野性爆弾くっきー!がブートレッグと生み出したエフェクターONI-UNARI&ONI-HINERI 野性爆弾くっきー!がブートレッグと生み出したエフェクターONI-UNARI&ONI-HINERI

野性爆弾くっきー!がブートレッグと生み出した
エフェクターONI-UNARI&ONI-HINERI

川谷絵音率いるジェニーハイではベーシストを務め、ギター好きとしても知られるお笑いコンビ、野性爆弾のくっきー! そんな彼と、国産ハンドメイド・エフェクター・ブランドの老舗=ブートレッグ (Boot-Leg)のコラボが実現した。完成したのは、クリーン・ブースターの“ONI-HINERI”とオーバードライブ“ONI-UNARI”の2モデルだ。今回はくっきー!に、コラボの経緯やサウンドのこだわりなどを聞いた。

インタビュー=編集部 撮影=小原啓樹

Boot-Leg × Cookie
ONI-HINERI&ONI-UNARI

ONI-HINERI(ブースター/オーバードライブ:左)、ONI-UNARI(オーバードライブ:右)。
ONI-HINERI(クリーン・ブースター:左)、ONI-UNARI(オーバードライブ:右)。

ブートレッグとくっきー!がコラボして生まれた、2023年2月現時点でそれぞれ世界に1台のONI-HINERIとONI-UNARI。

くっきー!のYouTubeチャンネルで観られるとおり、試奏した中で気に入ったブートレッグのモデルに、くっきー!が描いたイラストを筐体にあしらったものだ。

その中身は、ONI-HINERIがクリーン・ブースター=Gain Helper、ONI-UNARIがオーバードライブ=Jaw Breakerだ。

ガラスを割ったみたいな音が“カッケー!”と思って

ブートレッグ(Boot-Leg)とコラボした経緯を教えて下さい。

 ブートレッグさんサイドからお話をいただいたんです。最初は“基板から〜”みたいなレベルのことを言われてたんですけどね。で、“とりあえず、試しに持っていくんで弾きましょう”って来てくれた時の動画をYouTubeにあげたんです。

 ほんで、弾いてるうちに僕的に好みのやつが出てきたんで、まずは“表板を変えたやつを作りますよ”的な感じで。で、こっからまた先、僕用のエフェクターについて話してて……。

おぉ! 完全なオリジナル・ペダルの開発ですか?

 “誰がやってんねん!”って感じですけど(笑)。

それで筐体デザインを変えてできあがったのが、ONI-UNARIとONI-HINERI。中身はONI-UNARIがJaw Breaker(オーバードライブ)で、ONI-HINERIがGain Helper(クリーン・ブースター)なんですよね?

 はい、そうですね。

元のペダルを初めて弾いて、すぐに気に入ったんですか?

 そう、持ってきてくれたやつは全部弾きましたけど、Jaw Breakerはギャッシャン・ギャッシャンっていう、ガラスを割ったみたいな音が“カッケー!”と思って。

 ディストーションよりもオーバードライブが好きなんですよ。“ディストーション好き面(ヅラ)してる”と言われるんですけど、意外と。クリアに歪んでるほうが好きなんで、そこも凄く良かったんですよね。あと、ちょっとツマミを上げていったら、歪みも強くなって。

けっこう、可変幅が広いですよね。一方Gain Helperは、渋いチョイスですね。

 “ギーソロ(ギター・ソロ)弾く時に音をそのまま上げたい”ってところで、ホンマもう“これ!”でしたね。だから、ONI-UNARIつないだら、その音をそのまんまONI-HINERIが上げるだけ、みたいな状態ですかね。GAINツマミもほぼゼロに近い状態で使ってます。

Gain Helperは発売してから随分経ってるんですが、ここ数年でまた急に人気が出てるんですよ。

 そうなんですね。よかったです、売れてね。ブートレッグさんがなくなったら大変ですもん。でも、ブートレッグがなくなったら、これもどんどん貴重になっていくんですか?

