【Special Talk Session】牛尾健太(おとぎ話)× ビートりょう(THE BOHEMIANS)が語る、11月29日(金)のライブ・イベント『TIME TO FUZZ』に向けた意気込み 【Special Talk Session】牛尾健太(おとぎ話)× ビートりょう(THE BOHEMIANS)が語る、11月29日(金)のライブ・イベント『TIME TO FUZZ』に向けた意気込み

【Special Talk Session】牛尾健太(おとぎ話)× ビートりょう(THE BOHEMIANS)が語る、11月29日(金)のライブ・イベント『TIME TO FUZZ』に向けた意気込み

2024年11月29日(金)、ギター・マガジン主催のライブ・イベント『TIME TO FUZZ』が新代田FEVERで開催される。出演はおとぎ話とTHE BOHEMIANSの2組。イベントに向けて、牛尾健太(おとぎ話)とビートりょう(THE BOHEMIANS)のギタリスト対談を実施! 2人の出会いやそれぞれの印象、前回の共演時の思い出などを、都内某所の居酒屋でゆるりと話してもらった。インタビュアーはイベントの企画者である編集部の小林が担当。

取材・文=小林弘昂

牛尾さんとビートりょうの共通点は
キース・リチャーズなんですよ。
──ビートりょう

ビートりょう(撮影:柴田恵理)
ビートりょう(撮影:柴田恵理)

おとぎ話とTHE BOHEMIANSが対バンするのは2020年3月以来ということで、4年8ヵ月ぶりなんですね。

りょう この4年間で色々ありましたね。僕が最後におとぎ話のライブを観たのは2021年9月の神田明神ホールなんですよ。そこで日比谷野音のワンマン(※2022年8月13日)が発表されて。

牛尾 ……台風で流れたんですよ(笑)!

りょう 知ってます(笑)。行くつもりだったんですけどね。

牛尾 ついこの間も神田明神ホールでレコ発ライブをやったよ。あそこ、良いんだよね。

りょう 個人的には2021年のおとぎ話のあと、アンジュルムっていうハロプロ・アイドルのリリイベで神田明神ホールに行きました。そんな話はどうでもよくて(笑)。2019年に渋谷duo MUSIC EXCHANGEでやった僕らのツアー・ファイナルに牛尾さんがゲストで出てくれましたよね? ライブ会場限定シングル(「スペルまで」)のレコーディングにも牛尾さんが参加してくれて、それをやるためにね。

牛尾 そうだ! あの時は好き勝手にやっちゃってすみません(笑)。

りょう いやいや(笑)。楽しかったですよ! 懐かしいな〜。コロナがあったから色んなことの時間が凄く空いちゃった感覚。

「スペルまで」をレコーディングしたのが2019年の夏でしたよね?

りょう その辺から牛尾さんと交流が始まったというか。

牛尾 もちろん個人的にはずっと前から知っていましたけどね。

りょう 僕が最初におとぎ話を知ったのは、たぶん山形にいた頃なんですよ。

牛尾 あ、小林と同郷か!

りょう そうそう。大学4年生くらいかな? 僕らが上京する前の年くらいに毛皮のマリーズと近いバンドっていうことで、おとぎ話を知ったんです。

牛尾 芸工大(東北芸術工科大学)の学祭に出たことあるよ!

毛皮のマリーズ、おとぎ話、neco眠る、ソンソン弁当箱というラインナップが2009年の芸工大の学祭のライブ・イベントに出ていて、僕は芸工大の近くのコンビニに貼られていたそのポスターを見ておとぎ話を知りました(笑)。

りょう その学祭の時には僕らはもう東京にいたんですけどね。あ、カンパチの刺身がきましたね。これは載せてもらいます。何を頼んだかはギタリストとしてけっこう重要なので。

はい(笑)。りょうさんが初めておとぎ話のライブを観たのはいつでしたっけ?

りょう 小林君に誘ってもらって、2018年に下北沢のCLUB QueにTOMOVSKYとの対バンを観に行かせてもらったんだよね? それが初めて。楽しかったのは覚えてます(笑)。

牛尾 もちろん僕もTHE BOHEMIANSの存在は知っていたけど、ずっと接点がなくて。お互いそういう感じだったよね。

りょう そうですね。初めてライブを観た時、有馬(和樹)さんのStarfire Ⅲの印象が強かったんですよ。僕、キンクスというかデイヴ・デイヴィスが好きで。

牛尾 さすがギタリスト。アルバム(『The Kinks Kontroversy』/1965年)のジャケに写ってるもんね。

りょう そうそう。それと当時、牛尾さんが明らかにキース・リチャーズを真似てたんですよ。キースがメンバー紹介の時にやるジェスチャーで、両手をグーにして頭とかを叩いていて。その時に“キース好っきゃな!”っていうことで、僕はつながりました(笑)。

牛尾 ただのモノマネだからね(笑)! もちろんキースは好きですけど。

りょう 牛尾さんとビートりょうの共通点ってなんだろうと思ったら、キースなんですよ。間違いない。

牛尾さんはTHE BOHEMIANSにどういうイメージを持っていましたか?

