本記事では、シノダ(vo,g)が本作のレコーディングで使用したペダルボードを、本人の解説とともにご紹介。
取材・文=編集部 機材撮影=星野俊
Shinoda’s Pedalboard

OCDを軸にした
シンプルなペダルボード
【Pedal List】
①Jim Dunlop / GCB95 Cry Baby Mod.(ワウ)
②BOSS / TU-3W(チューナー)
③Fulltone / OCD(オーバードライブ)
④Prescription Electronics / Experience(オクターブ・ファズ)
⑤Keeley / Son of Fuzz Head(ファズ)
⑥E.W.S / SCH-Z Mod.(コーラス)
⑦BOSS / PS-6(ピッチ・シフター)
⑧BOSS / DD-20(ディレイ)
⑨Providence / PV-9(パワー・サプライ)
⑩Electro-Harmonix / Bass Big Muff Pi(ファズ) ※未接続
ギターからの接続順は①〜⑧の番号のとおり。
①GCB95 Cry Babyはバンドに加入した当初から、プロデューサーから借り続けている1台。改造によりオーバードライブ回路を内蔵しており、右側面に増設されたノブで歪み量を調整することが可能だ。また、その隣に備わっている2つのトグル・スイッチによって、ワウの強さや可変範囲、ピークのカーブを調整することもできる。

②TU-3Wは、トゥルー・バイパス・モードで使用している。
シノダのメインのクランチ・サウンドを担う③OCDは、メルカリで2万円ほどで入手したもの。LPモードに設定し、ほぼ常時オンにしている。ギター・ソロでは、その後段に接続した④Experienceと⑤Son of Fuzz Headの2台のファズ・ペダルを使い分けているそうだ。

④Experienceはwowakaが所有していた個体。「青」のリフのレコーディングで使用した際に気に入り、現在はライブで「3分29秒」や「センスレス・ワンダー」などのパンチのあるフレーズを演奏する際に踏んでいるとのこと。『Friend Chord』のレコーディングでは、「ジャガーノート」や「耽美歌」のバッキングで使用された。
⑤Son of Fuzz Headは、ブースターとして活用。ライブ中、ギターの音量が上がりすぎると歌う際に支障をきたすため、歪みペダルを重ねても音量の変化が生じないようにセッティングしているそうだ。ジャズマスターのリア・ピックアップをセレクトし、ギター側のボリュームを絞った状態で本機をオンにすることが多いとのこと。

