フェンダーからシグネチャー・ファズ=Fender Shields Blender Limited Editionをリリースした、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ。このペダルについてインタビューした際に、本誌2021年6月号で表紙を飾った時に話してくれた、新作レコーディングの進捗についても聞いてみた。音作りなどの貴重な話も聞けたインタビューのアウトテイクを、特別に公開しよう。
インタビュー/翻訳=トミー・モリー 質問作成=山本諒 Photo by Samir Hussein/Getty Images
一度は“ロング・スケールのジャガー”を
所有していたんだよ。
改めて、ギター・マガジン2021年6月号ではご協力をありがとうございました!

ギター・マガジン 2021年6月号
『ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)“美しいノイズ”を生み出す天才のすべて』
サンキュー、僕を表紙に載せてくれてありがとう(笑)。ナイスな仕上がりだったね。
本号は日本国内で大きな反響がありました。イギリスでは販売していませんが、周囲からの反応はありましたか?
少しあったよ。日本の雑誌ってこっちとはまったくクオリティが異なっていて、もはや“本”と呼ぶべきだよ。その結果、何が書いているのか読めなくても日本の雑誌をきちんとした“本”として買い求める人は世界中にいて、どうやら僕の情報が世界中に知れわたっていったようだったね(笑)。
サーストン・ムーアやJ・マスキスもあなたのためにコメントしてくれましたが、2人とやりとりをしたりは?
それはなかったかな。僕らはそういうことを話したりしないんだ。僕がJ・マスキスについて言葉を求められて話すことはあっても、Jに“先日君のことを話したんだよね”なんて報告しないよ。そんなことよりも“ハチの羽音みたいなサウンドのファズを知っているか? クールだよね?”みたいな話をしているね。
(笑)。今回はフェンダーのShields Blenderについて話をしてもらいましたが、Blender以外だとあなたはどんなファズが好きなんですか?
Octaviaスタイルのペダルはたくさん買っているよ。ライブで「you made me realise」を演奏する時は7〜10台も使っている。それぞれをいろんなタイミングでオン/オフさせていて、とにかくいじくりまくって、常にサウンドを変えている感じなんだ。これらのペダルはインピーダンスの関係で互いに反応し合って独特なサウンドを作り出してくれる。
ただ、元祖のOctaviaペダルはロジャー・メイヤーが作ったもので、これこそが正直なところナンバー・ワンと言わざるを得ない。それは彼が発明したものなのだから仕方ないよね。
たくさんのペダルをどうやって探しているんですか?
例えば、かつてプライマル・スクリームのサポートでプレイしていた頃はツアーで日本に頻繁に行くことがあって、毎回スーツケースいっぱいに新しいペダルを詰め込んで帰ってきていたんだ。日本でしか売られていないペダルが昔から本当にたくさんあって、日本に行くたびに楽器店に行ってエフェクターを買っていたよ(笑)。
今回はシグネチャー・ペダルでしたが、もしシグネチャー・ギターをフェンダーで作れるとしたら、どんな仕様のものにしますか? 以前は“ロング・スケールのジャガー”を作りたいと言ってましたが。
面白いことに、かつて作って持っていたことはあるんだよね。『loveless』に収録されている「loomer」で使っているよ。
でもそれはジャガーなんだけど、ストラトキャスターのネックを組み合わせた変なギターで、ジャズマスターみたいな感じでプレイできた。長いスケールのネックを付けて、そういう実験をしたかったんだよ。さらにレースセンサーっていう、80年代後半からエリック・クラプトンが使っていたピックアップを搭載していて、アクティブだからクリーンではDIでプレイしたようなサウンドでね。これをVOXのアンプにつなぐと、独特な音になったんだ。
でも、「loomer」を録音したあとにバラバラにしてしまった。正確には、もともとのジャガーのネックとピックアップに戻したんだ。だから一度は“ロング・スケールのジャガー”を所有していたんだよ。
なるほど、一度試したことがあったんですね!
