ギター・マガジン 2021年6月号 ギター・マガジン 2021年6月号

ギター・マガジン 2021年6月号

永久保存版 ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)

5月13日発売のギター・マガジン2021年6月号は、シューゲイザーの代表格であるマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのギタリスト=ケヴィン・シールズを大特集! “美しいノイズ”と賞賛される革命的なギター・サウンドを打ち出した天才に、100ページ超えのボリュームで迫りました。その内容を担当編集の副編・山本が紹介します。

ついに出来たぞ表紙特集!
さあ知れ渡れ、ケヴィン・シールズ!

 マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのギタリスト、ケヴィン・シールズ。彼の名は正直、ジミ・ヘンドリックスやエディ・ヴァン・ヘイレンといった燦然たるギター・ヒーローと比べると、さほど知られていない……というのが実情でしょう。大ヒット曲があるわけではないし、そもそもマイブラを始めとする90年代オルタナを好んで聴かない人もいます。しかし本誌にとってケヴィン・シールズという人は、上記2名と比べても遜色ない超重要ギタリストなのです。

 なぜなら彼のギターは、従来のプレイやサウンドから明らかに逸脱しているうえに、のちに与えた影響が凄まじいから。普通、ロック・ギタリストといったらギュイーンと弦をチョーキングして、派手なステージ・アクションで魅せるイメージってありますよね? 彼はそんなことはまったくしません。華やかなギター・ソロも弾かないし、ステージ上ではうつむいて眼下のペダル・エフェクターを踏み替えるだけ。その姿から“シューゲイザー(靴を見る人)”なんてくくりをされ、90年代当時はある種、嘲笑の的にすらされてきたのです。

 そんなケヴィン・シールズですが、彼は他を圧倒するひとつの才能を持っていました。それは、“ギターの音作り”。エレキ・ギターのひとつの象徴である歪んだサウンドをとことんまで突き詰め、さらにさまざまな機材によるエフェクトを駆使し、夢幻的なサウンドスケープを作り上げる能力がずば抜けていたのです。マイブラの代表作『loveless』(91年)では、ノイジーなサウンド感なのになぜか美しい色彩感や心地良さを覚える、いわば“美しいノイズ”とも言える美意識を確立。普通は忌み嫌われるノイズを、きわめて音楽的に聴かせてみせたのでした。そして『loveless』以降、ケヴィン・シールズが作り上げたそのサウンド/概念はじわじわと色んな音楽に波及していきます。00年代以降のオルタナティブ・ロックのみならず、ポスト・ロックやエレクトロニカ、ドリーム・ポップ、さらにはヒップホップやインディーR&B、チルウェイヴ、ストーナー・ロック、日本のビジュアル系などなど……。コテコテのロック・ギターがちょっと古臭く聴こえてしまう昨今において、彼のようなギター・サウンドはますます存在感を増していくばかりだと感じます。

 さて、3月某日。米グランジ特集(4月号)フェンダー・ムスタング特集(5月号)を立て続けにお送りし、なんとなくオルタナなムード漂う編集部にとある連絡が。“マイブラの諸作品がリイシューされるんで、このタイミングでケヴィンにインタビューできそうだ”とのこと。彼への取材は長年オファーし続けてきましたが、実現に至るのはなんと今回が初めて。そうとなればいよいよ、本誌初となる炎のケヴィン・シールズ特集を作るしかありません。 念願叶ったり、時来たれり! ということで、“もう2度と作らないだろう”という思いのもと、本号を作り上げました。

 マイブラ・ファンはもちろん、彼をそもそも知らない/苦手意識があるギター・ラバーズにもぜひ、本号を手に取ってもらいたい。その魅力が広く、そして深く伝われば本望この上ありません。さあ知れ渡れ、ケヴィン・シールズ!

まずは入門編! 月刊マイブラ・ジャーナル

 マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、およびケヴィン・シールズって何がすごいの? まずは入門として、彼とバンドの魅力を語るうえではずせないトピックをまとめてみました。バンドの経歴やケヴィンの代表的なプレイ・スタイル紹介、そのほかにも “『loveless』で大金を使いすぎてレーベルをつぶしかけた”、“ライブで耳栓を配るほどの大音量へのこだわり”、など有名な逸話も。

保存版25,000字インタビュー
ケヴィン・シールズ、すべてを語る───。

ついに叶ったケヴィン本人へのロング・インタビュー。多数の質問を用意して臨んだところ、“時間なんて気にすることはない”と手厚く出迎えてくれ、当初の約束をはるかに超える約3時間(25,000字)の取材に成功。見どころは、かの名盤『loveless』の本人による全曲解説。しかも本人が撮影して送ってくれた機材写真付き。これは本誌でしか読めませんよ!

マイブラ作品、徹底解説

彼らのほぼ全作品ディスクを徹底紹介! このたびリイシューされた主要4作品(『Isn’t Anything』、『loveless』、『m b v』、『ep’s 1988-1991』)は全曲解説も収録しています。ココを読めばマイブラの活動ぶりがほぼほぼ把握できるはず!

ケヴィン・シールズ奏法分析

独自の変則チューニングを多用するがゆえ、正確なコピーが困難とされるケヴィン・シールズのギター・プレイ。しかしこのたび、本人の厚意により秘蔵の公式チューニング・データをもらうことができました。それをもとに、名曲のギター・ワークを譜面で解説します。

ケヴィン・シールズ愛用機材総覧

ここからは愛用機材紹介。これまで彼の機材については不明点が多かったですが、今回の特集に際し、ケヴィン本人や複数の関係者が撮影した多数の写真で濃厚に解説!

同胞からの愛あるコメント!

同時期に活躍し、互いにリスペクトし合う同胞たちからの取り下ろしインタビューにも成功。4月号の主役だったサーストン・ムーアとJ・マスキス(ダイナソーJr.)がケヴィンを熱く語ります!

国内ギタリストが語るケヴィンの凄み

ここ日本を拠点にするギタリストたちにケヴィン・シールズの凄みを語ってもらいました。SUGIZO、Takaakira’Taka’Goto(MONO)、永井聖一(相対性理論)、タテミツヲ(ex.コクトー・ツインズ)が登場!

その他、元アンプ・テックのインタビューや、マイブラ以外の活動をまとめたコラムなどミニ・コーナーも充実。ほかにも、英国シューゲイザーの雄=スワーヴドライヴァーのインタビュー&機材紹介や、轟音ペダル・ブランドとして名を馳せるDeath By Audioの特集も掲載。ぜひチェックを!

ギター・マガジン 2021年6月号
  • 定価本体880円(税込)
  • 品種雑誌
  • 仕様A4変形判
  • 発売日2021-05-13