2026年1月に、約5年ぶりとなる9枚目のアルバム『Selling A Vibe』をリリースしたザ・クリブス。10月2日(金)には、本作を引っ提げた8年ぶりとなる来日公演が渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて実現した。本記事では、ライアン・ジャーマン(vo,g)が使用した2台のアンプを本人の解説とともにご紹介。
取材・文=小林弘昂 通訳・翻訳=トミー・モリー 機材撮影=星野俊
Ryan Jarman’s Amplifiers
・Orange / OR120 & Orange / PCC212(上段)
・Orange / OR120 & Orange / PCC412(下段)

セッティングが異なる
2台のアンプを常に出力
イギリスのライブではMatampのGT1とOrangeのAD30を愛用しているライアンだが、今回の来日公演では日本でレンタルした2台のOrange OR120を使用。初めてOR120を試したそうだが、“かなりオーバードライブがかかってすごく歪んでいて、なかなかクールなアンプ”とコメント。

上段のOR120はPCC212に、下段のOR120はPCC412に接続されている。常に2台のサウンドを出力しており、ペダルボードからの信号は、ヘッドの横に置かれたElectro-HarmonixのSwitchblade+(ABボックス)から分岐している。

上段のOR120はHiにインプットし、F.A.C.を1時、Bassを3時過ぎ、Trebleを2時、Presenceを3時、Gainを9時過ぎ、Masterを12時過ぎにセッティング。こちらは高域を担当。

下段のOR120はHiにインプットし、F.A.C.を9時過ぎ、Bassは不明、Trebleを1時、Presenceを2時手前、Gainを7時、Masterを9時にセッティング。こちらは低域を担当し、なおかつGainとMasterを絞っているのが特徴。
Interview
オレにとって良いギター・サウンドとは、
オーバードライブさせたOrangeのアンプなんだよ。
今作『Selling A Vibe』では気持ちのいいクランチ・サウンドが中心で、ヘヴィになりすぎず、ギター本来の音がしっかりと感じられました。ギター・サウンドの方向性について、何か明確なイメージはありましたか?
オレは昔から、“どんなギター・サウンドにさせたいか”というイメージを持ってきた。本当に好きなエフェクトはオーバードライブだけなんだよね。そもそもエフェクト・ペダルにはそれほど興味がないし、ファズは本当に好きじゃない。ファズはなんていうか……弱々しすぎたり、チープさがあると思う。必ずしも心地いいサウンドとは言えないところが残念でね。
なぜオーバードライブだけが好きなんですか?
ギターを生々しいサウンドにしてくれるから、個人的にはオーバードライブこそがギターにとって最もヘヴィなトーンだと思っている。ギターが持つクリーンなサウンドを、そのままぶっ壊れたような音にしてくれるんだ。エフェクトはリフの邪魔になると感じていて、プロセスされまくったサウンドにはしたくない。巨大なペダルボードを使うのが流行っていた時代があったけど、オレからすれば、それはギターをプレイすべき時間をノブをいじることに費やしているようなものだった。そんなことに付き合う忍耐力は、オレにはないんだ。
そういう理由で機材をシンプルにしているんですね。
オレたちが育ったウェイクフィールドではOrangeのアンプが作られていて、中古の楽器店に行けば古いOrangeのアンプがたくさん置いてあってね。中には奇妙なプロトタイプや、普通ならお目にかかれないようなモデルまであったよ。ある時、通常とは違うルックスの、巨大なテレビみたいなOrangeのアンプを見かけたことを覚えている。
オレが好きだった地元のバンドはみんなそういうアンプを使っていて、ロックのサウンドといえば、まさにOrangeだった。だからオレにとって良いギター・サウンドとは、シンプルにオーバードライブさせたOrangeのアンプなんだよ。特にAD30を少しだけオーバードライブさせたサウンドが本当に好きなんだ。もしこのアンプで良いサウンドが出せないなら、とんでもなく間違ったことをしているに違いないね。
だからアンプにはかなりこだわりがあるんだけど、機材全般に対してそこまで神経質なわけじゃない。オレのお気に入りのギターは、その時に自分のそばにあるものだったりするんだ。
今日のライブではOrangeのOR120を2台使用するみたいですね。それぞれどのような役割を担っているのでしょうか?
まったく違う役割なんだ。今回はAD30が借りられなかったんだよね。今日のライブで使うアンプは今まで聞いたことすらなかったモデルだったから、ちょっと驚いているよ。でも、かなりオーバードライブがかかってすごく歪んでいて、なかなかクールなアンプだね。

イギリスではグリーンのMatampを使用しているそうですね。
Orangeのアンプがオレたちの地元で作られていたっていう話をしただろう? 当時Orangeを運営していた人がそこを離れて、そのあとにグリーンのアンプをハンドメイドで作り始めたんだ。これがとにかくすごくて、信じられないくらいラウドでパワフルなんだよね。オレはグリーンのGT1っていうアンプを完全にローエンド用として使っている。クレイジーな低音が得られるんだ。
普段はそこにAD30を組み合わせている。AD30はほとんどローエンドがないんだ。なぜなのかはわからないけど、とにかく低音が出ない。だから以前は別のOrangeのアンプを使って、ベースをフルにしていたよ。でも、グリーンのアンプがあればそんなことをする必要はない。とにかく低音が出るセッティングにしてやれば、頭が吹っ飛ぶくらいのサウンドが出るんだ。
2026年10月2日(金)渋谷duo MUSIC EXCHANGE
【Setlist】
01. Dark Luck
02. I’m A Realist
03. Hey Scenesters!
04. Girls Like Mystery
05. Summer Seizures
06. Never The Same
07. We Share The Same Skies
08. My Life Flashed Before My Eyes
09. Things You Should Be Knowing
10. Back To The Bolthole
11. Running Into You
12. A Point Too Hard To Make
13. Another Number
14. Shoot The Poets
15. Looking For The Wrong Guy
16. Come On, Be A No-One
17. Men’s Needs
18. Mirror Kissers
19. Be Safe
20. Pink Snow
作品データ

『Selling A Vibe』
ザ・クリブス
ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
PIASR1573CDJ
2026年1月9日リリース
―Track List―
01. Dark Luck
02. Selling A Vibe
03. A Point Too Hard To Make
04. Never The Same
05. Summer Seizures
06. Looking For The Wrong Guy
07. If Our Paths Never Crossed
08. Self Respect
09. You’ll Tell Me Anything
10. Rose Mist
11. Distractions
12. Brothers Won’t Break
―Guitarist―
ライアン・ジャーマン