⑥SCH-Zは、ARIONのオリジナル機にE.W.Sのモディファイが施されたモデルで、おもにギター・ソロでオンにしている。⑦PS-6は「おやすみなさい」で使用。PITCH SHIFTERモードで、−1オクターブに設定しているそうだ。
⑧DD-20はシノダが長年愛用しているディレイで、本機は2台目。プリセットも使用しているが、マニュアル・モードではWARPに設定し、左側のペダルを踏み続けることでフィードバックを重ねることもあるとのこと。また、ワウと組み合わせて使用することもあるそうだ。
この日は接続されていなかったが、⑩Bass Big Muff Piもシノダお気に入りのファズ・ペダルの1つ。DRYモードに設定することで原音とミックスできるため、③OCDのサウンドを残しながら本機で歪みを加えることがあるそうだ。「ネバーアンダースタンド」のリード・フレーズや、「おやすみなさい」のサビで使用している。
Interview
“どうしたらいいかわからん”っていう、
とんでもないファズですね。
GCB95(①)は改造されていますね。
ヒトリエを始めた時に知り合ったプロデューサーの方からお借りしたペダルで、使い続けて10年くらい経ちますね。右側のツマミはドライブの調節ができるようになっていて、踏むと歪むんです。トグル・スイッチはフィルターのかかり具合を変えられて、どの帯域にエフェクトをかけるかを調整できるようになってますね。
OCD(③)は旧バージョンのものですよね?
古いモデルですね。メルカリで2万円くらいで買えたので、けっこうラッキーでした。これで基本的なクランチを作ってるので、常にかけっぱなしにしています。
Experience(④)の使い方についても教えてください。
wowakaから譲り受けたもので、買ったはいいけど持て余していたシリーズです。“どうしたらいいかわからん”という、とんでもないファズですね。『HOWLS』(2019年)の中に入ってる「青」のリフを録る時にこれを初めて使ったら、“素晴らしいじゃないか!”という話になったんです。でも、ライブで使うのは難しいんじゃないかと思ってたんですけど、「curved edge」を弾く時に一番しっくりきたんですよね。そこからは「3分29秒」のギター・ソロとか、最近は「センスレス・ワンダー」とか、パンチのあるフレーズをライブで弾きたい時はこれを使ってます。1回ボリュームを上げすぎて、アンプのスピーカーを飛ばしました(笑)。
本作では、リアンプの時にこのペダルボードを経由してアンプにつなげていたんですよね。どの楽曲でExperienceを使用しましたか?
「ジャガーノート」のバッキングはジャガーのリア・ピックアップで録って、Experienceで歪ませてますね。あとは「耽美歌」で、ファズのつぶれたコード感を出したい時にも使いました。
Son of Fuzz Head(⑤)はどのように使ってますか?
これはブースターみたいな使い方をしてるんですよ。歪みの量だけ変わるようにして、音量は上下しないようにしてます。ギターの音量を上げすぎちゃうと歌いづらくなるので、ライブ中だけはPAさんに厳しく音量調節してもらってます。
『Friend Chord』のレコーディングでもまぁまぁ活躍してくれましたね。ジャズマスターのリア・ピックアップでボリュームを絞るとトレブルがカットされてファットな良い音が出るんですけど、そういうところでSon of Fuzz Headを使いました。ギター・ソロの音はほとんどこれで作っていますね。
シノダさんのギター・ソロはコーラスがかかってることも多いですが、SCH-Z(⑥)を踏んでいるのでしょうか?
そうですね。SCH-Zはもう付き合い長いな。10年くらい使ってます。『REAMP』(2021年)を作ってる時にいろいろなコーラス・ペダルを使ってギター・ソロを弾いてみようという話になったんです。Electro-HarmonixのSmall Cloneとかも試したんですけど、結局SCH-Zが一番ハマりが良かったですね。
PS-6(⑦)はどのモードで使うことが多いですか?
普段はハモる音をこれで出してます。「おやすみなさい」の中で逆再生みたいな音が鳴ってるんですけど、そのオクターブ下の音をこれで出してますね。
ディレイは変わらずDD-20(⑧)ですね。
これは2台目ですね。1台目はモード選択のノブの文字が全部消えちゃって、ランプも点かなくなっちゃったんですよ。一時期、耳だけでエフェクトのオン/オフを判断してたんですけど、危険すぎると思って(笑)。高円寺のハードオフに行ったら1万円くらいで売ってたので、買い替えました。
ライブではマニュアル・モードとメモリー・モードが切り替わるようにしてるんですか?
そうです。マニュアル・モードはWARPにしていて、同じフレーズがワーッと反復するようになってます。この状態でワウをかけてフィードバックを起こしたりすると、すごい音になりますよ。僕はそれを“ハッタリ”って呼んでるんですけど(笑)。宇宙的な要素を足すみたいな使い方です。
Bass Big Muff Pi(⑩)はどの楽曲で使用してますか?
「ネバーアンダースタンド」のリード・フレーズとか、「おやすみなさい」のサビの音はこれで作ってますね。かなり重宝していた時期があって、これより小さいNano Bass Big Muffを使っている時期もありました。
中身がほとんどロシアン・マフらしいんですけど、DRYにすると原音とミックスできるんですよ。なのでOCDのうしろにかけると、原音の音を残したままBig Muffの要素を足すっていう使い方ができます。今の配置だと『バイオハザード』のアイテム画面みたいになっちゃってるんで、なんとかしてボードの中に組み込みたいとは思ってますね(笑)。
作品データ

『Friend Chord』
ヒトリエ
ソニー
AICL-4682
2025年1月22日リリース
―Track List―
1. 耽美歌
2. ジャガーノート
3. Quadrilateral Vase
4. ネバーアンダースタンド
5. 月をみるたび想い人
6. Shadowpray
7. NOTOK(Album version)
8. オン・ザ・フロントライン
9. おやすみなさい
10. ブルースプリングパンク
―Guitarist―
シノダ