もうすでに貴重だと思いますけど(笑)。

 ああ、そうか。これだけですもんね。

世界に1個ずつですよ。

ONI-HINERI&ONI-UNARIをつなげて弾く、くっきー!。
くっきー!

ギャルに人気出たいんで

モデル名はONI-UNARIとONI-HINERI。この名前の由来は?

 もうだから、鬼が唸りを上げる音というか。鬼が共鳴しちゃうっていうイメージでつけましたよ。で、鬼がウネる……もう体をグッとひねって、アバラをこう……。そしてアバラが軋み出す……“ABARA-KISHIMI”と悩んだんですけど。

(笑)。

 鬼シリーズにしましたね。鬼ってギャルとかに流行ってるんでしょ?

そうなんですか?

 “鬼臭いんですけど~!”とか“鬼ウマいんですけど~!”みたいな。で、“鬼唸るんですけど!”、“鬼ひねっちゃうんですけど!”みたいな感じで。

なるほど(笑)。

 ギャルに人気出たいんで。

イラストはどういうイメージなんですか?

 これはもう、色んな鬼がうねってる感じですね。で、なんとなく、パーティー・チューン的な感じで唸るのってレゲエっぽいイメージがあったんで、ちょっとラスタ・カラーっぽく。レゲエは一切やらないですけど。こっちは、ひねってゲボ吐いてる感じですね。

(笑)。

 ひねりゲボ。あと、この2つは一応つながってるんですよ。

あ、本当だ。絵がつながってますね。

ONI-HINERI&ONI-UNARIのイラストをつなげてみた。
簡易的につなげてみた。

 はい。ひねり上げられて脳破壊されたやつが、こうゾバゾバ……。脳が鬼と化してる、出ていってる。いいでしょ? これ、一応全部僕の顔なんですよ。ちょっとスマートにし過ぎたかもしれないですけど。

好みはね、“歪んでそうで歪んでない”くらい

すでに実際に使っているんですか?

 ライブ自体はやってないんですけど、1回スタジオ入った時に使いました。すげえ使い勝手が良くて。

もともと歪みはBOSSのBlues Driverを使ってましたよね。その代わりという感じですか?

 そうっすね。でもBlues Driverは今も入れてて、クリーンの時に使う時に薄っすらかけておく感じ。ほんで、こいつ(ONI-UNARI)でベンって歪ます感じにしてます。

ブースターは今まで使ってなかった?

 ブースターはいっぱい買ったんですよ。でも、やっぱり音が変わるものが多くて。ブースターとしてはこいつ(ONI-HINERI)が一番よかったですね。だからこのセット、すげえ使い勝手良いです。まぁジャンルがパンクなんで、そんな凝った音は要らないんですけど、すげえ良いですよ。あと、なんかブースターって小っちゃいの多ないですか?

小さいモデルも多いですね。

 “上げるだけなんで、僕、小っちゃくていいんですよ”みたいなやつ多いじゃないですか。薄いのとか、箱が小っちゃめとか。中国の本格的な麻雀牌くらいのサイズまであるじゃないですか。

(笑)。

 ライブで一番踏むことになるやつが小っちゃかったら、すげえストレスで。これ(ONI-HINERI)はデカいから、わかりやすくていいですね。

歪みエフェクターはどんなものが好みなんですか?

 好みはね、“歪んでそうで歪んでない”くらい。ガレージ・パンクとかが好きで、ミッシェル・ガン・エレファントとか、あんな感じのギターの音も好きなんで。とはいえミュートも綺麗であってほしいし、コードで弾いた時にもダマにならんというか、全部が粒立って聴こえてるほうがいい。っていうのも踏まえて、やっぱこれ(ONI-UNARI)が良かったですね。

芯から歪み過ぎてグシャーっとなり過ぎないほうが。

 そうそう、“グシャー”がダメですね。

Blues Driverに行きつくまでは色々試したんですか?

