Playing Analysis | 『サンバースト』パンク・ロックを彩る音使い Playing Analysis | 『サンバースト』パンク・ロックを彩る音使い

Playing Analysis | 『サンバースト』
パンク・ロックを彩る音使い

The Birthdayの新作『サンバースト』における、フジイケンジの特徴的なフレージングをご紹介。シンプルな楽曲の中で次々と姿を変えるギター・フレーズを分析してみよう。

採譜・解説=堀沢俊樹


「月光」風
疾走感溢れるトレモロ・ピッキング

 譜例前半は、2弦上のフィンガリングに1弦開放を加えたトレモロ・ピッキングによるソロ後半を参考にしたもの(参考CD time=1:57~)。MVでは人差指による2弦14フレットへのスライドでフィンガリングをスタートさせている。15フレットのみ中指で押さえ、ポジション下行時は人差指でスライド移動しているようだ。ソロの終止にあたる9~10小節目は、2弦7フレットと1弦開放による2度のインターバル。

 12小節目からのフィルインを同ポジションのフィンガリングにまとめたが、12小節目から13小節目にかけては、人差指を1弦7フレットに移動したオーソドックスなコードEのフォームとも考えられるだろう。譜例の最終小節は、コード進行を半拍先取りしたF♯m7の省略フォーム。

「レボルバー」風
サビを彩るフィルイン

 L ch.のコード・ストロークに絡むR ch.のバッキングをシミュレート(参考CD time=1:31~)。パワー・コードとフィルインの組み合わせを中心に、8小節のコード進行をくり返している。5小節目のコードGは6弦3フレット+5弦5フレットのオーソドックスなフォームとも考えられるが、1~4小節目のパワー・コードと質感が違うため、5弦をミュートしたオープン・コードを選択した。6弦を親指で押さえる場合は1~2弦を人差指、6弦を中指で押さえる場合は2弦を薬指、1弦を小指で押さえよう。コード進行2周目のコードGでは、1~4弦のオープン・コードに2弦の装飾を加えている。

「バタフライ」風
コード進行に沿ったアプローチ

 Ⅰ→Ⅵm→Ⅳ→Ⅴのダイアトニック・コード・プログレッションに乗せたソロの参考譜例(参考CD time=1:40~)。冒頭2小節はコードDの省略フォームを軸とした1~3弦の装飾パターン。続くコードBmでは、2~3弦を下行しながらコード・フォームと重なるポジションへ移動している。サブ・ドミナントにあたるコードGは、開放弦を絡めたカントリー風のフレージング。オープン・コードAのフォームからスタートする7~8小節目では、3度インターバルの上行に半音のアプローチを加えている。2回目のトニック・コードDはD△7(9)の響きを強調する装飾パターンだ。

作品データ

『サンバースト』
The Birthday

ユニバーサル/UMCK-1690/2021年7月28日リリース

―Track List―

01.12月2日
02.息もできない
03.月光
04.ラドロックのキャデラックさ
05.レボルバー
06.アンチェイン
07.晴れた午後
08.スイセンカ
09.ショートカットのあの娘
10.ギムレット
11.バタフライ

―Guitarists―

チバユウスケ、フジイケンジ