ソロ活動を始め、様々なアーティストのサポート、ドラマの劇伴制作など、マルチに活躍するTHE CHARM PARK。Charmがライブやレコーディングで使用しているペダルボードを、本人の解説付きでご紹介!
取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊
Charm’s Pedalboard

ステレオ・アウトを前提にしたシステム
【Pedal List】
①Electro-Harmonix / Attack Decay(リバース・シミュレーター)
②Fjord Fuzz / Fenris Fuzz(オクターブ・ファズ)
③J.Rockett Audio Designs / Lenny(オーバードライブ)
④Behringer / SF300 Super Fuzz(オクターブ・ファズ)
⑤Sonic Research / ST-300(チューナー)
⑥Bananana Effects / Mandala(グリッチ)
⑦JHS Pedals / NOTAKLÖN(オーバードライブ)
⑧Neural DSP / Nano Cortex(アンプ/エフェクト・プロセッサー)
⑨Chase Bliss / MOOD MKⅡ(ルーパー)
⑩BOSS / RE-202(ディレイ)
⑪TC Electronic / Mimiq Doubler(ダブラー)
⑫Hologram Electronics / Chroma Console(マルチ・エフェクター)
⑬Fender / Engine Room LVL12 Power Supply(パワー・サプライ)
ギターからの接続順は①〜⑫の番号どおり。⑧Nano Cortexからアウトがステレオになり、最終の⑫Chroma Consoleから2台のアンプ、もしくはステレオでDIに信号が送られる。
基本的には⑧Nano Cortex内のアンプ・モデリングを使用することが多く、TASCAMのPORTASTUDIO 424(カセットMTR)系のクランチ、フェンダーPrinceton Reverb系やMatchless DC-30系のクリーン〜クランチ、Dumble系のソロ用の歪みなどをプリセット。場合によってはアンプ・モデリングをオフにすることもあるという。
Charmは⑧Nano Cortexのアンプ・モデリングを軸にし、フレーズによってファズを追加している。①Attack Decayはアタックが遅れてくるボリューム・スウェル的なサウンドで使用しているが、ファズも内蔵されているため、飛び道具的な使い方もできる1台。
②Fenris FuzzはUnivoxのSuper Fuzzをベースにしたモデルで、曰く“気持ち悪い、気持ち良い……「キモ気持ち良い」音が出せる”とのこと。ボリュームを稼げるところも気に入っているようだ。
④Super Fuzzも名前のとおりUnivoxのSuper Fuzzをベースにしたもの。4,000円ほどで購入したそうだが、ほどよくチープなサウンドが気に入っているとのことで、ギター・ソロなどで頻繁にオンにしている。“これが良いことはあんまり知られたくない(笑)”と話していた。モードは中域を強調した“FUZZ 1”にセッティング。
⑦NOTAKLÖNは愛娘と一緒に組み立てたという思い出深い1台。ブースター的に使用しており、④Super Fuzzだけでは物足りないと感じた時に本機も同時にオンにすることで、ミドルが出てきて抜ける音になるとのこと。
CharmはストラトキャスターとES-345を愛用しており、ライブでギターを持ち替える際、音量差を補正するために③Lennyを活用。おもにシングルコイルのストラトキャスターを弾く際に本機をオンにしている。
⑥Mandalaはスイッチを踏んでいる間だけエフェクトがオンになるアンラッチ・モードに設定。直前に弾いたフレーズが倍速で再生される“Repeat”というモードを選択し、飛び道具的に使用している。⑨MOOD MKⅡも飛び道具で、サイケデリックなムードが欲しい時にフレーズをループさせているとのこと。
⑩RE-202は、“アンビエント系、付点8分、広がるディレイ”などをプリセット。普通のディレイの使い方をしていると話していたが、たまにフット・スイッチを長押しして、音が重なるWARPや発振音のようなサウンドが出せるTWIST機能も活用している。
ステレオ出力を前提としたこのボードの中で、最も重宝しているのが⑪Mimiq Doublerとのこと。ユニゾンで弾いているかのようなダブリングされたサウンドを再現でき、特にライブ中イヤモニでモニタリングしていると左右の音の広がりを感じられるという。レコーディングではCharmが人力でダブリング・フレーズを弾いているため、本機はライブでのみ使用。
⑫Chroma Consoleは、以前Charmがアメリカに帰国した際に購入したもの。20のエフェクトが内蔵されたマルチ・エフェクターで、FILTER、CASSETTE、BROKEN、PHASER、VIBRATO、PITCHなど、様々なエフェクトを使用している。例えばFILTERはAMOUNTノブでサウンドの明るさ/暗さを調節できるそうで、“最終のマスタリングを操作するエフェクトみたいな感じ”とコメントしてくれた。
Interview
いまだにこれを超えるものに
出会っていないです。
このボードは普段のライブやレコーディングで使っているものですか?