牛尾 僕らがデビューした2000年代の後半頃って、60年代とか70年代っぽい衣装を着たり、メイクをしたり、ある特定の時期のスタイルで音楽をやっている“ザ◯◯ズ”みたいなバンドが多かったんですよ。

そうでしたね。

牛尾 そういう1つのスタイルを模倣するバンドが多くなって、これは偏見なんですけど、THE BOHEMIANSはそのうちの1つなんだなっていう印象があった(笑)。

りょう そうなりますよね。

牛尾 ただ、小林みたいな共通の知人友人ができて、いざ話したり、ライブを観たりしたら、“オレたちと全然同じじゃん!”みたいな感じでしたよ。普通にストーンズのアルバムの話ができたりさ。

りょう この歳までバンドをやっていると、そういう知り合い方をする人もけっこう多いですよね?

牛尾 逆に20代で出会わなくて良かったよ。若い時って、対バンしても楽屋でひと言も話さないこととかあるじゃん。

話は戻りますが、「スペルまで」のレコーディングでりょうさんと牛尾さんは初めて一緒に音を出したわけですけど、その時の印象は?

牛尾 あれってどういう経緯だったんだっけ?

りょう 2019年に『the popman’s review』っていうアルバムを出したんですけど、アルバムに入らない曲があって。レーベルのボスの山中さわおさんが、“だったらそれを会場限定のシングルにすれば?”と言ってくれたんですね。大前提として、僕は遊びでローリング・ストーンズ、というかキースのモノマネがやりたいってずっと思ってるんですよ。今も。

牛尾 それはバンドで?

りょう バンドでですね。そのタイミングで「スペルまで」っていう曲があったんですよ。ボ・ディドリーのスタイルで、ヤードバーズがやる「I’m A Man」(1965年)とか、ローリング・ストーンズの「Midnight Rambler」(1969年)みたいな、同じコードなんだけど展開がある曲なんですね。で、その時にプライマル・スクリームがアビー・ロード・スタジオで「Midnight Rambler」をカバーしている映像を観たんですよ。

牛尾 え!? それ知らない!

りょう YouTubeに上がってますよ! その影響がまず1つ。それと2014年のストーンズの来日公演にミック・テイラーも出ていたんですよね。ロン・ウッドとキースとミック・テイラーの3人で「Midnight Rambler」とかをやっていて、せっかくなら自分の好きな同世代のギタリストを呼んでそういうことができたらいいなと思って、牛尾さんと林(宏敏)君に声をかけたんです。つながりもない人に(笑)。小林君とお付き合いがあったから牛尾さんに来ていただけたんですけどね。

レコーディング当日、りょうさんからスッとカメラを渡されて僕が録画していたんですけど、まさかあれがMVになってYouTubeで公開されるとは思いませんでした(笑)。

牛尾 ボーカルも含めて全員が一緒のブースに入って一発録りしたよね。今のりょう君の話を聞いて凄く腑に落ちました。全然ミック・テイラー的に弾けてないんだけど(笑)。

りょう いやいや(笑)。凄く楽しかったです。それと「スペルまで」にはマラカスでネモト・ド・ショボーレさんにも参加してもらったんですけど、ネモトさんはボ・ディドリーの来日公演に行って客席でマラカスを振ってたら、ボから“お前、上がってこい!”って言われて、「Road Runner」(1960年)でステージに上がったというエピソードがあって(笑)。それはもう、本人に来てもらうしかないっていうことで。

牛尾 その話ね(笑)!

ギタマガのイベントだから、
僕は良いギターの音を奏でるだけです。
──牛尾健太

牛尾健太(撮影:松永樹)
牛尾健太(撮影:松永樹)

2020年3月に初めて対バンした時のお互いの印象を教えて下さい。

牛尾 僕だけTHE BOHEMIANSのレコーディングに参加していたこともあって、“彼がギタリストのりょう君です”って自分のバンド・メンバーに紹介する感じ(笑)。みんなほぼ初対面だったけど、楽屋でワイワイ話して打ち解けられて良かった。

りょう あの時に歳が近いってわかったんですよね。僕ら的には、学生時代の頃から知っている東京のバンドっていうのが共通認識だったので、“ついにあのおとぎ話と!”っていうのがありました。

牛尾 みんな山形出身なんだっけ?

りょう そうですね。去年ドラマーが辞めちゃったんですけど、全員山形なんですよ。

牛尾 そうなんだ!

りょう 僕はあの時、楽屋で有馬さんがずっとロックの話をしてたのを覚えていて。“リバティーンズの◯◯バージョンがさ〜”とか(笑)。それで凄く嬉しくなったんですよ。

牛尾 有馬の話に対して、りょう君がストーンズのリフを弾いたりして、“それ弾けんの!?”みたいになってたよね。

りょう 嬉しくなって突っ込んでいっちゃったんですよ。“やっぱりロックが好きな人たちなんだな”って思いましたね。そういう話ができるのが一番嬉しいみたいなところがあるじゃないですか?