 いや、Blues Driverはもうガキの頃からですね。最初はBOSSの黄色いオーバードライブ……。

SD-1?

 ですかね。それでしたけど、誰かツレが“Blues Driver、かっこええで”みたいに言ってて。あと、“オーバードライブって書いてるやつより、Blues Driverって書いてるほうがかっこよくない?”みたいな。オーバードライブに“Over Drive”って書いてあるの、少年がゼッケン付けてるみたいな感じじゃないですか。

“ROCK!”って書いてあるTシャツと一緒ですかね。

 そうそう(笑)。だから、“Blues Driverって、名前渋過ぎるやろ!”みたいな。それでもうBlues Driverにいきましたね。でも、やっぱめちゃめちゃ使い勝手いいですよ。

ONI-HINERI&ONI-UNARI。

長いエフェクターが欲しいですね、それがいい

このあとは、ついにオリジナル・モデルなんですよね?

 だから、ブートレッグさんところ行って、白衣着たドクみたいな人たちと語り合うんじゃないですか?

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の(笑)。

 “これ、もうちょっと歪みたい”、“歪み過ぎ。クリーンが欲しいです”とか。だから、本音を言えばこのブースターと歪みはもう一緒でいいですよね。

横長の1台?

 そう。ほんで、チューナーも付いてて。ディレイとかも入った鉄の塊が欲しいんですよ。

むちゃくちゃ重そうですけど……。

 でも、そこに取っ手付けたら、もうそのまま持っていけますよ。

ああ、いいですね(笑)。ケースもいらないですね。

 で、肩にシールドかけて、ギター持ったらいけるんで。

これを横長の筐体に組み込めば良いから、ブートレッグに頼めばやってくれるんじゃないですか?

 そうですよね。このパッチ・ケーブルがないほうがいいじゃないですか。これ(ONI-HINERIとONI-UNARI)も引っ付いてるほうが絵的にも合ってるんで。もう、長いエフェクターが欲しいですね、それがいい。

一部を入れ替えたりはできなくなりますけど。

 あ、そうっすね、不便か(笑)。

(笑)。さて、ONI-HINERIとONI-UNARIの商品化はあるのでしょうか?

 たぶんないと……わかんないです。“する”って言うんなら、僕もう“あ、ありがとうございます”って。

ONI-HINERI

ONI-HINERI

ONI-HINERIのツマミはGain Helper同様、GAINとMASTERのみというシンプルな構成。くっきー!はGAINをゼロにして、クリーン・ブースターとして使用している。イラストはくっきー!をモチーフにした顔が横向きに倒れながら、何かを吐き出しているデザイン。フット・スイッチに踏みやすいようキャップをしているのは、ライブ時を想定したアップデートだろう。

キャップの付いたフットスイッチ
フットスイッチにはキャップを付けて踏みやすくしている。
ONI-HINERIの筐体裏面
筐体背面。シリアルナンバーは“くっきー!シグネチャー”ということで、“CKSIG-001”。

ONI-UNARI

ONI-UNARI

ONI-UNARIのツマミはJaw Breaker同様、LEVEL、低音の重量感を加えるHEAVY、ゲインをコントロールするBREAKの3つ。イラストはくっきー!をモチーフにした顔が並び、全体をラスタ・カラーでまとめている。この顔のイラストは、ONI-HINERIの頭頂部からつながっているというデザインだ。

ONI-UNARIの筐体表面
モデル名の下にはOUN-1.0の文字。バージョンの更新はあるのだろうか……?
ONI-UNARIの筐体裏面
筐体背面。こちらもシリアルナンバーは“CKSIG-001”。

■Boot-Leg公式サイト
http://www.sam.hi-ho.ne.jp/tsu-/boot-Leg/

■YouTubeくっきー!公式チャンネル
https://www.youtube.com/@wildbombcookie