ボーカリストの脱退を乗り越え、2025年4月に新体制で制作した3年ぶりのアルバム『Forever Howlong』をリリースし、12月に来日ツアーを行なったブラック・カントリー・ニュー・ロード。最終日のEX THEATER ROPPONGI公演でルーク・マーク(g)へのインタビューが実現。彼がライブで使用したアコースティック・ギターとラップ・スティールを、本人の解説とともにご紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 通訳=川原真理子
Luke Mark’s Acoustic Guitar
Sigma Guitars
000M-15S
オール・マホガニーの000サイズ
ルークとジョージア・エラリー(vo,violin)がライブで使用するアコースティック・ギターは、Sigma Guitarsの000-15MS。2022年に脱退したアイザック・ウッド(vo,g)の所有物で、もともとマグネティック・ピックアップが搭載されていたことからライブでルークが借りるようになり、そのまま現在も愛用している。ルークは本器のサウンドについて、“普通、小さいボディのギターは低音があまり出ないけど、これはパンチがある”と語っていた。
レコーディングで使用されることはなく、『Forever Howlong』の録音ではAtkin GuitarsのThe White Riceが活躍したという。

現在はマグネティック・ピックアップが取りはずされ、L.R.BaggsのAnthemをインストール。ボディ内部にTru-Mic(マイク)とElement(ピエゾ)を搭載するピックアップ・システムなのだが、ルークはマイク部分のみを使用しているとのこと。本器のサウンドはL.R.BaggsのVenue D.I.を通ってPAに信号が送られている。
000-15MSは12フレット・ジョイントのオール・マホガニー・ボディで、指板とブリッジにはミカルタを採用。ナット幅は1.75インチ(約44.45mm)で、ルークはこの広いナット幅を気に入っているという。また、チューニングの安定感、発音の良さ、ハウリングが起こりにくい点もお気に入りのポイントとコメント。
弦はD’AddarioのXS PB Light Plus(.0125〜.054)を張っている。
ちなみにボディに貼られたスイカのシールは、イスラエルが行なうパレスチナ占領への抵抗を表わすシンボルである。
使用楽曲(2025年12月10日@EX THEATER ROPPONGI)
- 「Two Horses」
- 「The Big Pain」
- 「Mary」
- 「Nancy Tries To Take The Night」
- 「Besties」
- 「Socks」(前半のみ)(Drop D Tuning)
- 「Goodbye(Don’t Tell Me)」※ジョージア・エラリーが使用
- 「Turbines/Pigs」(中盤のみ)
- 「The Ballad Of El Goodo」(Capo 6)※ジョージア・エラリーが使用
- 「For The Cold Country」(前半のみ)(Capo 1)
Acoustic Guitar Effects

アコースティック・ギター用の足下。①L.R.BaggsのVenue D.I.(プリアンプ/DI)にインプットし、XLRアウトからPAに信号が送られる。②BOSSのTU-3(チューナー)は①Venue D.I.のセンド端子に接続。
Lap Steel Guitar
Handmade
Lap Steel Guitar

eBayで購入したハンドメイド品
「Goodbye(Don’t Tell Me)」では、ルークがeBayで購入したラップ・スティール・ギターを使用。イギリスの個人製作者によるワンオフもので、ルーク本人も本器に関する詳細が一切わからないそうだ。「Goodbye(Don’t Tell Me)」のレコーディングでラップ・スティールのサウンドが必要になり、たまたまeBayに出品されていた本器を見つけたという。
ブリッジはDuesenbergのMultibenderを搭載。任意の弦に2つのベンダーが取り付けられるもので、本器は3弦と2弦にベンダーがセットされていた。
チューニングはG-B-D-F♯-A-Dで、すべての開放弦を鳴らすとG△7(9)コードになる。3弦のGベンダーを押すとF♯がG(半音アップ)になり、2弦のBベンダーを押すとAがB(1音アップ)になるとのこと。
使用楽曲(2025年12月10日@EX THEATER ROPPONGI)
- 「Goodbye(Don’t Tell Me)」(G-B-D-F♯-A-D Tuning)
Others

