来日公演目前! スティーヴ・ルカサーが語る“新生TOTO”の現在 来日公演目前! スティーヴ・ルカサーが語る“新生TOTO”の現在

来日公演目前! スティーヴ・ルカサーが語る“新生TOTO”の現在

2023年7月に来日公演を控えるTOTOのギタリスト、スティーヴ・ルカサーにインタビュー! 2020年から新たなメンバーで活動を再開したTOTOの現在、そして来日公演の意気込みを語ってもらった。

インタビュー/翻訳=トミー・モリー 質問作成=福崎敬太 Photo by Andreas Rentz/Getty Images for ZFF

日本に行く頃にはリフレッシュしたベストな状態で挑むことになると思うよ!

2023年はTOTOの来日公演、さらにはソロ・アルバム『Bridges』の発表など、あなたに関するニュースが続いて嬉しい限りです!

 ありがとう!

2020年に今のメンバーになってから初めての来日公演です。現在のバンドはどのような状態ですか?

 もうすでに150ものショウをプレイしてきたことで、バンドはタイトになっている。アメリカ国内ではジャーニーと一緒にツアーもして、2万人クラスのアリーナでプレイしてきた。ソールドアウトが連発していて、ここまで大規模な成功したツアーはかなり久しぶりだったよ。

ジャーニーとのツアーには驚きました!

 ジャーニーと一緒にツアーしていた時、彼らはそこまでスケジュールを詰め込んでいなかったから、俺たちは自分たちのショウもやっていたんだ。

 俺たちを観たい人たちがいる限り、自分たちのケツを叩きながらショウを続けていく。観客規模は関係なしに、俺たちは力を尽くしてみんなが聴きたい音楽をプレイして、会場の最後列まで届けていくのさ。

日本でのライブはどのようなものになるのでしょう?

 緩急のあるオールドスクールなロック・ショウになるだろうね。ステージ後方に巨大なスクリーンがあったり、花火の演出があったりなんていう、今やビッグショウの陳腐なお約束になっちゃったものが一切ないんだ。

 ジャーニーとのアリーナ・ツアーで、オーディエンスと直接向き合うようなやり方に手応えを感じてきた。目の前にいる観客に“これを見てくれよ!”と言わんばかりに披露しようとして、俺たち自身もハードにプレイしてしまったよ。

 あと、日本のツアーでは古い曲もたくさんプレイするつもりで、それは俺たちの新メンバーがやりたがっているのもあるし、日本のファンたちが聴きたがっているというのもある。ちょっとしたサプライズも入るかもしれないね。

 今のところ昔の曲を新しくアレンジしているし、メンバーはみんな本当に腕が確かだから弾いていて楽しいんだ。

新しいグルーヴで奏でるTOTOの楽曲は、やはりあなたにとっても新鮮なものがありますか?

 そうだね。それにこんなにショウをこなしているのだから、バンドはどんどん良くなっているとしか言いようがないよ。これだけのライブをやらないと得られないグルーヴに、嫌でも自信がついてくるもんだ。

 今のところ俺たちは少しの休憩を挟んでいるから、日本に行く頃にはリフレッシュしたベストな状態で挑むことになると思うよ!

現在バンドの状態は素晴らしいようですね。

 TOTOは1978年、1988年、1998年、もしくは2002年の状態に戻ることはできない。これくらい長くやっているクラシックなバンドだと、同じメンバーで維持していくのは何かしらの理由でとても難しいことなんだ。

 それにバンドが進化する一方で、亡くなったメンバーもいた。ツアーをやりたくないっていう人間もいた一方で、デヴィッド(ペイチ/vo,k)は健康的な理由で続けられなくなった。それでも今も彼とは頻繁にやり取りしているし、TOTOはデイヴのバンドだから、俺はその灯りを絶やさないようにしているところもある。

 たまたま俺だけはずっとメンバーとして残っているけど、それでもバンドの調子がまだ上がり続けているっていうのは本当に驚くべきことだよ。

すでにポジティブなヴァイブを感じている

これまでもたびたび日本に来てくれていますが、来日で思い出に残っているエピソードを教えて下さい。

 それはかなりハードな質問だ。俺は日本で信じられない体験をたくさんしてきた。でもやっぱり初めての時の記憶に戻ってしまうかな。

 あれは1980年のことで、まだ日本が欧米化する前の雰囲気が残っていた。ロサンゼルスのノース・ハリウッドのガキだった俺は、ワンダーランドに迷い込んだような気分だったよ。すべてが新しい経験で、空港でファンが待ち受けているのを見て“なんだこりゃ!”と驚いた。あの瞬間から俺は日本が好きになって、ほぼ毎年日本に行っていた気がするよ。

 あとは、日本でジェフ・ベックとプレイしたこともあるし、ラリー・カールトンとも共演した。TOTOでの大成功だったショウはもちろん、生涯続く友人たちもできた。日本食も大好きだしお気に入りのレストランもいくつかあるよ。

今回の来日で楽しみにしていることはありますか?

