ジョーイ・ランドレスが教えるオープンE系チューニングでのコード・ワーク ジョーイ・ランドレスが教えるオープンE系チューニングでのコード・ワーク

ジョーイ・ランドレスが教える
オープンE系チューニングでのコード・ワーク

オープン・チューニングを試して“コードが1パターンしか弾けない!”なんて壁にぶち当たったりした経験、ありますか? せっかくオープンにしても、ソロだけ、もしくはコードも決まったパターンだけ、というアプローチに落ち着いたり。ジョーイ・ランドレスに“テンション・コードの役わりはどう考えている?”という質問をぶつけた流れで、オープン・チューニングでのコード・アプローチで参考になることを教えてくれました! 今回は、ジョーイの言葉と実際にその場で弾いてくれた譜例をお届けしましょう。

コメント=ジョーイ・ランドレス 翻訳=トミー・モリー 採譜/浄書=石沢功治

※本記事の譜例はすべてオープンD♭チューニングです。

6弦5弦4弦3弦2弦1弦
D♭A♭D♭FA♭D♭
1度5度1度3度5度1度
オープンD♭チューニングの各弦を半音上げるとオープンEチューニングになります。このように6弦から1弦にかけて1度、5度、1度、3度、5度、1度というチューニングを、最も一般的に使われるオープンEチューニングを代表ととらえて、オープンE系(もしくはD系)と呼びます。

テンション音を加える前に、ダイアトニックな別の選択肢を検討してみよう。

ハーモニーを開拓することは、“結局は何がしたいのか”という話に落ち着くんだ。もしそれが“僕はこんなコードだって知っているよ!”と見せたいがためだったらそれは間違っている(笑)。

例えば僕が9thを加える時って、たいてい動きを出したい時で、Ⅰのコードに7thを加えるのは、Ⅳのコードに移りやすくさせるためだ。時に不協和音や目立つ音を加えたりするのは、次に来るものをドラマチックにさせたいからで、基本的には“ちょっと違うことをしたほうがベターな瞬間”にテンション・ノートを加えているという考えだね。

ただ昔はテンションを加えずにインバージョン(転回形)を使うことでそれに近いことをやっていた。メジャー・コードを代理のマイナー・コードにしてみて、Ⅳのコードに移っていったりね。だからテンション音を加える前に、まずはシンプルにダイアトニックな別の選択肢を検討することをお薦めしたいかな。

で、これ(図1〜3)はすべてD♭だ。

オープン・チューニングのメリットは同じフレット上なら4弦を1弦と6弦に置き換えることができることで、例えば図3だと、1弦、4弦、6弦はすべて5度の音になっている。同様に5弦と2弦を置き換えることもできるよね。

複雑なことをしなくても、トライアドの転回形だけで美しいメロディは作れるし、シンガーのうしろでプレイするなら、注目を浴びるのは君ではなくシンガーであるべきだ。僕だって伝えたいストーリーを歌う時はあまりヘンな音が入らないようにしているよ。

それじゃあ、具体的に僕がどうしているか、「Come Morning」のコードを例に話をしよう。

この曲のコード進行をシンプルにすると、こんな感じだ。

そして、IからⅣ(D♭からG♭)へ、どう美しくつなぐかを考えて、僕はこういうやり方を選んだ。

単にIからⅣへ移るところでも、I、V(on II)、I(on III)、IVと、トライアドの転回形を考えていくと、美しい流れにできるんだ。

おまけ

以下はこの流れでジョーイが弾いてくれたデモ・フレーズ。せっかくなので譜面を掲載しておこう。

作品データ

『Come Morning』
The Bros. Landreth

輸入盤/2022年5月13日リリース

『All That You Dream』
Joey Landreth

輸入盤/2021年11月26日リリース

―Guitarist―

ジョーイ・ランドレス