フジファブリックの山内総一郎が、初となるソロ・アルバム『歌者 -utamono-』をリリースした。タイトルからもわかるとおり、本作は“歌に”焦点を当てた作品。「白」という楽曲ではフジファブリック、そして志村正彦のことを歌っており、山内のパーソナルな部分をさらけ出している。また、多数のアレンジャーやゲスト・ミュージシャンを迎えて制作されたこともトピックで、ポップでカラフルな音の世界観を楽しめる1枚に仕上がった。山内にソロ・アルバムへ込めた想い、そしてレコーディングで使用した機材などの話を聞いていこう。
取材・文=小林弘昂 ライブ写真=佐藤早苗
トライアドだからシンプルで和音として強いんですよ。
そういうピアノが好きですね。
今作『歌者 -utamono-』は山内さんの初となるソロ・アルバムですが、ギターではなく歌に焦点を当てた作品ということで驚きました。
このソロ・アルバムは、昨今のコロナの事情などもあってバンドの活動がなかなか思うようにいかない中で、ファンの方々に素晴らしい景色を見てもらいたくて色々と策を練っていたうちの1つなんですね。まずプロデューサーの方から“歌に集中するソロ作品を作らないか?”という提案をいただいて、それは自分では考えつかなかったことなので、凄く良いなと思って。自分の中ではギター・インストや、ギタリストとして新しいことに挑戦するという考えもあったんですけど、“歌に集中する”というチャレンジはバンドに直接的な還元ができるし、“楽しそうだな”というところがあって、このタイトルとコンセプトをもとに曲を作り始めました。
今作は全体的にギターが抑えられています。作曲はどのように行なったんですか?
全部ピアノと歌で作っています。とは言っても、僕は小さい頃からピアノを弾いていたわけではなくて、若い頃にビートルズやレディオヘッドの曲をコピーしていたくらいで。トム・ヨークのピアノってギター的でもあるし、そんなに難しくないというか、とっつきやすいんですよ。そういったものを基本にしたプレイなので、どうしても音の積み方がギターのコードと一緒になるんですね。でも、今回は歌や声で発するメロディに集中したかったので、あえてピアノで作った楽曲のみで構成されているんです。
ビートルズとレディオヘッドとおっしゃられていて、“なるほどな!”と思いました。
ポール・マッカートニーもトム・ヨークも、激むずコードのボイシングとかは使っていなくて。2人ともシンプルに凄く強いピアノを弾くので大好きなんです。
トム・ヨークのピアノは『Kid A』なんかが印象的ですよね。
そうですね。1曲目の「Everything In Its Right Place」はパワー・コードを横にズラしているような感じで、『Amnesiac』の「Pyramid Song」も全部1度+3度+5度みたいな。
なるほど〜、シンプルなトライアドなんですか。
トライアドだからシンプルで和音として強いんですよ。そういうピアノが好きですね。いずれはクラシック・ピアノを弾いてみたいという気持ちもあるんですけど、道のりは長そうだなと(笑)。もちろんギターを使ったほうが良い部分もあって、実はギターで作った曲もあるんですよ。でもアルバムのコンセプトもあり、今回ははずしています。
そうなんですか!
気に入っているのも何曲かあるんですよ。それは早く作品にしたいなと思っています。
ギターで作曲をする場合、アコースティック・ギターを使うことが多いのでしょうか?
エレキも使いますけど、アコースティック・ギターが多いです。1941年くらいのギブソンLG-2か、パコ・サンチャゴ・マリン(Paco Santiago Marin)というメーカーのガット・ギター。あとはジプシー・ジャズで使われるフランス製のオーバル・ホールのギターも使ったりします。
アコースティックを使うことで、どのようなメリットが?
僕は歌やメロディを鼻歌で作ることが多いんですけど、ギターってメロディを弾きながらボイシングを考えたり、コードを何にしようかっていうのを、なんとなく1本でできるじゃないですか? ピアノでもできるっちゃあできるんですけど(笑)。そういう時、アコースティック・ギターはコードが濁りにくいので使いやすいです。
なるほど。今回ピアノで作曲をしたことで新しい発見はありましたか?
