タッピングを用いた独創的なフレージングがナイア・イズミのトレードマーク。しかも、単体でも難しいそのフレーズを、弾きながら歌う。ここでは、そんな楽曲の顔にもなっているバッキング・プレイをご紹介しよう。
譜例作成/文=安東滋 浄書=Seventh
高難度テクを鏤める、新感覚の歌伴奏スタイル
現代的なネオソウルの音像の中に先進的なギター・テクニックをちりばめる注目のギタリスト=ナイア・イズミ。タッピングを駆使した高難度のバッキング・パターンを事もなげにループさせ、その上に自身のソウルフルなボーカルを乗せる!……この歌伴奏スタイルはまさに新感覚。そこにシンガーソング・ギタリストとしての独創性と大きなアピール・ポイントが浮かび上がってきます。以下に挙げたのは、その技巧的なバッキング・プレイにフォーカスした演奏サンプル。
Ex-1:高難度のタッピング・リック

「Natural Disaster」の主題となるタッピング・パターンを基本形にまとめた模擬譜例(参考CDtime=0’12″~)。左手側は5fのセーハ・フォームを保持した態勢で3&4弦の7f上をタッピング(譜例中のT印)、右手側はピックを持ったままの態勢で「中指・薬指・小指」の各指でタッピングしていきます(同↓印)。それ以外の音はピックあるいは右手側の余指での発音です。
これらの音がランダムに交錯していく様は、まるで迷路のよう(笑)。このめちゃ難度の高いタッピング・リックを涼しい顔でループさせながら歌も歌っちゃうんですから……もう、おそるべし! 変則的なリズム展開もイレギュラー感を増幅させていますね。いや~、それにしてもムズい!
参考音源
作品データ

『A Residency in the Los Angeles Area』
Naia Izumi
輸入盤/2021年7月30日リリース
―Track List―
01. Honesty
02. Natural Disaster
03. Six Inch Stilettos
04. Voodoo
05. Water
06. What Happened To Love?
07. Good At Being Lonely
08. Sad Song
09. As It Comes
10. Be Still
11. Personal Heaven
12. Hand In Hand
13. Soft Spoken (Sound City Version)
―Guitarist―
ナイア・イズミ