そうですね。アンプ・シミュレーター(⑧)が入っているので通常のギターの音も出せるし、まったく違う感じも出せるし、レコーディングでも使いやすくて。重いので運搬が大変なんですが(笑)。
ということは、このボードの核になっているのはNano Cortex(⑧)ですか?
みなさんが思い浮かべるギターの音にするにはNano Cortexだけでも十分だと思います。Lenny(③)はライブでギターを持ち替える時に音量の調整で使うもので、ファズが3つもあるのはただの自分の好み(笑)。MOOD(⑨)は名前どおりムードを作る時にループさせる飛び道具ですね。
Charmさんの趣味も色濃く反映されていると(笑)。
Mimiq(⑪)が好きなんですけど、自分でちゃんとダブリングするのでレコーディングで使うことはあまりないですね。でもライブではこれがあるのとないのとでは全然違います。Nano Cortexに入っているダブラーのエフェクトも悪くはないんですけど、Mimiqのほうが操作が簡単ですし、いまだにこれを超えるものに出会っていないです。
なかなかダブラーのエフェクトってないですよね。
ですよね。Chroma Console(⑫)の中にもダブラーのエフェクトがあって、ほかにも2〜3個くらいダブラー・ペダルを使ってみたんですけど、Mimiqはレコーディングで2回弾いて左右に広げた感じが一番出せます。特にライブでイヤモニを使ってモニタリングしていると、スペースが広がって音が立つ感じがしますね。
普段、Nano CortexではMatchlessやPrinceton Reverbのアンプ・モデリングを使っていると聞きました。
そうですね。でもアンプ・シミュレーターなしの音も試しますし、TASCAMのPORTASTUDIO 424のモデリングも使います。TASCAMのモデリングはコミュニティーにアップされているものをダウンロードして、試したら良かったので使っているんですよ。
シチュエーションによって色々と切り替えて使っているんですね。
左側のスイッチにはPORTSTUDIO 424をプリセットしていて、右側のスイッチにはMatchlessのクリーン〜クランチ系と、ゲインを上げたDumble系の音をプリセットしていて、Dumbleでソロを弾いたりもしていますね。ここにボードの中のファズを加えたりもするんですけど。
Fenris Fuzz(②)はどういう使い方を?
BehringerのSuper Fuzz(④)が好きで、Super Fuzzを超えるようなファズを探していて、このFenris Fuzzがすごく良かったので使っています。気持ち悪い、気持ち良い……“キモ気持ち良い音”が出せますよ(笑)。ツマミが6つもあるんですけど、1つ動かすと音が全部変わってしまうので、レコーディングの時の音作りは楽しいですね。
どういうサウンドですか?
Super Fuzzに近いですし、片方のスイッチをオンにするとオクターブも足せますね。あとはアウトプット量もすごいのでボリュームも出せます。
NOTAKLÖN(⑦)はどういう時にオンにするんですか?
音を太くさせたい時にすごく良いんです。Super Fuzzだけでは物足りないと思った時にNOTAKLÖNも踏むとほどよい抜け感が出て、ミッドがグッときますね。
先ほどMandala(⑥)を使っていましたが、直前に弾いた音が倍速で再生されるという不思議なエフェクトでした。
グリッチ系の飛び道具が欲しいと思って、色々と調べている時にMandalaのデモ動画を見つけたんですよ。観てみたら面白くて、先月買ったばかりなんです。もっと使いこなしたいんですけど(笑)。
RE-202(⑩)にはどんなディレイをプリセットしていますか?
普通の感じなんですけど、必要な時はディレイにリバーブを足したり。あとはアンビエント系、付点8分、広がるディレイですね。それとスイッチを長押ししてWARPとかTWISTも時々使います。良い音してますよ。
そしてChroma Consoleをすごく気に入っているようでしたね。
FILTERというエフェクトがあるんですが、AMOUNTツマミが真ん中だとフラットで、普段のレコーディングの時に若干暗くしたい時は右側に回して、明るくしたかったら左側にして。例えるなら最終のマスタリングを操作するエフェクトみたいな感じですかね。ほかにも色んなエフェクトがあって、VIBRATOではレコードみたいにピッチを揺らしたりできますし、ピッチ・シフターもあります。こういうすぐに音が出せるマルチは、現代のギタリストのボードに1個あってもいいんじゃないでしょうか。
よく使うChroma Console内のエフェクトは?
ちょっと気持ち悪い音が好きなので、VIBRATOですね。FILTERも使うんですが、雰囲気が欲しい時はCASSETTEも使います。CASSETTEではテープっぽい揺れが出せるんですよ。あとBROKENというエフェクトはノイズが欲しい時に使っていますね。色々ありすぎて全然使いこなせてないですけど、楽しいです。