ありましたよ。“難しいことがこんなにできないんだ”と。ギターはやっぱり手癖があるんですよ。シェイク・ハンドで握り込んだ時に11thとか♭13thとか、入れなくてもいいのに小指でテンションを入れちゃって、“これいらんねん!”みたいな(笑)。でも、ピアノだとそもそもそれができないので、あとから基礎を作りやすいんですね。メロディとトライアドで構成していって、“ベース音を半音上げてディミニッシュにしちゃおう”みたいなことが段階的に踏める。ギターは一気に踏めちゃうというかね。“これ前もやったな〜……”みたいなマンネリに陥ることも、ピアノで作ることによって防げました。
やはりギターは体に馴染んでいると(笑)。
そう! 本当はマイナー7thのほうがカッコ良いのに、すぐ7thでチョーキングしやすいほうにいっちゃうとか(笑)。それはそれで良いと思うんですけど、今回は最初のソロ・アルバムということで“汚れないようなサウンドにしたいな”と思っていたので、そこでピアノが活躍してくれました。
色々知って下さっている
名越さんに弾いてほしいなと。
今作は様々なテイストの楽曲が並んでいます。コーラスのみで構成された「Introduction」と「Interlude」はポップでありサイケでもあり、ブライアン・ウィルソンっぽいなと思ったんですよ。
『歌者 -utamono-』というタイトルやコンセプトもあるので、自分の声で始めたいというのがあったんですよ。あとはBPMが似通う曲もでてきたので、「Introduction」と「Interlude」を設けることでアナログ・レコードのA面B面みたいな感じで区切りを付けたというか。「Introduction」から5曲目の「歌にならない」までがA面。「Interlude」から最後の「あとがき」までがB面みたいな作り方にしています。
たしかに前半と比べて後半は軽やかなリズムの楽曲が増えますよね。
フジファブリックでは色んなサウンドを作ってきたので、音楽性に対するフラストレーションは全然なかったんですね。でも、アレンジャーの方々が歌に集中したアレンジにしてくださったおかげで色んなタイプの曲ができて、本当に感謝しています。
今回はアレンジャーを始め、ゲスト・ミュージシャンが大勢いらっしゃいます。
もう凄い人ばっかりです。
その人たちと一緒にやりたいという想いは最初から持っていたんですか?
そうですね。そもそもフジファブリックでご一緒している人たちがほとんどなんですけど、中学校の同級生とか、最初に組んだバンドのメンバーとか、昔からの知り合いもいるんです。“パーソナルなことを歌うだろうな”と思っていたので、近しい人たちにお願いしたんですよ。“こういう曲で、こういう風な想いがあって”みたいなことを説明させていただいてから始めたんですけど、何も言わずというか、スッと汲んで下さった方々ばかりで。“やっぱり凄いミュージシャンばかりだな”と思いました(笑)。
先日の『バズリズム02』に出演された際、真壁陽平さんがサポート・ギターで参加されていましたよね?
マカピー(笑)! 今回ギターは全部自分で弾いていて、マカピーはアルバムに参加していないんですけど、一緒に出てくれて“本当にありがとうございます“という感じです。よく斉藤和義さんとマカピーの3人で飲みに行っていたんですよ。ライブではマカピーではなく、名越(由貴夫)さんがギターを弾いてくれます。
そうなんですか! 名越さんはフジファブリックでもサポートも務めていました。
僕は中学生の時からファンで、“名越由貴夫”という名前を見たら“この人はどんな人なんやろな?”ってずっと思っていて(笑)。知り合ってからはレコーディングを一緒にさせてもらったり、ご自宅にお邪魔させてもらったりして。凄く好きなスーパースター・ギタリストです。
そういえば真壁さんも名越さんが大好きですよね(笑)。
これは余談ですけど、マカピーと“ギタリストはオルタナを通ってる人とそうじゃない人で分かれるよね?”っていう話をして(笑)。マカピー、名越さん、八橋(義幸)さん、清水ひろたかさん。尊敬していますね。
通じるものがあると。
そうですね。贅沢ですけど、ライブでツイン・ギターをやりたい時は色々知って下さっている名越さんに弾いてほしいなと。
自分の声との相性もあって
ギブソンをけっこう使うんです。
「白」はフジファブリック、そして志村正彦さんのことを歌った楽曲です。ここまでパーソナルなことを綴った歌詞というのは今までなかったと思いますが、このタイミングでこのような楽曲を制作するというのは、何か考えがあったのでしょうか?
