ジョン・フルシアンテが語る、62年製ストラトキャスターと「The Heavy Wing」のギター・ソロ【レッチリ来日特集2024】 ジョン・フルシアンテが語る、62年製ストラトキャスターと「The Heavy Wing」のギター・ソロ【レッチリ来日特集2024】

ジョン・フルシアンテが語る、62年製ストラトキャスターと「The Heavy Wing」のギター・ソロ【レッチリ来日特集2024】

レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテが語る、『Unlimited Love』(2022年)の作曲秘話。アルバムがどういったアプローチで制作されたのかを、楽曲ごとにふり返ってもらった。今回は「The Heavy Wing」に関する制作秘話をお届け。

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翻訳=トミー・モリー Photo by Ethan Miller/Getty Images

ヘッドフォンを付けなかったら耳がやられるところだったよ

ザ・ムーヴだったかシド・バレットだったかの曲で、グレイトなものがあったんだ。Eメジャー、Dメジャー、Aメジャーのコードを使ったヤツでさ。“かなりパワフルだな。俺もこのコードを使って曲を書かなきゃ!”って思ったんだよね。“このコードで始めるのはよしとして、そこからどんな風に展開するのかも考えてみよう”とアイディアが浮かんできたんだ。

この「The Heavy Wing」はシンプルなファンクのリフから始まっている。俺はブレイクビーツとエレクトロニック・ミュージックが大好きで、60年代後半から70年代前半のファンクをたくさん聴いてきたよ。“ファンク・ソングになりそうなサウンドのリフから始めて、そのあとはサイケデリックな世界に持って行こう”と考えたんだ。

ヴァースのギターはモジュラー・シンセで処理していて、サウンド上にわずかな動きを加えている。そしてソロ前のブレイクダウンでは、イントロと同じフレーズを同じギターでプレイしているんだけど、そこではもっとわかりやすくモジュラー・シンセで処理したよ。

ちなみに、「Black Summer」のソロの最後の4小節もモジュラー・シンセで処理を行なったんだ。本当に少しだけどね。でも、ステレオだからかなり大きな効果が出ている。これはギター用のエフェクト・ペダルではなく、シンセを使ったサウンド処理の良い例の1つだね。

「The Heavy Wing」に話を戻すけど、ギター・ソロは62年製のストラトを弾いた。これは俺が最初にバンドに復帰した『Californication』(99年)の頃からずっとメインで使ってきたものだね。アンプはマーシャルのキャビネット4台を大音量で鳴らしたんだ。あまりにもラウドで、ヘッドフォンを付けなかったら耳がやられるところだったよ。けっこう広い部屋でレコーディングしたから、ギターを弾きながら色んな場所を動き回って、いくつかのフィードバックを試すことができたんだ。

このソロではフィードバックさせながらチョーキングをくり返していて、後半にはオクターブが高い音になり、そこからさらに2オクターブ高いところを鳴らしている部分がある。多くの人が嫌がるであろう突き刺すようなサウンドなんだけど、フィードバックが始まる前と同じようにチョーキングしてるところが聴こえるはずだ。これはまったく意図していたものではなかったんだよね。ああいう音になると思ってすらいなかった。でも、そういうことが起こると、“これを逃しませんように”と願いながら音を出し続けるしかない。

あまり事前に作り込みすぎず、“よし、やってみるか”と弾いた自分のプレイに耳を傾け、聴こえてきたものにレスポンスする。俺はそういうソロが凄く好きなんだ。

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作品データ

『UNLIMITED LOVE』
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

『UNLIMITED LOVE』
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

ワーナー/WPCR-18552/2022年10月14日リリース

―Track List―

  1. Black Summer
  2. Here Ever After
  3. Aquatic Mouth Dance
  4. Not the One
  5. Poster Child
  6. The Great Apes
  7. It’s Only Natural
  8. She’s a Lover
  9. These Are the Ways
  10. Whatchu Thinkin’
  11. Bastards of Light
  12. White Braids & Pillow Chair
  13. One Way Traffic
  14. Veronica
  15. Let ‘Em Cry
  16. The Heavy Wing
  17. Tangelo

―Guitarist―

ジョン・フルシアンテ