内田勘太郎がブギ連のライブで使用する、K.Yairiのオリジナル・ギターと3本のスライド・バー 内田勘太郎がブギ連のライブで使用する、K.Yairiのオリジナル・ギターと3本のスライド・バー

内田勘太郎がブギ連のライブで使用する、K.Yairiのオリジナル・ギターと3本のスライド・バー

内田勘太郎と甲本ヒロトによるブルース・ユニット、ブギ連が2024年10月2日(水)に約5年ぶりとなる2ndアルバム『懲役二秒』をリリースした。本記事では、内田勘太郎がブギ連のライブで使用するメインのアコースティック・ギターと3本のスライド・バーを本人の解説付きで紹介する。また、ギター・マガジン2024年11月号では内田勘太郎と甲本ヒロトのアルバム・インタビューを掲載しているので、そちらもあわせてチェック!

取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊

Uchida’s Guitar

K.Yairi
KEN 130

K.Yairi / KEN 130(前面)
K.Yairi / KEN 130(背面)

ヤイリのマスター・クラフツマンが手がけたハンドメイド・ギター

内田のライブでのメイン・ギターは、K.Yairiのマスター・クラフツマンである小池健司氏が製作したKEN 130というカスタム・モデル。2011年に完成した1本だ。ボディ・トップはスプルースで、サイドとバックはローズウッドという材構成。ピックアップはL.R.BaggsのElementが搭載されている。ライブの際は本器からBOSSのDI-1(DI)を経由し、PAへつながれる。

内田曰く“非常に素直な音で、6弦全部のバランスが良い”とのことで、ライブでの扱いやすさが気に入っているという。

弦は“新しいものに張り替えた時のギラつきが少ない”という理由から、La Bellaの40PS Golden Alloy Light(.012〜.052)を愛用。

Feedback Buster FBR-2を用い、ハウリングを防いでいる。
Feedback Buster FBR-2を用い、ハウリングを防いでいる。
L.R.BaggsのElement用の電池ホルダー。
L.R.Baggs Element用の電池ホルダー。
ネックのジョイント部分は平べったく、ハイ・ポジションでの演奏性も高い。
ネックのジョイント部分は平べったく、ハイ・ポジションでの演奏性も高い。
ボディ・バックには正司歌江(かしまし娘)のサインが入れられている。
ボディ・バックには正司歌江(かしまし娘)のサインが入れられている。

Uchida’s Slide Bar

スライド・バー

気分によって使い分ける3本のスライド・バー

内田が愛用している3本のスライド・バー。写真奥にある透明のバーは内田自身がフルーツ・カルピスの瓶で製作した1本。黄色いバーと青いバーは、内田のファンがコロナ・ビールの瓶で製作し、アクリルを入れて補強したものだ。

もともとは自身が製作したカルピス・バーを使用していたが、近年、内田は指が節くれ立ってきてしまい、サイズが合わなくなってきたとのこと。それを自身のYouTubeの動画などで話したところ、ゆずの岩沢厚治がコロナ・ビールの瓶からスライド・バーを作ってくれたという。しかしコロナ・ビールの瓶は薄く、割れる心配もあったそうで、それを聞いた内田のファンがアクリルを入れて補強したスライド・バーを2本製作してくれたとのこと。

コロナ・ビールの瓶で作られた2本のスライド・バーのサウンドは“ミュートされる感じがあるけど、それも良いと思うようになってきた”とのことで、最近のお気に入り。この3本は気分によって使い分けているそうだ。

スライド・バーの断面。
スライド・バーの断面。

Interview

ヤイリの新しいギターが完成すると、
前に使っていたギターを必ず超えてくるんだよ。

左から、甲本ヒロト、内田勘太郎。
左から、甲本ヒロト、内田勘太郎。

勘太郎さんのライブでのメイン・ギターは、2011年に完成したK.Yairiのオリジナル・モデルです。これはどういう経緯で作ったギターなんですか?