タイミングというのは全然意識はしていなくて。ただ、山内総一郎として最初のアルバムということで、まずは報告をしようと思っていたんですよ。バンドマンとして生きてきた、生かしてもらっているという想いや、志村君への感謝、色んなフジファブリックのことを歌おうと。
なるほど。
ソロという意識はなく、“山内総一郎としてバンドのことを歌う”というイメージでした。僕は本当にフジファブリックのことが好きなので、それを歌にしたいという想いがあったんですよ。この曲は“ちゃんと作らなきゃいけないな”と思ったので、いつもよりもパーソナルな言葉を使っています。
言葉を重視したと。
今回、歌が入っている曲が8曲あるんですけど、全部に主人公を作ったんです。同じタイム感で東京に住んでいる8人の物語を書いたんですね。例えばJRの下請けで飯田橋駅を作っている人がいたり、36歳でレコード会社に勤務している人がいたり。
おぉ〜、かなり具体的ですね。
その人のプロットをバーっと書いて、それから歌を作っていったんです。そうやって俯瞰で見た時に自分の主観が出てきたというかね。回り道かもしれないですけど、そうすることで“自分が生かされている”ということを歌えたり、“これからもともに進んでいきたい”という気持ちを包み隠さない言葉で出すことができました。
この曲は基本的にアコースティック・ギターのコード・ストロークが入っています。
これはLG-2かな? 今回のアルバムで使ったアコースティック・ギターはLG-2、J-50、D-18ですね。その3本を曲によって使い分けたんですけど、LG-2が多かったです。
無骨な3本ですね。
そうなんですよ。あと0-18もあって、それも良かったんですけど、結局使わなかったかもしれない。それとレコーディング中に“000やOMサイズのものがあったらいいな”と思いました。
ドレッドノートよりもアタック感が欲しかったんですか?
ドレッドノートよりボディの厚さがない分、アタックもそうですけど、タッチが前に出しすいんですよ。ローも少ないですしね。0だとローがなさすぎるので、1音下げにして使うこともあります。やっぱり000やOMが凄く良いサイズですよね。……持ってないですけど(笑)。
(笑)。エリック・クラプトンやジョン・メイヤーが好んで使う理由がわかりますよね。
ジョン・メイヤーもOMなんですね! ジュリアン・ラージが000-18を弾いていて、めちゃめちゃ良い音をしていて。
000やOMはソロもバリバリ弾くようなギタリストが好んで使っている印象です。
たしかに。ボディが厚くないから体に近いし、リードが弾きやすいのかもしれないですね! ……持ってないですけど(笑)。
(笑)。J-50とD-18はビンテージですか?
D-18は55年かな? J-50は56〜57年だった気がします。50年代が多いですね。
うお〜、良いですね!
やっぱり良いです(笑)。マーティンは楽器として本当に良い音ですけど、自分の声との相性もあってギブソンをけっこう使うんですよ。
山内さんの声とギブソンのアコースティック・ギターとの相性が良いんですか?
たぶん声の倍音成分を邪魔しないんですよね。ギブソン風の発声、マーティン風の発声というのが自分の中にあるんですけど、どちらかというとギブソン風の発声のほうが出しやすいというか。“ギャリーン!”とした“ギブソンのアコギみたいな声を出したいな”っていうイメージもあるかもしれないです。
そして2番からはエレキが入ってきます。今まで以上に生々しいサウンドですよね。
バッキングで使ったアンプはSuper Reverb、ギターは54年のテレキャスターです。この曲はSuper Reverb直の音と、strymonのLexを使っているプレイと、卓にそのまま挿して歪ませた音の3つが入っているんですよ。ソロの後半は卓の音です。凄く良いものを使わせてもらったんですよ。たしかウォーターフロント(ニューヨーク)にあったやつで、エンジニアの今井(邦彦)さんが持ってきて下さって。
ソロの前半はレスリーっぽいサウンドですけど、あれはstrymonのLexだったんですね。
最初は本物のレスリーを使おうとしたんですけど、結局やめたんですよ。デモで使ったWaves Audio(プラグイン)のストンプ・モデラーが良くて、それに近づけようとしてstrymonのLexを使いました。ギターはテレキャスターかES-335のどっちかだった気がします。
そのあとに出てくるギンギンに歪んだ音が、コンソールでドライブさせたものですか?
