DIR EN GREY、L’Arc~en~Ciel、MUCCなど、長いキャリアを持つバンドのメンバーが集い、新たな表現を追求するプロジェクト=Petit Brabancon(プチ・ブラバンソン)。彼らの新EP『Seven Garbage Born of Hatred』が2024年8月7日にリリースされた。本記事では、ギタリストのミヤにEPのレコーディングで使用したギターについて語ってもらった。
取材・文=村上孝之 写真=Victor Nomoto (METACRAFT)、青木カズロー、尾形隆夫 (尾形隆夫写真事務所)、河本悠貴
ジャクソンのキャラクターがこのバンドに合うなと思ったんです
『Seven Garbage Born of Hatred』を録るにあたって、ギター面でこだわったところはありますか?
今回はギター2人の絡み合いが今までで一番良いと思います。それと俺は機材を変えて、ほぼジャクソンのギターを使ったんですよ。アンプ・ヘッドは今までどおりMesa/BoogieのTriple Rectifierですけど、キャビネットはGENZ-BENZにしました。そうすることによってギター2本のマッチングがより一層良くなったし、ジャクソンのキャラクターがこのバンドに合うなと思ったんです。
ジャクソンを使うようになった経緯を教えて下さい。
俺はコンコルド・ヘッドが昔から好きなんですよ。だけど、それがもともとはジャクソンのものだということを知らなかったんです。コンコルド・ヘッドはジャクソンが考案したものだということを知ったのはここ10年くらいで、メーカーとしては知っていたけど、触れる機会がなかったという感じですね。触れてみたら凄く良いメーカーだなと思って、使うことにしました。
ライヴでも使っているんですか?
今回のツアーではジャクソンを3本持ってまわっています。7弦と、Jackson Vと、Soloistですね。Jackson Vはゴジラのクリスチャン・アンドリューのシグネチャー・モデルです。Soloistの“ザ・メタル・ギター”みたいなルックスは、昔の俺はダサいと思っていたんですよ。でも今のジャクソンはアース・カラーのモデルを出していたり、カジュアルな感覚で使えるアートワークを打ち出しているんです。だから俺的にはSoloistはメタル・ギタリストが持っているギターというよりは、トム・モレロが持っていそうなギターというイメージ。
レコーディングではFERNANDESのTLタイプも使ったそうですね。
あのギターは、Petit Brabanconではクリーン・トーンのカッティングとかで毎回使っています。今回は「dub driving」でカッティングが入るところがあって、そこはBOSSのSE-70(マルチ)とFERNANDESのTLタイプの音だと思います。当時の国産ギターの塗装はケミカルで、厚くて、ギターの塗装としては全然良くないけど、出力が強いEMGピックアップを載せてごまかしているみたいな。そういうギターにしか出せないサウンドがあるんです(笑)。俺はそれが好きなんですね。
今作はツイン・ギターのグルーヴ感に、より磨きがかかっていると感じたんです。
機材周りやマイキングなんかもアップデートしていますが、一番デカいのは単純にPetit Brabanconとしての経験が増えてきたことですね。やっぱり2人のギタリストが作る楽曲はそれぞれ癖があるんですよ。以前よりも、お互いに“antz節”と“ミヤ節”が体に取り込めてきたかなという感じがある。だから今回は今までで一番打ち合わせが少なかったです。
「dub driving」の一番の左チャンネルで鳴っているノイズはギターですか?
ギターですね。ピック・スクラッチで出している音だと思います。Petit Brabanconでは、基本的に事前にそういうギミックを用意していかないんですよ。その瞬間に思いついたものをレコーディングしているので、ピック・スクラッチの音をピッチ・シフターで1オクターブ下げて、みたいなことをやっている可能性があります。antzさんの曲はノイズっぽいものとか、ポスト・ロックっぽい音を入れやすい曲が多いんですよね。だから、「dub driving」ではシューゲイザーっぽいアプローチをあえて俺が弾いていて、そのハモリをantzさんが弾いているという、いつもと逆のパターンになっています。
「眼光」のサビのロング・トーンや、「a humble border」のディレイとWhammyを使ったフレーズなど、楽曲のテイストを深めるギター・アプローチも光っています。
「眼光」は、デモの時からあのフレーズがありましたね。俺はそれがメイン・テーマだと思っていて、自分の中ではメロディの一部になっています。あのフレーズとボーカルが1つになって1曲というイメージなので、別にギターで鳴っていようが、シンセで鳴っていようがかまわないけど、このバンドは基本的にアナログなのでギターで弾きました。「a humble border」は“90年代にイメージした2040年”みたいな印象があって、それを表現したら、ああいうギターになりました。
『Seven Garbage Born of Hatred』は最新のPetit Brabanconの魅力を味わえる1枚に仕上がりました。最後に9月に開催されるツアーの意気込みをお願いします。
今回はライヴハウス・ツアーということで、バンドもお客さんもより自由にフラットに、“ライヴハウス・バンド”ならではの楽しみ方をしてもらえるんじゃないかなと思いますね。音源も激しさを押し出しているし、ツアー・タイトルも“BURST CITY”ということで、凄く“ゴチャッ”とするんじゃないかなという気がしていて、それを楽しみにしています。
LIVE INFORMATION
Petit Brabancon Tour 2024 「BURST CITY」
【スケジュール】
2024年9月5日(木)@東京・Spotify O-EAST
2024年9月6日(金)@東京・Spotify O-EAST
2024年9月12日(木)@広島・CLUB QUATTRO
2024年9月13日(金)@福岡・BEAT STATION
2024年9月15日(日)@大阪・GORILLA HALL
2024年9月20日(金)@神奈川・CLUB CITTA’ KAWASAKI
2024年9月21日(土)@愛知・DIAMOND HALL NAGOYA
【チケット情報】
スタンディング : ¥6,500(税込)
ツアーの詳細は公式HPまで
https://www.petitbrabancon.jp/
作品データ
『Seven Garbage Born of Hatred』
Petit Brabancon
MAVERICK DC
DCCA-130
2024年6月14日リリース
―Track List―
- move
- dub driving
- BATMAN
- 眼光
- a humble border
- Mickey
- Vendetta
―Guitarists―
ミヤ、antz