Interview | イノクチタカヒロ&狩野省吾(hotspring) 現体制で初となる直球ロック・アルバム『YEARS』 Interview | イノクチタカヒロ&狩野省吾(hotspring) 現体制で初となる直球ロック・アルバム『YEARS』

Interview | イノクチタカヒロ&狩野省吾(hotspring)
現体制で初となる直球ロック・アルバム『YEARS』

2010年、浅井健一の主宰するSEXY STONES RECORDSよりデビューした大分県出身のロック・バンド、hotspring。イノクチタカヒロ(vo,g)を中心に結成され、メンバーの脱退や加入を経て、現在は狩野省吾(g)、川越俊輔(d)の3人に、サポート・ベーシストの長島アキトを加えた4人編成で活動を続けている。このたび、現体制で初となるアルバム『YEARS』をリリースした。これまでの楽曲を新たにレコーディングしたこの再録ベスト・アルバムは、王道のドライブ・ギター・サウンドにはさらに磨きがかかり、ロック・バンドとしての貫禄も十分に増している。今回はイノクチと狩野に、レコーディングや使用機材などの話を、じっくり聞いた。

取材・文=小林弘昂 人物写真=柴田恵理 機材写真=本人提供


「45回転」はやっとこの形になったんですよ。
“本来こうしたかった!”というところに落とし込めた。
──イノクチタカヒロ

デビューから11年が経ちます。このタイミングで再録ベスト・アルバム『YEARS』をリリースすることになった経緯を教えて下さい。

イノクチ 去年の3月かな。大分でSIX LOUNGEとのツーマンがあって、その時にオレたちが高校生の頃から知っているライブハウス(clubSPOT)の店長・坪井(健一郎)さんに、“坪井さんのレーベル(BEDROOM RECORDS)からhotspringのCDを出して下さいよ”って軽いノリで言ったんですよ。そしたら、オレたちが東京に帰ったあとに話が本格的に進んで、“出しましょうよ”ってことになって。で、数年前からバンド・メンバーが変わったので、“オレは再録でベストを作りたいです!”と。

2016年に加入した狩野さんは、前任ギタリストの三浦章宏さんが弾いていた楽曲のフレーズを、自分なりにどう解釈しましたか?

狩野 当たり前ですけど、昔やっていたバンドの音源を聴いたり、誰かと一緒にセッションしていても、コードを一発聴いただけで“自分が弾いているな”ってわかるんですよ。だから特にフレーズどうこうっていう感じはなくて、あんまり考えなかったですね。

レコーディングはいつ頃行なったのでしょう?

イノクチ 去年の8月に東京で一回目があって、ベーシックはそこで録り終わったんです。で、10月にオレと狩野が大分に行って、ウワモノを坪井さんに録ってもらったんですけど、坪井さんがスパルタでけっこう厳しかった(笑)。初めてレコーディングで怒られまくったけど、それはそれで良かったんじゃないかなと。

狩野 坪井さんはカッチリ作る人で、ピッチに関してかなりシビアだったなぁ。

そうだったんですね。今作はライブ感があって、特に「45回転」が好きでした。

イノクチ おお〜! 実は「45回転」はこれまで何回もレコーディングしていて、やっとこの形になったんですよ。“本来こうしたかった!”というところに落とし込めたというか。

狩野 この曲はダブリングで“ズンッ!”とした感じを出したくて。でも、坪井さんがギター・トラックをカットしてたんですよ(笑)。“お願いですからダブリングにして下さい”って言って、元に戻してもらって。そのおかげもあって迫力が出せたかな? 満足しています。

「青春の正体」と「黒でいろ」は、かなりエモーショナルなアレンジに変わっていますが、アレンジのポイントは?