 ブギ連をやる時とかにギターが1本だけだと足りないから、ヤイリにはそういう流れでずっとギターを作ってもらっていて。前に作ってもらったギターも家に置いてあって、ちゃんと鳴るんですけど、今はこのギターがライブでのメイン。これは扱いが楽ですね。ピックアップも良い音で気に入っているし。今さら完全アコースティックのChakiを持って行ってマイクで録れって言われても勘弁で(笑)。

そういう理由だったんですか(笑)。

 Chakiはデカくて重いんだよね。これは使い方に慣れているし、取り回しも凄く良い。オレなりの癖もあって、変なビビり方もするんだけど、それもけっこう好きで。

弾いていくうちに育っていったんですね。

 うん。タッチとかもね。ヤイリの新しいギターが完成すると、前に使っていたギターを必ず超えてくるんだよ。それが凄いなと思うし、だから新しいほうばっかり弾くようになる。今回のブギ連の新しい曲はチューニングがオープンG、オープンD、レギュラーとあるから、“ギターが2本じゃ足りないかもしれないな”と思って、またヤイリにお願いしようかなと。でも、もう9月になってしまう(笑)。(※取材日は8月下旬に実施)

サウンドはどんな印象ですか?

 非常に素直な音なんじゃないかな。だから音響の人が音を作りやすいはず。6弦全部のバランスが良いし、サウンドホールにキャップをしているから回り込みもないし、なかなか助かっていますね。それとLa Bellaっていうメーカーの弦を使っているんですけど、張り替えた時にギラつきが少ないのが好きなところで、このギターとの相性が凄く良いんだなと思います。

スライド・バーが3本用意されていましたが、すべて勘太郎さんが作ったものですか?

 透明なやつは自分で作ったもので、フルーツ・カルピスの瓶ですね。ブルーのやつと泡ガラスみたいなやつはお客さんからもらったもので、両方コロナ・ビールの瓶。最近、指が節くれ立ってきちゃって、カルピスの瓶だと少し小さくなって、“困ったなぁ”って自分のYouTubeの動画で言っていたら、ゆずの厚ちゃん(岩沢厚治)がいち早くコロナ・ビールで作ってくれたの。

内田本人がフルーツ・カルピスの瓶で製作したスライド・バー。
内田本人がフルーツ・カルピスの瓶で製作したスライド・バー。
内田のファンがコロナ・ビールの瓶で製作したスライド・バー。
内田のファンがコロナ・ビールの瓶で製作したスライド・バー。

そうだったんですか!

 でもコロナ・ビールの瓶って薄いんですよ。それで響きが若干減るというか、ミュートされる感じがあったし、薄いのがちょっと怖いなと思って。“ガンッ!”と弾いた時に割れたりするんじゃないかということを、またYouTubeで話していたのね。そしたらライブに来てくれているお客さんが、“じゃあ中にアクリルを入れて補強しましょう”と、コロナ・ビールの瓶でこの2本を作ってくれて。

内田のファンがコロナ・ビールの瓶で製作したスライド・バー。アクリルで補強されている。
内田のファンがコロナ・ビールの瓶で製作したスライド・バー。アクリルで補強されている。

3本の使い分けはどうしていますか?

 今はコロナ・ビールで作った2本のサイズが自分に一番合ってるんですよ。それと、ちょっとミュートされている音も良いなと思うようになって、気分によって3本を使い分けています。ミュートされた音だから、デレク・トラックスと近い音がするのがコロナ・ビールのほうかな。

ギター・マガジン2024年11月号
RAT1台を商売道具に

10月11日(金)発売のギター・マガジン2024年11月号には、内田勘太郎と甲本ヒロトの『懲役二秒』アルバム・インタビューを掲載!

作品データ

『懲役二秒』
ブギ連

ソニー
BVCL-1407〜1408(通常盤)
2024年10月2日リリース

―Track List―

01.懲役二秒
02.畑の鯛
03.痛えで
04.トッポい世界
05.フガフガ
06.気まぐれに首が
07.黄金虫
08.やっとられん
09.49号線のブルース(スリーピーとハミー)
10.ブラブラ

【BONUS DISC】
01.おーい 友達
02.ランブリンライトニン
03.海の向こう側
04.波を越えて

―Guitarist―

内田勘太郎