Interview | 鶴田龍之介(K:ream)壮大な音像に秘めた激情 Interview | 鶴田龍之介(K:ream)壮大な音像に秘めた激情

Interview | 鶴田龍之介(K:ream)
壮大な音像に秘めた激情

ボーカル&ピアノの内川 祐とギター&ボーカルの鶴田龍之介のふたりによるロック・バンド=K:ream(クリーム)がメジャー・デビューを果たした。2021年2月にリリースした『asymmetry』は、歪んだギターが繊細さと力強さを兼ね備え、壮大な音像で鳴り響く。また、直情的に自らを表現するギター・ソロも聴きどころだ。ギタマガWEB初登場となる今回は、ギターを始めたきっかけから、作品でのプレイ、愛用機材まで、まんべんなく語ってもらった。

取材=福崎敬太 機材写真=本人提供


五線譜は読めたんですけど
タブ譜が難しくて苦手でした。

まずは初登場ですので、ギターを始めたきっかけから教えてもらえますか?

 幼少期からバイオリンでクラシック音楽をやっていて、13歳の時にビートルズなどの洋楽のロック/ポップスを聴いて、ギターを始めました。

ビートルズにはどのように出会ったのでしょうか?

 父親が所有していたレコードを聴き漁っていたんです。あと、ギターという点ではロックンロールにハマりましたね。ギターを始めて2曲目くらいにコピーしたのが「ジョニー・B・グッド」でしたから。

渋いですね(笑)。

 あのイントロを一生懸命練習しました(笑)。で、そのあとディープ・パープルにめちゃくちゃハマったんですよ。今考えると、クラシカルな要素と圧倒的なリード・ギターっていうところが合ったんだと思うんです。それからはひたすらディープ・パープルをコピーしていて。その後もうちょっとヘヴィなところまでいって、例えばパンテラは一時期すごくハマってましたね。ただ、難しすぎてあまり弾けなかったですけど。

影響を受けたギタリストは?

 今でも自分のルーツにあるのが、リッチー・ブラックモア、ジョニー・グリーンウッド、ジョン・フルシアンテです。“当時好きだったギタリスト”と言うとダイムバック・ダレルとかも入るんですけど、自分のルーツになっていて今も影響が残っているのはこの3人ですね。

ギターを始めてからの練習は、どのようなことをしていましたか?

 バンド・スコアを買って、ひたすらオケに合わせて弾いていました。ただ、クラシックをやっていたので五線譜は読めたんですけど、タブ譜が難しくて苦手だったんです。だから、スコアはたくさん買ったんですけど、結局は耳で聴いてそれっぽく弾くことが多かったですね。

そこからオリジナル曲を作るようになるのは?

 まるっと1曲歌をつけて作るのは19~20歳くらいになってからで。高校時代はギターという楽器にすごくハマっていた時期だったので、オリジナルのリフをとにかく作っていました。オリジナル曲を作る原点という意味ではそこが始まりですね。

当時作っていたリフがK:reamの曲に使われていたりは?

 まったくないです……あの頃は“すげぇオリジナリティだ!”って思っていたんですが、どのリフも聴いたことのあるような感じで(笑)。ただ、今でもリフからできる曲もありますし、常にカッコ良いリフは探しています。

自然に出たフレーズに
美意識を感じている。

『asymmetry』の楽曲はどれもすごく壮大なアレンジですが、ギターのコードはシンプルです。余計なテンション・コードなど頼らないからこそ、ストレートに大きなスケール感で響くんじゃないかと感じたんですが、アレンジについてはどう考えていますか?

 結論から言うと、おしゃれコードみたいなものの勉強をサボった結果なのかなと(笑)。

ホントですか(笑)?

 あとは、このバンドで表現したい音楽が、“飾る”というよりは“素直に、美しく”という部分を出したいと思っているので、自然と今のサウンド感になっているんだと思います。ギター・ソロもコード感を意識するよりも“とにかくソロを弾く!”っていう感じでやっているので、K:reamに関してはあまり細かなことは考えていないですね。

たしかにエモーショナルに弾くタイプのソロが多いですが、リッチー・ブラックモアに憧れていた鶴田さんがK:reamでテクニカルなことをほとんどやらないのはなぜ?

 “この曲を自分のギターでどう表現するか”って考えた時に、テクニカルなものが自然と出てきたら良いんですけど、それが出てこなかっただけですね。あとは単純に、テクニカルなフレーズにしてしまうと“感情を出したい”っていうところで今は追いつかない。いずれもう少しうまくなったら、感情もテクニックも同時に出せるのかもしれないですが、今は“この曲をこう表現したい”っていう感覚を優先している感じですね。

ソロを考える時はどういう流れなんですか?

 曲を作っていく段階で“こんな感じのソロが良いかな”っていうくらいは自分の中である程度決まるんですけど、そこから先はレコーディングに入ってみないとわからないですね。デモ作りで当初考えていたことがピッタリと合うこともありますし、それがあまり合わずにレコーディング中にソロを作り上げていくこともあります。「Eternal」は自分の思い描いていたものがそのままソロになっていますが、「Clown -道化-」は衝動的に弾いたソロですね。

「Eternal」のような音の動きが少ないソロって説得力を出すのが難しいと思うんですが、音選びなどで気をつけていることはありますか?

 音選びということで言うと、自分から自然に出たフレーズに対して美意識を感じているんだと思います。それに、ソロに関しては、“前半こう入ったから、後半はこういう流れ”みたいに組み立てていくというよりは、1音弾いてカッコ良ければそれで良いのかなって思っていて。曲作りと並行してやっている部分もあるので、その楽曲で一番自然に聴こえるように作っていますね。あと、音作りについては常に追求しています。

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