豪快で華やかなドライブ・サウンド、みずみずしいクリーン・トーンなど、多彩な音色を聴かせてくれるジョン・フルシアンテ。今回は彼のサウンド・メイクに対する考え方や、2022年リリースの『Unlimited Love』、『Return of the Dream Canteen』で重視した音作りのポイントなどを話してもらった。
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翻訳=トミー・モリー Photo by Joey Foley/Getty Images
“俺はビッグなんだぜ!”なんて伝えることには何の興味もないよ。
あなたのギター・サウンドについて聞かせて下さい。まず、バッキングでもリード・プレイでも、インパクトのあるクリーン・トーンが印象的です。
俺は“どうやってパンチのあるサウンドを作るか”を第一に考えて音作りをしているんだ。それって、ディストーションとかで歪ませることよりも重要なことだよ。歪みすぎたギターってヤワなサウンドに聴こえることが多いし。
それに、たとえリッチで厚みのあるトーンだとしても、楽器を鳴らした際に“エキサイティングなパンチ”が欠けていたら、それは俺にとって何の意味もないものになってしまう。
クリーン・トーンに意識を向けるようになったきっかけを教えて下さい。
子供の頃から愛し続けてきた、俺のギター・プレイの基礎となっている音楽がきっかけだね。ギタリストだと、B-52’sのリッキー・ウィルソン、バウ・ワウ・ワウのマシュー・アッシュマンといったような人たちだ。バンドでいうならザ・キュアーやスクリッティ・ポリッティ、あとはミニットメンとか。
かなりヘンテコなヤツらだったけど、彼らは真のオリジナリティを生み出していたと思うし、ギター・プレイもかなりグッドなものだった。こういった人たちやバンドは、パワフルで素晴らしいクリーン・トーンを鳴らしていることが多いんだ。
例えば、ミニットメンのD・ブーン(vo,g)のプレイを聴いてもらえれば俺の言っている意味がよくわかると思う。彼のソロは、もうこれ以上ないってくらいのクリーン・トーンでプレイされているのに、ヘヴィー・メタルのギターよりも重厚でパワフルに聴こえるんだ。それは、彼が多くのことを考えて、魂やフィーリングを込めて弾いているからなんだと思う。
そして、B-52’sのリッキー・ウィルソンにも衝撃を受けたよ。彼らは俺が初めて大きな会場で観たバンドだったかな。83年のことだったと思う。そこで聴いた彼のギター・プレイは、サウンドの素晴らしさもさることながら、多くの観客をハッピーにさせていて、本当に驚異的だったよ。エモーショナルな体験を重要視している俺には、彼のサウンドは深く心に刺さったんだ。
そういったヤツらの音色が俺の核になっているよ。だから、“ほら、俺がどれだけマッチョでタフなのか見てくれよ、俺はビッグなんだぜ!”なんて伝えることには何の興味もないよ。
なるほど。一方、ドライブ・サウンドもあなたのシグネチャー・サウンドだと思います。最近はどのように歪みを作ることが多いですか?
俺はディストーション・ペダルを2台以上使うことが多いかな。たいてい俺はBOSSのエフェクターをオンにしていて、黄色(SD-1)やオレンジ(DS-2)のいずれかを使っている。そして、そこにエレクトロ・ハーモニックスのBig Muffや、MXRの茶色いディストーション・ペダル(Super Badass Variac Fuzz)を重ねたりね。
これらのペダルは『Unlimited Love』でも『Return of the Dream Canteen』でもたくさん使ったよ。具体的にどれをどこで使ったのかまでは覚えてはいないけど、今紹介した4個のエフェクターを組み合わせてサウンド・メイクしているんだ。
アンプは、マーシャルをかなりラウドに鳴らしているよ。で、レコーディングの時はアンプと同じブースで弾くようにしている。ラウドなアンプの前にいれば、超ブッ飛ぶサウンドやインスピレーションにつながる何かが得られるし、それに伴ったイカしたフィードバックのようなものが得られるんだ。
今年リリースした2枚のアルバムはほとんどそのプレイ・スタイルでレコーディングしているよ。まさに、そのおかげで俺の独特なトーンが生まれているんだ。

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