 今回は、まだ海外に行ったことのない15歳の娘も連れて行くつもりなんだ。俺にはすでに結婚した30代の子供が2人と10代の子供が2人いて、今まで海外のツアーには子供を1人だけ連れて行っていたんだよ。やっと彼女にもその順番が回ってきたというわけだ。彼女の目で日本を見てほしくて、父と娘の素晴らしい時間を過ごさせてもらうよ。

 ショウも良いものになるだろうし、すでにポジティブなヴァイブを感じている。本当に待ちきれないよ!

TOTOが80年代にリリースしてきた音楽は、Apple MusicやSpotifyといった配信が主体となった現在でも何百万回と再生され続けています。どういった気分ですか?

 もう狂っていると思うね(笑)。過去8年間で俺たちの音楽は35億回も再生されたんだ。俺はこのストリーミングによってかなり成功した身だから、Spotifyとかが大好きだよ。もちろん彼らを嫌っている連中もいるけどね。

 「Africa」だけで10億回再生されているのはなんかヘンな感じだけど、これによって俺たちはかなり助けられたところもある。

 1978年のロサンゼルスのプレスなんて俺たちのことをみんな嫌っていたけど、そんなことを今のキッズはまったく気にしちゃいないんだ。

やはり若いファンたちの存在も感じていますか?

 パンデミック直前のオーストラリアのフェスでプレイしたことがあった。ラッパーなんかも出演するようなフェスだったから、オーディエンスは10代から20代のキッズだらけだったんだ。それなのに、みんな俺たちの曲を口ずさんでいたんだよ。

 “ヤバイぞ。彼らが唯一知っている「Africa」をプレイしちゃったんだが、このあとどうするよ?”なんて困っていたんだ。“もうこのままやるしかないだろう。オールドスクールな感じでいつものライブをやればいいんだ。それがどうなるか試してみよう!”って感じだった。

(笑)。

 それでいつもどおり演奏したんだけど、今まで体験したことがないくらいオーディエンスはクレイジーだったよ! 生身の人間が音楽をプレイすることに、彼らが感じたことのないリアルさがあったみたいなんだ。

 今の子供にだって、Pro Toolsで作り込まれた音楽で口パクをしているようなアーティストとそうじゃない音楽との違いは伝わっている。俺たちがやっている音楽はティーンネイジャーにも伝わる本物だってことなんだ。俺が若い頃に聴いて育ったロック・ミュージックはみんな、今でもうまくやっている。

日本にも若いあなたのファンがたくさんいます! 来日を楽しみにしています!

 ありがとう! ぜひライブを観に来てくれよ。君たちのサポートは本当にたくさんの意味があるんだ。God bless you all!

TOTO JAPAN TOUR
公演情報

日程/会場

  • 2023年7月10日(月)/福岡県・福岡サンパレス ホテル&ホール
  • 2023年7月12日(水)/石川県・本多の森ホール
  • 2023年7月14日(金)/愛知県・名古屋国際会議場 センチュリーホール
  • 2023年7月15日(土)/大阪府・丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
  • 2023年7月17日(月)/広島県・JMS アステールプラザ 大ホール
  • 2023年7月19日(水)/宮城県・仙台サンプラザホール
  • 2023年7月20日(木)/岩手県・岩手県民会館
  • 2023年7月21日(金)/東京都・日本武道館

チケット

S席  ¥17,000 (税込)
A席  ¥16,000 (税込)

※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細はウドー音楽事務所HPをチェック!

ウドー音楽事務所公式HP
https://udo.jp/concert/TOTO2023

作品データ

『Bridges』
スティーヴ・ルカサー

ソニー/SICX-30178/2023年6月21日リリース

―Track List―

  1. FAR FROM OVER
  2. NOT MY KIND OF PEOPLE
  3. SOMEONE
  4. ALL FOREVERS MUST END
  5. WHEN I SEE YOU AGAIN
  6. TAKE MY LOVE
  7. BURNING BRIDGES
  8. I’LL NEVER KNOW

―Guitarists―

スティーヴ・ルカサー、トレヴァー・ルカサー

Guitar Magazine LaidBack (ギター・マガジン・レイドバック) Vol.13

2023年7月13日(木)発売のギター・マガジン・レイドバックVol.13の特集は、スティーヴ・ルカサー! ミュージシャンとしての始まりから現在のTOTOについてまで、キャリアを総ざらいした2万字超のロング・インタビューを掲載!