プロ・ギタリストたちが培ってきた“DL4活用術”を教えてもらうこの企画。今回は、indigo la Endのギタリストであり、独特の儚げな世界観を空間系を生かしたギターで支える長田カーティスに教えてもらおう。バンドのデビュー当初からDL4をメイン・ディレイとして愛用していたという彼に、本機の魅力を存分に語ってもらった。
取材/文=伊藤雅景
*本記事はギター・マガジン2022年5月号の特集『How To Use DL4?~新機種”MkⅡ”でも使えるプロ5人のDL4活用術』を再編集したものです。
INTERVIEW
ダントツの魅力は“使いやすさ”。これに尽きると思います。
EXPペダルで表現の幅が広がる
入手当初はどういった使い方が多かったですか?
デジタル・ディレイ、アナログ・ディレイとして使うことが多かったですね。特にAnalog w/ modのモジュレーション感が好きでした。
DL4の使い方で何かこだわりはありますか?
その曲の雰囲気や方向性によって変わってきますけど、エクスプレッション・ペダルで表現の幅を広げてましたね。隠しモード的な扱いなんですが、手前か奥のどちらに踏み込むかで、2種類のサウンドを行き来させることができるんです。
例えば、ショート・ディレイのバンクでは、エクスプレッション・ペダルを踏み込むと徐々にディレイ音が発振していくように設定したり。ライブ中にエフェクト音がうるさくなり過ぎてもすぐにコントロールできるので便利ですね。
一方で、ディレイ・タイムは細かく数値が設定できないので、曲によってタップ・テンポを使い微調整しています。お客さんには“足でパタパタ何やってるんですか?”って言われたりもするんですが(笑)。
ギタリストじゃないとわからないですよね(笑)。3つのプリセットには何を登録していますか?
[A]がAnalog w/ modで、[B]にはDigital Delayを設定しています。[C]はTape EchoかAnalog w/ modのどちらかのモードで、ショート・ディレイとして使っていますね。あとは、Reverseモードも気に入っていてレコーディングではたまに使うんですが、それだけで1個のバンクを埋めちゃうのはちょっともったい気がして……(笑)。
ライブでリバース・ディレイが欲しい時はその都度セッティングをいじるんですけど、かれこれ12年以上はDL4を使っていたのでその作業もパッとできるくらいには慣れましたよ。
12年以上の長い間DL4を使い続けた理由と、別機種を導入したきっかけは?
自分が直感的に“パッ”と音を作れて、純粋に使いやすい機種がDL4だったので長い間乗り換えなかったんです。で、今のボードには別のプログラマブル・ディレイが組み込まれているんですけど、それはライブで必要なプリセット数が膨大に増えてしまったからで。DL4から切り替えざるを得なくなったんですよ。ただ、新しい多機能なモデルって色々なことができる反面、DL4みたいに気軽に設定を変えることが難しいんですよね。その点、DL4は凄くプレイヤー目線で作られているなと感じます。
Line 6なのでプロ・ユースでしょう
新しいDL4 MkIIは長田さんからどう見えますか?
まず今までのDL4と同じモードが使えるのが良いですよね。重量も軽くなりサイズもダウンしたので、DL4ユーザーの方が乗り換えるにはピッタリだと思います。しかもシークレット・リバーブ・モードまで搭載しているとは……。
リバーブだけでも15モデル入っていますからね。
リバーブのエフェクターが入ってるところを節約できるのかなーとかも考えちゃいますよね。そしてMIDIの搭載もアツい。自分が導入したら間違いなく使います。何より、常にデジタル・エフェクターの最先端を走ってるLine 6なので、今回のMkIIも間違いなくプロ・ユースのクオリティを兼ね備えているんだろうなと期待してますね。
それでは最後に、DL4の魅力とは?
ダントツの魅力は“使いやすさ”。これに尽きると思います。現場で自分の好きな音を瞬間的に作れて、かつ多機能なディレイって意外となくて。
本誌2020年4月号の『もしペダ』企画でも同じ理由で選んでいましたよね。
あと、この価格帯でこれだけ色々なものが入ってるっていうのも凄く嬉しいしですし、サウンドもそこまでハイファイじゃないところもまた良くて。昨今の高品質なエフェクターと比べると少し音が丸いような印象を受けるんですけど、今思うとその音の丸さも逆に音楽的で使いやすい。この弾き心地と使いやすさはなかなか代えが効かないんじゃないかなと思います。
My DL4 Tune
「夜の公園」
(『さようなら、素晴らしい世界』収録/2012年)
おもにサビ裏のメロディに絡む単音フレーズでDL4のサウンドを聴くことができる。Analog Echo w/ modモードを使用した輪郭のぼやけたディレイが、チャーチ・リバーブのような役割を担っている。ゆったりとしたエコーの揺らぎが、幻想的ながらどこか寂しげな空気感を表現するのに一役買っているようだ。
Line 6
DL4 MkII

【スペック】
ディレイ・エフェクト数:30
リバーブ・エフェクト数:15
ユーザー・プログラマブル・チャンネル数:6(MIDIコントロールで最大128)
ルーパー最長Rec時間(フル/ハーフ):120秒/240秒(microSDで拡張可)
入出力端子:1/4″イン×2、XLRイン×1、1/4″アウト×2、EXPアウト、MIDIイン/アウト/スルー、USB、micro SD
電源:9V DCアダプター(500mA)
サイズ:235(W)×114(D)×51(H)mm
重量:0.92kg
【価格】
希望小売価格:59,400円(税込) ※価格改定により2023年1月27日に記事内の記載を更新
【問い合わせ】
ヤマハミュージックジャパン Line 6インフォメーションセンター TEL:0570-062-808 http://www.line6.jp