そうです。もう楽しかった〜……。やっぱりコンソールといえば「Revolution」ですよね。レコーディング現場がビートルズ大好きな人たちばっかりだったので、あの“ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ”っていうイントロを弾いたら、みんな“うわ〜(拍手)”って(笑)。最高!
良い現場ですね(笑)。
みんな大好きビートルズ(笑)!
で、バッキングがSuper Reverbの音ということで。
今回、アンプはSuper Reverbしか使ってないですね。大好きです。最初は「白」のソロで50年代後半のTweed Deluxeを使おうと思ってたんですけど、卓に変えちゃって。なのでアンプはSuper Reverbだけになっちゃいました。最近はマーシャルも良いなと思ってるんですけど。
マーシャルは最近あまり出番がないですか?
ないですけど、たまに家で使ったりしますよ。やっぱりマーシャルは良いですね。今はソロのライブもあるし、色んなバンドのライブもあるし、もう1台メインのアンプがあってもいいのかな? でも、Two-Rockはもう売っちゃったし……。
そうなんですか!?
そうなんですよ。最近のアンプも気になってるんですけど、今はストラトとSuper Reverbの組み合わせが最高に好きです。どんなギターでも絶対に合うんじゃないかな? ただ音がデカい(笑)。4発なのでボリュームをそんなに上げなくても音がデカいんですよ。
新たにやりたいことができてくるっていうのは、
凄く良い新陳代謝だなと思うんですよ。
レコーディングでもライブでも基本はアンプの音なんですよね?
そうですね。それとFREE THE TONEの林(幸宏)さんに作ってもらったスイッチャーに、自分のプレイやストラトに合うように設計してもらったバッファが入っていて、それを常にオンにしています。それがめちゃめちゃ良いんですね。ちなみにバッファを切る回路もピート・コーニッシュさんに作ってもらったんですよ。なのでスイッチャーの中にバッファがあるのに、バッファを切るための大きい回路がもう1つあるという(笑)。古いTone Bender MKⅢとかはバッファをオフにしています。
あのスイッチャーにはそういう回路が入っていたんですね。
林さんが“バッファにはハムバッカー用のセッティングとストラト用のセッティングがある”とおっしゃっていて、ストラト用のバッファが良いんです。オンにするとコンプみたいに上が減るわけでもないし、ハリが出すぎるわけでもなくて、アンプ直の音に少し元気が出る感じですね。10ループあるんですけど、バッファのおかげで音痩せもあんまり気にならずにやれています。林さんとピート・コーニッシュさんはミュージシャンの凄く近いところで考えて下さるので自分の好みもわかってもらえるし、そういう人が作るものは本当に信頼性がありますね。なので、レコーディングでも基本はペダルボードを通った音です。
そうだったんですか。意外でした!
一応アンプ直の音とペダルボードをつないだ音の両方を試すんですけど、録り終わったあとに卓で余分なところカットするんじゃなくて、アンプから出てくる音をちゃんと作り込んでからマイクで録ってもらったほうが良いと思うんです。もちろんアンプ直も良い音なんですけど、それより良い音があるっていうのを初めて知りました。
ほかに使用した機材は?
ペダルは今のボードに入っているものだけでしたけど、基本は何も踏まず。歪み系はあまり使わなかったかもしれないですね。「風を切る」のピアノを支えるバッキングのギターはブレンドができるコンプを使っていて、ナローに音を作ってみました。ディレイはEchorecとMemory Manです。
Memory Manは筐体が大きいやつですか?