ジャズマスターのスケールとサウンドは好きなんだけど、ジャガーのフィーリングも好きでね。フェンダーはジャガーのピックアップを搭載させたジャズマスターを作ったことがあるんじゃないかな? あまりにも多くのギターが作られてきたし、ポーンショップ・シリーズにはそういったものがあったよね。ただ、P-90を搭載したギターはたくさんあるのに、ジャガーのピックアップを搭載したギターがジャガー以外にないのは不思議な気がするよ。
『loveless』のほかの曲でもけっこうジャガーは使っているよ。友人のビル・キャリーがジャズマスターを教えてくれたことで、僕はこのトレモロ・アームに夢中になったけど、当時の僕が購入できたのは日本製のジャガーだった。イギリスではそもそもジャズマスターを見ることすらなかったんだよね。僕が紫色のジャズマスターを手に入れたのは89年で、『loveless』のレコーディング直前にアメリカで見つけたんだよ。
新作のレコーディングは
作業の最終段階にいるよ。
2021年のインタビューでは新作をレコーディング中だと話してくれましたが、現在作業はどの程度進んでいるんですか?
いつ出せるようになるのかは言えないけど、今のところ作業の最終段階にいるよ。2022年にレコーディングのほとんどを終えて、ちょっとしたブレイクに入ったんだ。でも妥協するわけにはいかないと思ってもっと突き詰めようとしたら、レコード盤のプレスの締め切りに間に合わなかった。今やレコード盤をたくさんプレスするとなると困難なことが多くて、僕たちはそのタイミングを逃したんだ。
そのおかげで、また新しいものを目指して作業をすることになったけど、もっと良い作品になると思えている。もともと目指していたものは生々しいものが多かった。僕は気に入っていたし問題なかったけど、100%ハッピーではなかった曲もいくつかあったんだ。これらの曲はEPとして出すことになるかも知れないけど、アルバムには入らないだろうね。曲を新たに書き続けていくと、昔作った曲がそれらとフィットしなくなるのはよく起こることで、今はもう新しい方向に進んでいるんだ。
レコーディングの最初からあった曲としては1曲だけが残っているけど、12~14曲くらいは未完成のまま作業を止めてしまっている。それらはEPに収録されることになるだろう。EPやB面に入ることになる曲って、最初からそういう目的でレコーディングしているわけではなくて、アルバムを目指して作っていく中で合わなくてはずれたものなんだ。
その新しい音源について、ほぼエフェクターを使っていないと言っていました。現在取りかかっている曲では、アンプやエフェクトはどんなものを用意していますか?
まずライブに関してだけど、実はリバース・リバーブをかけていない僕のリズム・ギター・パートでは、ほかのエフェクトもほとんど使っていないんだ。ファズは加えるかもしれないけど、それでも多くを使うことはないね。でも奇妙な音でプレイするようなパートだと、5個くらいのエフェクトを使っているかな。
ライブだとスイッチング・ユニットを使って、VOXやフェンダーのアンプによる完全にクリーンなサウンドと、かなり歪んだ爆発するようなサウンドを切り替えている。それでも、ペダルをパラレルでかけているわけでもないんだ。各ループには2〜3台のペダルが入っていて、最も多いものでも5~6台。それは「only shallow」で使っているループだね。
ライブではそうやってループを使って操作しているけど、スタジオだとパッチベイでルーティングを組んでいる。この違いがあるから、ライブで曲をプレイする際にスタジオでのセットアップが上手く再現できなければ、新たにループを組むことになる。こうやって絶えずペダルのループを増やしていくからライブの機材が膨大になってしまうんだ。
今日はありがとうございました! 次のインタビューはあなたたちの新作についてですね!
そうだね。もちろん僕もそう願うよ。どうもありがとう。バイバイ!
Fender Shields Blender Limited Edition

【スペック】
Material: Brushed Aluminum
Power Require- ments:9-Volt Battery or 9VDC Center Negative AC Adapter (not included)
Power Consumption: 80mA
Input Impedance: 100kΩ
Output Impedance:15kΩ
【価格】
77,000円(税込)
【問い合わせ】
フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://fender.co.jp
