Interview|沖聡次郎&山田海斗による骨太ツイン・ギターが告げる『開幕宣言』 Interview|沖聡次郎&山田海斗による骨太ツイン・ギターが告げる『開幕宣言』

Interview|沖聡次郎&山田海斗による骨太ツイン・ギターが告げる『開幕宣言』

ポップスという枠組みの中でも、
ロックはできる。
(海斗)

表題曲「開幕宣言」や「ツキミソウ」などではアコギをフィーチャーしています。これも今作のトピックスですよね。

聡次郎 アコギの表現の幅であったり、楽曲への混ざり方がとても好きなんですよね。それでいて、壮大さや切なさも表現できるのでアコギって凄いなと。

「あなたを求めただけなのに」ではアコギとエレキによる2段構えのソロになっています。

聡次郎 これは今時、誰もやらないですよね(笑)。

この曲を最初に聴いた時、“2人ともどうかしちゃったんだ”と思いました(笑)。

海斗 (笑)。しかも、この曲はメジャーでの2枚目のシングルですからね。めちゃくちゃポップな「Sunny drop」の次がこれっていう(笑)。

アルバムの収録順で言えば、その次の曲にあたる「bedroom」もエレキのソロが2段構えになっていますよね。

聡次郎 この曲は前半部の“静”のパートと後半の“動”のパートが混ざったバラードにしたかったんですよね。行き場のない感情のようなカオス感を表現したくて、こういう構成になりました。

特に後半のソロはタメの効いた泣きのフレーズから入って、エモーショナルなトレモロ・ピッキングで終わるアルバムのハイライト的なプレイになっています。

聡次郎 このソロはアルバムで一番好きなソロかもしれませんね。ここはレコーディングの時に本当に泣きながら録ったんですよ。涙を流すような精神状態じゃないと表現しきれないと思って。

“情感たっぷり”を飛び越えて。

海斗 ここのソロを録り終わったあと、拍手したもんね。

聡次郎 弾き終わってブースを見たら、みんな立ち上がってました(笑)。

さて、今作で活躍した機材についても教えて下さい。ギターはどのようなものを?

海斗 僕はギブソン・カスタム・ショップの54リイシュー・レス・ポールと71年製のレス・ポール・デラックス、2019年製のレス・ポール・スタンダードを使いました。カッティングやファンキーな楽曲ではNash GuitarsのSTタイプを弾いています。「Friends for life」などで使用したアコギはレンタルしたギルドのものですね。

聡次郎 僕はSOULTOOL CUSTOMIZED GUITARSのVENUS CUSTOMとGemini Customが多かったですね。ダウン・チューニングの「PANDORA」ではスティーヴ・ルカサーのシグネチャー、ルークⅢを使っています。あとはG’Seven GuitarsのJMタイプも弾いていて。あとはES-335を2本使っています。

ES-335を2本?

聡次郎 帯域がかなり違うので、曲ごとに試しながら使い分けているんです。

なるほど。アンプに関してはどうでしょう?

海斗 ボグナーのスタンダード・シーヴァ。あとはフリードマンのものやマーシャルのブルースブレイカーも使いましたね。

聡次郎 今作はほとんどマーシャルのビンテージ・モダン2466とボグナーの12インチのスピーカーが2発載ったキャビネットの組み合わせでしたね。「Friends for life」だけはどうしてもフェンダーのツイン・リバーブ特有のリバーブ感が欲しかったので、アンプを替えました。

ペダルはどういったものを使いました?

海斗 「PANDORA」のソロはフリードマンとレス・ポール・スタンダードにVEMURAMのSHANKSを組み合わせて録ったんですけど、気に入っています。

「さよならインベーダー」のソロは強烈なサウンドですが、これは?

海斗 Wampler PedalsのTERRAFORMで、ロータリーとフェイザーを強烈にかけています。ここはインベーダーがやってくる時の音をイメージして作りました。

bedroom」の中盤で聴けるモジュレーションもかなり印象的なサウンドです。

聡次郎 ここはコーラスを前段でかけて、モディファイしたFuzz Faceを後段で踏んで録りました。あとはソロの時にXOTICのRC Boosterを使って欲しい帯域を少し持ち上げたくらいで、僕はペダルをほとんど使ってないですね。

ありがとうございます。最後に改めて今作の聴きどころを教えて下さい。

海斗 今はバンドっぽくないサウンドが流行っていると思うんです。もちろん僕らにもそういう曲はあるんですが、バンド・サウンドが大半を占めていて。“ポップスという枠組みの中でも、ちゃんとロックができるんだ”という振り幅を今作から感じていただければ、と思います。

聡次郎 今作の『開幕宣言』は文字どおり、“何かを始める”ということがテーマになっているんです。今回、自分なりに挑戦したフレーズが多く入っているので、今からギターを始める人がそうしたプレイを聴いてくれると嬉しいですね。

SOUJIRO & KAITO’S GUITARS

SOUJIRO’S
SOULTOOL CUSTOMIZED GUITARS
VENUS CUSTOM

こだわりを詰め込んだオーダーメイドの1本

こちらは聡次郎のメイン器。スイスのギター・メーカー、SOULTOOL CUSTOMIZED GUITARSのVENUSをもとにオーダーメイドした1本だ。ハイ・フレットに向かうにつれフラットになるコンパウンド・ラジアス指板、1ボリューム&1トーンのコントロール部、SSHのPU配列など、こだわりの点が多数。なお、トーン・コントロールはプッシュ/プル式で、プル時はトーンがフルで固定される。

KAITO’S
ZEMAITIS
PFG24 RING

今作のツアーのために入手した新たな相棒

海斗のメインは今年手に入れたというZemaitis PFG24 Ring。ボディ・トップ全面にマザー・オブ・パール&アヴァロンの装飾を施した美しい1本で、改造点はなくオリジナルのまま使用している。以前のメイン器=ギブソン・カスタム・ショップ製54リイシュー・レス・ポールの比べるとレンジがミッドに寄った印象で、“リードを弾いた際に音がよく抜けてくれる”点がお気に入りだと語ってくれた。

作品データ

『開幕宣言』
Novelbright

ユニバーサルシグマ/UMCK-1689/2021年4月28日リリース

―Track List―

01.El Dorado
02.開幕宣言
03.Sunny drop
04.青春旗
05.ツキミソウ
06.Friends for life
07.さよならインベーダー
08.PANDORA
09.あなたを求めただけなのに
10.bedroom
11.フェアリーテール
12.愛結び
13.ハミングバード

―Guitarists―

沖聡次郎、山田海斗