アンプの上にはカポとスライド・バーが置かれていた。ルークは「Mary」でブルージィなスライドを披露。
Interview
すごくひどい音になってしまったんだよね(笑)。
でもなぜか弾き心地がとても良い。
ライブで使用しているアコースティック・ギターはSigma Guitarsのものですか?
そう、Sigmaだ。かなり安物のギターだよ。
最初はマーティンかと思いました。
違うよ、Sigmaなんだ。実は家には、もっとずっと良くて高いアコースティック・ギターがあって、ほとんどそれを弾いているんだよね。アルバムでもそれを使ったんだ。このSigmaはアルバムのレコーディングではまったく使っていなくて、ライブ用なんだよ。その2本には同じピックアップが付いている。L.R.BaggsのAnthemで、ピエゾ・ピックアップ(Element)が搭載されているけど、僕は常にマイク(Tru-Mic)を使っているんだ。
Anthemはあと付けですよね?
そう。このギターをライブで使おうと思った時に、ピックアップを取り付けた人が間違ったやり方をしてしまって、すごくひどい音になってしまったんだよね(笑)。でもなぜか弾き心地がとても良い。チューニングが狂わないし、イントネーションも良いんだ。鳴りは超っていうほど良くはないけど、鳴りすぎてフィードバックするようなこともないし、ライブで弾きやすい。ストラトキャスターと同じように使うのをやめようと思ったこともあったけど、これで上手くいっているから、あまりいじくりたくないんだ。
家やレコーディングで弾いているというアコースティック・ギターは、どこのメーカーのもの?
イギリス製のAtkin Guitars。素晴らしいギターで、とても良いよ。The White Riceというモデルで、基本的にはマーティンD-28のコピーなんだけど、トニー・ライスとクラレンス・ホワイトが使っていたギターのコピーなんだ。2人が別の時期に所有していたD-28がもとになっているんだよ。それをアルバムのレコーディングで使ったんだ。
Sigmaを使い出したキッカケは?
これもアイザックが持っていたギターなんだ。だから、いつか彼のもとに戻るかもしれないね。アイザックは『Ants From Up There』のレコーディングで使っていたよ。もともとサウンドホールにマグネティック・ピックアップが付いていて、ライブで僕に使わせてくれて、それ以来ずっと弾いている。
小さいボディのギターが好きなんですか?
それは彼に聞いてもらわないとね。僕がこのギターを好きなのは、ナットの幅が広いからなんだ。確か1.75インチだったと思う。スタンダードなマーティンよりも幅がちょっと広いんだよ。20年代〜30年代初めのマーティンだったら、これくらいの幅かな? コードを押さえるスペースが広く取れるから良いんだよね。あとは12フレット・ジョイントになっているところ。つまり、14フレット・ジョイントよりもブリッジがサウンドホールから離れているんだ。ブリッジがブレーシングの木材の上にあることで、少し違った音が出るんだと思う。普通、小さいボディのギターは低音があまり出ないけど、これはパンチがあるんだよね。少なくとも、僕はそう認識しているんだ。
チューニングはレギュラーですか?
これまたレギュラー・チューニングだけど、「Socks」ではエレキと同じくドロップDにしている。低くてデカいDコードがあるほうがいいからね。
弦のメーカーとゲージは?
D’Addarioの.0125〜.054(XS PB Light Plus)かな。僕はXSが好きなんだ。白いパックに入ったコーティング弦なんだよ。
ラップ・スティール・ギターについても教えてください。
eBayで買ったんだけど、誰が作ったかは知らないんだ。イギリスの誰かが作ったもので、ヘッドを見ればわかるかもしれないね。ピックアップもわからないよ。でも、ブリッジはDuesenbergのMultibenderだ。全部の開放弦を弾くとG△7(9)コードになっているから、チューニングはG-B-D-F♯-A-Dだね。ちょっとハワイアン・ラップ・スティールの音みたいだけど、とても素敵なレンジだよ。ブリッジのGベンダーは半音上がって(F♯→G)、Bベンダーは1音上がる(A→B)。6弦〜3弦を同時に弾くと1つのコード(△7)になるし、2つのベンダーを使うと弦が2本ずつGとBになるから、とても役に立つんだ。
ライブではおもに「Goodbye(Don’t Tell Me)」で使っている。「Forever Howlong」のとあるバージョンで使うこともあるけど、今回のツアーではレコーディング・バージョンしかやっていないんだよね。スタジオでは、あともう2〜3曲で使ったかな。
eBayで購入したとのことですが、どこが気に入ったんですか?
誰かが持っているのを見て、ラップ・スティールが欲しかったんだ。「Goodbye(Don’t Tell Me)」のコーラスのコードで“ウ〜ン”っていう音を出したかった時、これを見つけたんだよね。当初はMultibenderブリッジを買ってテレキャスターに付けようと思ってたんだよ。結局このラップ・スティールを買ったからテレキャスターには付けなかったけど、ブリッジは今家にあるから今度試してみるね。
2025年12月10日(水)EX THEATER ROPPONGI
【Setlist】
01. Two Horses
02. Salem Sisters
03. The Big Pain
04. Mary
05. Nancy Tries To Take The Night
06. Besties
07. Socks
08. Dancers
09. Goodbye(Don’t Tell Me)
10. Turbines/Pigs
11. The Ballad Of El Goodo(Big Star Cover)
12. Forever Howlong
13. Happy Birthday
14. For The Cold Country


