったことは?

 やっぱリズムですね。あとは、“上にいったBなのか、下がったBなのか”みたいなところも、譜面にすると、“あ、こんな感じなんやな”って気づくことがあるんです。久石譲さんも“譜面で作曲する”って言ってましたが、譜面にすると数学的というか図形的に“こういうことなのか”ってわかるんです。まぁ、あの人たちは絶対音感があるので、譜面でも頭で音が鳴っていると思うんですけど。

Photo by Jun Yamamoto

2021年は
攻めていきたいですね。

フレーズと音色はどういう順番で作るんですか?

 やっぱりフレーズのほうが先ですね。そこからエフェクトをどのくらいかけるかを調整していく。

最初から音色をイメージしているわけではなくて、最後に調整していく感じ?

 あとでプラグインのプリセットをどんどん変えていって、そこから探す時もあります。そうすると自分の考えになかった、“あ、意外と合うな”っていう音が見つかったりするんですよ。“あ、コーラスかかっているのもアリだな”とか。でも、プリセットだとかかり過ぎていることが多いので、そこから削っていったり。

たしかにマルチ・エフェクターのプリセットの中でも、絶対自分では作らない音があったりしますもんね。

 そうそう。レコーディングする時はその曲に接している時間がまだ少ないから、言ってしまえば可能性も無限大なんです。

アンプやペダルはどのようなものが活躍しましたか?

 基本的にはマーシャルの1987Xを使いましたね。それでまず試していって、音が強過ぎる時とかがあるんで、そういう時には別のアンプを使ったりもしましたね。「ENTERTAINER」はファズを踏んでますが、それはジョー・ボナマッサ・モデルのFuzz Face Mini。あとはストライモンのblueSky ReverbとEl Capistanもけっこう活躍しましたね。「MR.CLEVER」は“デジタルな感じでいきたいな”と思っていたので、ラインで録ってプラグインでなじませたような覚えがあります。

ギターは?

 ギターはレス・ポール・カスタムとスタンダードも使いました。あとはSGですね。SGが大活躍した曲もあったんですけど、全体の流れで「東京エキストラ」に差し代わったんですよ。ソロもSGで弾いていて。もうマスタリングも終わっているので、いつか発表できるかと思います。

それは楽しみにしています! さて、2020年はコロナで大変でしたが、最後に2021年の抱負を。

 2021年はやっぱり攻めていきたいですね。コロナでこうなっていなかったら、いろんなギタリストとデュオをするっていうアイディアも浮かばなかったですし。いろんな人と一緒に演奏することで学ぶことがたくさんあったので、自分のギタリスト像をもっと広げたいという気持ちがありますね。

CHOJI’s Gear

Gibson Custom
1968 Les Paul Custom Reissue

レコーディングでは別のギターも使ったようだが、CHOJIといえばこのレス・ポール・カスタムを思い浮かべる人も多いだろう。2004年に作られたギブソン・カスタム製の1968 Les Paul Custom Reissueは彼の不動のメイン器。ボディ背面の傷痕や金属パーツの経年変化など、ステージで酷使された貫禄が滲み出ているが、改造点はなし。

CHOJI’s Pedalboard

CHOJIのライブ用ペダルボードは、ギターから①BOSS/MS-3(マルチ・エフェクター/スイッチャー)に入り、②Ernie Ball/VP JR.(ボリューム・ペダル)を通過してアンプへ、という接続順。①のループはL1が③Fulltone/OCD(オーバードライブ)、L2が④Movall Audio/Busy Bee Preamp Boost(プリアンプ/ブースター)、L3が⑤Jim Dunlop/Fuzz Face Mini Joe Bonamassa(ファズ)という構成で、モジュレーションや空間系エフェクトはMS-3本体でかける。⑥Roland/EV-5(EXPペダル)はMS-3内のワウなどをコントロールするために使用。パワー・サプライには⑦CAJ/AC/DC Station IVを採用している。