ギタリストのためのタイム感トレーニング【応用編】 ギタリストのためのタイム感トレーニング【応用編】

ギタリストのための
タイム感トレーニング【応用編】

リズムの面で演奏クオリティを上げていく効果的な練習方法のひとつが、メトロノームを“裏”に聴いて(感じて)弾くトレーニング。このエクササイズを日々積み重ねていけば、読者のリズム感がピカピカに磨き上げられること請け合い! 今回はかな〜りイラっとしそうな“応用編”です(笑)。

構成/文=安東滋 浄書=Seventh


裏拍トレーニング
【応用セッティング篇】

リズム感を鍛えるメトロノーム・トレーニングの第2回目。ここで紹介するのは、ちょっと目線を変えた応用アイディアです。前回の基礎編で取り上げた“裏”で聴くメトロノーム・トレーニングのセッティングを踏まえて、そこにポリリズムやシンコペーションなどの付加的な要素をトッピングしたバリエーション設定にトライしてみて下さい。

みなさんのリズム感をさらにブラッシュアップしてくれること間違いなし!

トレーニング①:“2拍3連”で鳴らす

バウンス系のリズム練習のお供にぴったりなのが、この“2拍3連”のタイミング(図1)で鳴らすメトロノーム・セッティング。ジャム・セッションの定番曲「可愛いアイシャ」など、3連符が軸になる“トリプレット・フィール”の練習(Ex-1)にもぴったりです(ピッキングは譜例に補記したモーションがおすすめ)。そのほか、シャッフル、12/8拍子、4ビートなど3連符がグルーヴの土台になるリズム練習にもそのまま使えますので、ぜひ試してみて下さい。

トレーニング②:“付点8分”で鳴らす

16thフィールのリズム練習としてぜひ試してみてほしいのが、付点8分音符のタイミングでメトロノームを鳴らす応用セッティング。その一番わかりやすいサンプルとしてあげたのが、3拍子で区切った図2~4のパターンです。その中の図2の設定で弾くアルペジオの例題がEx-2。メトロノームが打つ“4”の周期と3/4拍子の“3”のビートが同時進行する、16分音符絡みのポリリズム的なシンコペーションをうまくとらえながら弾けるか?……ここが鍵を握っています。

また同様の付点8分取りのセッティングを4/4拍子に当てはめると、下図5のように小節数の面でも“3”と“4”の区切り目がどんどんずれ込んでいく展開になりますので、よりリズム面での負荷がかかってきます。リズム感に自信がある人はこの難セッティングにもチャレンジしてみて下さい!

付点8分音符の連鎖を4拍子に当てはめていくと、そのリズムのずれ込みは図5のように3小節スパンでひと区切りになります。ですが多くの楽曲では4小節が音楽的な単位となりますので、そのまま延長していくと、再び“3”と“4”のリズムの区切り目がどんどんずれ込んでいき、最小公倍数の12小節目でやっと音楽的に完結するポイントまで辿り着きます。その長~い経路を通してメトロノームが打つ16分音符のシンコペーションをキープできたら……あなたのリズム感は、もうエクセレント!

トレーニング③:“2&4拍”のバック・ビートで鳴らす

最後に紹介するのは、4拍子グルーヴの柱であるバック・ビートに対する意識を高めるのが狙いのトレーニング。通常ドラムが打つ2&4拍目のアクセントの位置にメトロノームを鳴らすことで、そのバック・ビートのタイミングに意識をぐぐ~っとフォーカスしよう!……という作戦です。

 その練習譜例がEx-3。2&4拍目で鳴るメトロノームの音が気持ちよくバック・ビートにハマるように弾ければバッチリです。一見簡単そうですが、どっこい、実はこれが奥深いんですよ~(笑)。熟練者になると、演奏者側がキープする基本パルスの微妙な発音のタイミングによって“前ノリ”と“後ノリ”のグルーヴ感までコントロールすることができるようにもなりますから、これは深掘りしてみたいところですね。ある意味、究極のリズム・トレーニングと言えるかも知れません。

 またこのメトロノーム設定は、4拍子の曲なら何にでも応用できるオールマイティなセッティングでもあります。上記のEx-3に例をあげた8ビート系から、シャッフル、16ビート系まで、どんなリズム&グルーヴにも応用できますから汎用性も抜群。ちなみに、ジャズ畑(4ビート系)の奏者はこのセッティングで練習するのが常ですね。