Interview|平井 大にとってギターとは? Interview|平井 大にとってギターとは?

Interview|平井 大にとってギターとは?

ギター・マガジン2021年3月号では、平井 大のギタリストとしての側面を徹底フィーチャー! 10,000字超のロング・インタビューをとおして、彼がギターという楽器をどうとらえているのかを探っていった。今回はそのインタビュー冒頭を特別に公開! この続きと、彼の愛用機材、奏法解説、ディスコグラフィが18Pにわたり掲載された本誌は要チェックだ!

取材=辻昌志 写真=Nanako Hidaka

楽器のおかげで
気持ち良く過ごしてこれた。

今回は平井さんの“ギタリストとしての側面”を深く掘っていきたいと思います。まず、ギターはいつ頃から始めたのでしょう? 初めて手にした楽器はウクレレだったそうですが。

 ギターはもともと家にはあったから、触ってはいたんです。でも“ちゃんと弾けるようになろう”と思ったのは小学校に上がってからですね。

それは何かきっかけがあったんですか?

 いや僕の音楽人生って、あまりきっかけがないんですよ(笑)。

きっかけがない(笑)。

 そう(笑)。単純に、音楽ができる環境が家にあったことが一番大きかったんです。当時は家にアコギが3本くらいあって。

アコギを弾いていた頃、よく練習した曲は?

 “この曲を練習しよう”とか、あまりそういう感じはなかったですね。父もギターを弾くから、それに対して、ちょっとメロディを付けてみたりとか。

エレキ・ギターを弾き始めるのは、その後ですか?

 それは打ち込みで音楽を作りを始めた頃ですね。小学校の高学年くらいの頃だったんですけど。

えらく早いですね。

 Logicを使ってレコーディングをし始めたんです。その時は難しいことはまったくできなかったけど、多重録音みたいなことをして遊んでるうちに、エレキの音も録りたくなってきて。それでエレキを弾き始めた感じでしたね。

エレキは何を使っていました?

 ギブソンのSGで、当時の現行品だったと思います。最近はフェンダーを弾くことが多いからあまり出番はないですが、ちょっと前まではライブでも使っていました。

それにしても、ギターを弾き始めた頃から早くも作曲をしていたんですね。

 そんなに大層なことじゃないですけど(笑)。今みたいに、歌を歌うわけでもなかったですし。

平井 大

自分で歌おうと思ったことにも、きっかけはなかったのでしょうか?

 いや、歌に関しては、18歳の頃に大きなきっかけがあったんです。ハワイのホノルル・フェスティバルっていう、ハワイ州の大きなお祭りがあるんですが、そのイメージ・ソングを作って下さいっていう依頼をいただいて。それが“歌入りの曲”ってリクエストだったんです。歌い出したのはそこからですね。

それは大きなターニング・ポイントですね。

 そうですね。それまで自分が演奏して歌う、っていうことは全然考えてなかったし、フロントマンになろうという意識もあまりなかったんです。どっちかって言うとスタジオ・ミュージシャンとか、曲を作って誰かに提供したり、そういう仕事に就ければ良いなと考えていたので。だから今みたいなスタイルになるとは思ってなかったですね。

なるほど。では“ギタリストとして目覚めた瞬間”はあったんですか?

 “今日から僕はギタリストだ”っていう瞬間はなかったかなと思います。自分の生活する環境の中にギターがあったり、作曲でギターを使ったり……そういう中で、ライブでもギターを使っていこうって、だんだんと思うようになっていったというか。

ギターを弾くことがごく自然だったわけですね。しかも、遊ぶ感覚で楽しく弾いているというか。

 そうですね。ギターを弾いたり楽器を触ることに対して、嫌だなと思うことってはあまりないんです。苦痛だなとか、そういう瞬間がホントにないので。そこは、この仕事に就いてよかったなとすごく思いますし、ずっと気持ちいい感覚のままこの30年くらい過ごしてこれたんで(笑)。それは楽器のおかげかなと思いますね。

平井さんが影響を受けたギタリストについて聞かせて下さい。エリック・クラプトンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンなどをフェイバリットに上げているそうですが。

 エリック・クラプトンさんについては、彼はギタリストとして当然カッコいいですけど、まず“ソング・ライター”の部分にすごく惹かれます。ブルースがベースにあるけど、ちゃんとポップスに昇華されている。そういう新鮮なものを開拓してきたひとりだと思いますし、そこにすごく影響を受けたっていうのはありますね。

平井さんも自身のアルバム(『 Love is Beautiful』)で、エリック・クラプトンの「Change the World」をカバーするほどですもんね。

 「Change the World」に限りませんが、彼にはアコースティック・ギターで弾くソロ・プレイに“言葉以上のメッセージ”が詰まっていますよね。ちゃんと歌として、曲として、ギターのメロディを届かせることができてるっていう。だから、“1音1音に、どういう意味合いを持たせて語るのか”っていう部分は、エリック・クラプトンさんから学んだと思います。

なるほど。一方で、平井さんとクラプトンはまた違ったタイプのギタリストという気がします。

 僕の場合、ギターやウクレレはいい音楽を届けるツールとしてあるっていう感覚ですね。曲に対して、“リスナーに届きすい形やパフォーマンスの仕方”っていうのを考えた時に、何が必要なのかと。そういう時に、僕にはアコースティック/エレキ/ウクレレがあるから、どれを選ぶか。そう考えているんです。ギターをかっこよく見せるためにライブをするのではなくて、やっぱり曲をちゃんとリスナーに届けるためにライブをするし、そのツールとして楽器がある。

歌を届けることが大前提だと。ウクレレで影響を受けたアーティストは?

 僕にはギタリストからの影響のほうが大きいと思いますね。もちろん、トロイ・フェルナンデスさんを始め、ハワイのジャワイアンのミュージシャンで影響を受けてる方はいますけどね。

続きはギター・マガジン2021年3月号で!

『ギター・マガジン2021年3月号』
特集:ギター・ヒーローが愛した、アコースティックの世界。

本インタビューの完全版はギター・マガジン2021年3月号をチェック! 本誌では10,000字超のインタビューと、愛用機材、ディスコグラフィなど、“ギタリストとしての平井 大”を多角的に分析しています!

作品データ

『Life Goes On』 平井 大

avex/配信限定/2021年2月10日リリース

―Track List―

01. Life goes on
02. 祈り花 2020
03. EndlessSky
04. 僕が君に出来ること
05. Lonely Beachy Story
06. 陽のあたる場所へ
07. GIRL FRIEND
08. Stand by me, Stand by you.
09. Sayonara
10. Holiday
11. ここにあるもの
12. 冬の予感
13. Starbucks, Me and You
14. 題名のない今日
15. Romeo+Juliet -Love goes on-
16. ここにあるもの (Orchestra Ver.)

―Guitarist―

平井 大