牛尾 それは大事だよね。初めての対バンで、楽屋でそういう話ができたことが良かった。

ライブを観て、ギタリストとしてはお互いどう思いましたか?

りょう “ビートりょう、ここで牛尾健太に酒をつぐ”って書いておいて下さい。

了解です(笑)。

りょう 自分のギターの話がこの世で一番嫌なんですよ(笑)!

牛尾 ピン・ボーカル、ドラム、ベース、ギター、そして鍵盤っていう5人組のバンドって今はあんまりいないよね? THE BOHEMIANSみたいなバンドはギターが目立ってないとダメなんですよ。絶対! りょう君は中途半端じゃなくて完全に目立ってたし、それをわかってやってるんだろうなと思ったな。基本的にボーカリストとギタリストの2トップで、ほかの3人はうしろで支える。それをライブで観れたのが凄く良くかった。

では、りょうさんから見た牛尾さんは?

りょう 牛尾さん、ライブ中に左足を高く上げるじゃないですか? 僕の中で上手いギタリストは股関節が柔らかい説があるんですよ!

牛尾 誰(笑)!?

りょう 布袋さんとか! あとストーンズの初来日公演の映像を観ると、キースも1曲目の「Start Me Up」のイントロで足が上がってるんですよ!

牛尾 あの時キースは40代後半だったけど上がってたよね。

りょう そうなんですよ! 僕、面食いなんですけど、牛尾さんはルックスが完璧だし、ギターの音に変態性もあって、それがポップなバンド・サウンドの中に上手く入っていて、“そりゃあ、おとぎ話は根強い人気があるわ”って思ったんですね。しかも股関節が柔らかくて、その系譜にあるんだなと本当に感動したんですよ。

牛尾 そんなこと言われたら、今度やらなきゃいけなくなっちゃうじゃん(笑)。1個思い出したんだけど、りょう君がチェリー・レッドのES-335を弾いてるのが良かったな。リッケンバッカーでもストラトでもテレキャスでもなくて、335ってのが良い。ああいうバンドでレス・ポール・ジュニアを弾いてるのはちょっと憧れがあるけどね。

りょう 僕はジョニー・サンダースが好きなので、レス・ポール・ジュニアは絶対に使わないんですよ。もちろん欲しいですけど。

牛尾 好きな人が使ってるギターは使わないってこと?

りょう まったく同じやつは無理ですね。そういうこだわりってありません?

牛尾 めっちゃある! THE BOHEMIANSみたいなバンドだと335が落ち着くんだよ。ボディがどっしり構えていて、横綱的な感じ。アンプがVOXだったよね?

りょう そうです。AC30。

牛尾 古市コータローさんもAC30と335を使ってたよね。自分の好みもあるけど、りょう君の機材からは“しっかりしてるんだな”っていうのが垣間見れた。

11月29日(金)のTIME TO FUZZで4年8ヵ月ぶりの対バンが実現しますが、2人の意気込みはどうですか?

牛尾 ギタマガのイベントだから、僕は良いギターの音を奏でるだけです。願わくば、普段からそれぞれのライブに来ている人はもちろん、バンド名は知ってるけどまだライブは観たことがないっていう人にも来てほしい。あとはギタマガの読者の方が興味を持って観に来てくれるのが一番嬉しいかな。

りょう 僕はギタリストとしては全然ないけど、ライブを観て楽しかったとか、つまらなかったとか、下手だったとか、牛尾さんが凄かったとか、何かしら持って帰ってもらえたらいいなと思います。ギター的な意味でね。

牛尾 本当にそうだよね。別に僕たちはソロ・ギタリストとして出るわけじゃなくて、バンドの1ギタリストだから。

りょう そうそう。バンドのギタリストだし、お互いそれが好きじゃないですか? それは自信を持って観に来てほしいと言えます。あと牛尾さんの股関節の柔らかさも(笑)。

TIME TO FUZZで牛尾さんとりょうさんが一緒に音を出す可能性は……?

りょう おとぎ話とTHE BOHEMIANSがセッションをやることになったら相当な奇跡だと思う(笑)。曲を選ぶのも超難しそうじゃないですか?

牛尾 本当は「Hotel California」(1976年)とかがやりたい。

りょう なんで(笑)!? じゃあそれも期待してもらって(笑)。

牛尾 あとやっぱり小林もステージに出てギター弾いたほうがいいんじゃない?

マジですか(笑)。

りょう これは僕らの権限で出しましょう! ここで言っておきます。

牛尾 でも、一緒にやる曲は1ヵ月前になっても決まってないと思うな(笑)!

ビートりょう&牛尾健太

Guitar magazine Presents
TIME TO FUZZ