イノクチ アレンジは何か工夫したっけかな(笑)? 東京で録った時に、有松益男さん(BACK DROP BOMB)がドラム・テックとして入って下さって、スタジオの様子を観てくれたんですよ。そこでゴエさん(川越俊輔)のドラムに対して、“こうしたほうが良いんじゃない?”ってアドバイスしてくれて。それがいちいちカッコ良くて、全採用したという(笑)。それはデカかったなぁ。

ドラムはバンドの土台ですからね。

イノクチ 益男さんに“こう叩くんだよ”って教えてもらって、ゴエさんはレコーディング中に急激にうまくなった(笑)。

狩野 それと、ご飯のあとに練習していた時、“益男さん、ドラムうまいなぁ〜”と別室のモニターから見てたら、“あれ……割り箸でドラム叩いてる!”ってことがあって(笑)。それがめちゃくちゃカッコ良い音だったんですよ。

左から、狩野省吾(g)、イノクチタカヒロ(vo,g)、長島アキト(b)、川越俊輔(d)
Photo:青木カズロー

職人は道具を選びませんね(笑)。イノクチさんはどういう部分を狩野さんに求めているんですか?

イノクチ やっぱり、ロック・バンドのギタリスト然としていてほしいっていうのはあるかも。

狩野さんは本当に不思議なギターを弾く人ですよね。

イノクチ 本当に。ゴチャゴチャしてるから、もうちょっとシンプルにしてほしいですけど。

狩野 (笑)。頭からフレーズがどんどん出てきてしまうからね……。オレが入る前のhotspringは、“モノクロの音楽”って感じだったんですよ。でも、加入した時は“オレが色を付けられたらな”と思っていて。そしたらお客さんも“色鮮やかになった”と言ってくれたり、新宿red clothでライブをやった時も、店長の猪狩(剛敏)さんが“狩野が入ってから良い意味でポップになって、すごくカッコ良くなった”って気に入ってくれたりして。それが自信になっていますね。

狩野さんはキース・リチャーズを始め、多くのロック・ギタリストから影響を受けてきたというのはギター・フレーズを聴けばすぐにわかりますが、今回のレコーディングで意識したアーティストや作品は?

狩野 ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズの『L.A.M.F.』とか、セックス・ピストルズの『Never Mind The Bollocks, Here’s The Sex Pistols』とか、ストゥージズの『Raw Power』とかですかね。酔っ払うと絶対にイノクチと“『L.A.M.F.』と『Raw Power』がめちゃくちゃカッコ良い”っていう話をするんですよ(笑)。で、オレはピストルズなんだけど、イノクチはクラッシュの1st(『The Clash』)を選ぶという。

イノクチ その差はデカいね。

狩野 それがボーカリストとギタリストの違いだよね。

あと、ふたりは最近機材も一新して、それが一番大きいトピックですよね。ライブの出音もガラッと変わって、よりロック・バンド感が強くなったように感じます。

イノクチ オレは去年、ビンテージのムスタングとオレンジ・アンプを導入しました。でも、アンプは最近JC-120ですね。JCはどこにでも置いてあるし、やっぱり良いアンプなんですよ(笑)。

狩野 イノクチの誕生日にBOSSのSD-1をあげたら、それをJCにつないで使うようになっちゃったという(笑)。

ムスタングはイマイアキノブさんから借りているものですよね? どんなところが気に入っていますか?

イノクチ 見た目ですね(笑)! カート・コバーンがめちゃくちゃ好きだったから、ムスタングにはけっこう憧れていたんです。あとオレ、高校生の時に福岡にROSSOのライブを観に行ったんですよ。もう衝撃のライブでね。その日のアンコールで1曲、イマイさんが赤いムスタングを弾いていたのがすごく記憶に残っていて。

そうだったんですね!

イノクチ で、オレがずっとメインで弾いていたLead Ⅱがボロボロになって、新しいのが欲しいと思って、ムスタングはどうかなと考えたんですよ。でも、じゃじゃ馬というか、チューニングが安定しないっていうイメージがあったから、ギターに詳しい人にいろいろと聞いていて。その流れでイマイさんにも“ムスタングってどうなんですか? やっぱり扱いづらいんですか?”って聞いたら、“オレの弾くか?”って言われて(笑)。

え〜(笑)!

イノクチ “いつでも貸してあげるよ”って言われて、その日に取りに行ったという(笑)。

狩野 スタジオで、すごく自慢した顔でケースから出してきたよね(笑)。

イノクチ マジでうれしかったな〜。本物の音がするわ(笑)。

>ふたりのメイン・ギターの詳細は次ページにて!