現在発売中のギター・マガジン10月号『’70s BLUE NOTE特集』と連動した、コンピレーションCDが発売! 豪華2枚組という仕様で、収録された24曲は特集内でがっつり解説しているので、ぜひ聴いてみよう! ここでは特集のメイン・ライターであり、コンピ盤の監修者でもある久保木靖氏に、CD制作秘話(?)を綴ってもらった。
文=久保木靖
ブルーノート特集で、70年代にフォーカス!?
思わず耳を疑った編集長の言葉……
思い起こせば、もう1年半前の話……“ジャズの名門ブルーノート・レーベルの特集を組みたい”という、ギタマガ編集長のひと言から始まった。
創立80周年で脚光を浴びていたから、それは納得。
しかし、彼の口から続けて出た“70年代のLA時代にフォーカスしたい”というひと言には正直耳を疑った。
“ブルーノートの代名詞的ギタリスト、ケニー・バレルとグラント・グリーンの作品がほぼはずれているんだけど、いいんですか!?”と。
しかし、改めて聴き返してみると、その時期の作品の多くは、先行してリズム・トラックを録るなど一般的なポップスの手法で制作されていた(ジャズだったら一発録りが普通)。となると、スタジオには凄腕のセッション系ギタリストが呼ばれていたのではと想像がつくわけで。
案の定、ギター目線で聴いてみたら、70年代のブルーノートはヤバいことになっていた!
そして特集記事と連動したコンピCDの発売も決まり、編集長とふたりで鼻息を荒くして選曲作業へ。
筆者は1日のうち数時間、ギタリストが参加しているBN-LA作品(全部で約60枚弱)を聴くことに充てる日々が続いた。ある程度まとまったところで編集長と意見をぶつけ合うということをくり返し、なんとかデヴィット・T.ウォーカーを別格扱いにした2枚組ということに落ち着く。
そして、“よーし、これで決まり!”と思ったのも束の間、締め切りを過ぎてから、編集長の“思いつき”で曲順が大幅に変わるなど、いやぁ、あの時は参ったなぁ……。
ともあれ、構想から1年半を経て仕上がったアルバムの顔ぶれは、まさにクロスオーバー前夜といった様相。
のちのフュージョンの寵児リー・リトナーやラリー・カールトン、アール・クルーらの初々しいプレイ、ギターが前面に出たハード・フュージョンで暴れるイーフ・アルバースやレイ・ゴメスのジャズ・ロック・スタイル、そしてR&Bリックの神様デヴィット・T.ウォーカーが見せるモータウン作品とは違ったエッジなど、聴きどころ満載だ(権利の問題でロベン・フォードが参加したジミー・ウィザースプーンの音源を加えられなかったのは痛かったけど)。編集長と筆者が思わず歓喜の抱擁(もちろん、リモート)をしたのは言うまでもない。
そんな中から筆者とっておきのネタをひとつ。
カーメン・マクレエの「Only Women Bleed」でラリー・カールトンが見せる変幻自在のチョーキング・プレイは感涙必至! マリーナ・ショウの名盤『Who Is This Bitch, Anyway?』におけるデヴィット・Tとのツイン・バッキングに勝るとも劣らない名演だ。
さぁ、ギター・マガジン2020年10月号とあわせて入手しよう!
>ギター・マガジン 2020年10月号『70年代ブルーノート特集』の詳細はこちら
NEW RELEASE
『THE GUITAR OF BN-LA~70年代、ブルーノートLAのギタリストたち。』 V.A.
Universal Music/UCCQ-1128/9/2020年9月16日リリース
本コンピCDは、ギター・マガジン2020年10月号『ブルーノート特集』と連動しています。CD収録曲に参加したギタリストの詳細はもちろん、ソロ/バッキングの譜例も盛りだくさん。CDと合わせてチェックしよう!