“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えたーー“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週は、B.B.キングが幅広い世代のブルースマンを集め、1993年に生み出したコラボレーション・アルバム『ブルース・サミット』から。テキサス生まれのアルバート・コリンズと、Tボーンを師と仰ぐB.B.との夢の共演を紹介しましょう。
文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈
B.B.キングとアルバート・コリンズの共通点
心の故郷=Tボーン・ウォーカー。
Tボーン・ウォーカーのエレキ・ギターに触発され、Tボーンを“私の先生”と呼んだB.B.キング。
そのスクィーズ・スタイルと、Tボーンのジャジィなフレージングには共通点がなさそうだが、例えば、B.B.の初期のヒット、「エヴリデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース」(1955年)のスタジオ録音で聴けるギターなど、もろにTボーン・スタイルのギターを弾いていたりする。
そして、アルバート・コリンズ。
歪んだ音の、凶暴な突っ込みスタイルはTボーンとは対極だが、何しろ生粋のテキサス人。ステージではしばしば、“Tボーン・スタイルだ”といって、ギターをTボーンのように水平に寝かせて弾いてみせたりもした。
このふたりの共演に、「Call It Stormy Monday」ほど適した題材はないだろう。
B.B.がブルース界のトップ・クラスを集めた93年の『ブルース・サミット』でのふたりの共演曲だった。
歌うのはB.B.。メロディも少し変えて、いつもの力いっぱいのB.B.節を聴かせれば、コリンズが、しゃにむに凶暴なギターを被せていく。
なぜかコリンズは、1コーラスだけ「イン・ジ・イヴニング」を歌ったりもしているが、彼らの心の故郷、Tボーンに迫りつつ、完全にふたりだけの味わいを出して勝負してみせた、ナイス・バージョンだ。