そうです。青いやつ。
青ですか! Chorus/Vibratoが付いてないんですよね。
次からはChorus/Vibratoが付いてる黒いバージョンに変えようかなと思っていて。そういえばBOSSからもLine 6からも新しいディレイが出るじゃないですか? 気になるんだよなぁ……。
(笑)。Echorecはどの曲で?
「白」、「大人になっていくのだろう」、「青春の響きたち」、「風を切る」の4曲は確実に使ってますね。けっこうやんわり使っています。エレキ・ギターは赤いストラトと、54年のテレキャス、ES-335ですね。……古い335も欲しいなぁ。
「白」で使った335は現行品ですか?
高校生の時に買ったドット・ポジションのリイシューですね。59年製の335を弾かせてもらうと“あ、別の楽器だな”と思います(笑)。
違いすぎるという(笑)。4月9日にはライブが予定されていますが、どんな機材を使用する予定ですか?
まだ決め込めていないんですけど(※取材日は3月25日)、名越さんもいてくれるので、音量的に考えながら決めたいと思います。アンプはTweed DeluxeかDeluxe Reverbでもいいかな。個人的にはDeluxe Reverbにしようかなと思ってるんですけど……どうだろう? 急にDiezelとかは置かないと思います(笑)。いやでも、Diezelは良いアンプですよね!
良いアンプですよ〜(笑)。
VH4めっちゃ欲しいです(笑)。ワクワクするというか、音がカッコ良いんですよ。“ドイツの良い音だな〜”って思います。あとはVOXも良いな!
AC30ですか?
AC30ですね。Matchlessはもう売っちゃったしな……。古いVOXってめちゃめちゃ良いですもんね。
個人的にビンテージのAC30が一番良いアンプだと思います。
ね! 壊れなかったら本当に良いんですけど(笑)。FREE THE TONEの林さんが古いAC30を2台持っていて、凄く良さそうなんですよ。くるりの岸田さんもAC30を使っていて、めっちゃ良い音だったなぁ……。AC30ってけっこう音がデカいですよね?
ボリュームを上げて歪ませると、30Wとは思えないくらい鳴りますよね(笑)。
全然思えない! だからああいうふくよかなミドルが出るんだろうな〜。
選択肢がいっぱいありますね。
ありますね。2発のアンプも良いなと思うんですよ。Pro Reverbを持っていたんですけど、なくなっちゃって。今どこにいったかわからないんです。
え!? あのブラック・フェイスのやつですか?
そう。行方不明なんです。Pro Reverbを探しています。もしかしたらデジマートに出るかもしれないのでチェックしてるんですよ(笑)。Pro Reverbがあったらライブで使いたかったですけど、ないのでTweed DeluxeかDeluxe Reverbかな。Super Reverbでバランスを取るのが良いのかもしれないですけどね。当日はアコースティック・ギターの弾き語りや、ピアノも弾こうかなと考えています。色んな自分を表現できたらいいですね。
ちなみにライブでアコギを弾く時は、ピックアップ・システムが載ってるものを使うんですか?
J-50だったらHighlanderのマイクが中に入っていて、ブリッジ下のピエゾには古いFISHMANのMatrixが載っていて。それを混ぜてHighlanderのプリアンプにいって、そこからRupert NeveのRNHPを通って卓にいっています。音像を大きくしたいのでマイク・プリを通しているんですよ。
楽しいお話をありがとうございました! 最後に、今作の制作を通して見えてきた今後のビジョンを教えて下さい。
楽曲制作する時、物語を作りながら“その人の魂の歌はなんだろう?”と追求して見出すことができたので、これからもやっていきたいなと思います。それと今回のアルバムに入らなかったフォーキーな曲や、大好きなギターの曲ができてきているので、いつか日の目を見る日を楽しみにしていますね。こういう風に1つの作品を作り上げることによって、新たにやりたいことができてくるっていうのは、凄く良い新陳代謝だなと思うんですよ。あとはバンドマンという生き方がより好きになったのが大きな収穫じゃないかな。もとから好きな生き方なんですけど、より好きになったというかね。“最高やん、バンドやって生きていけるなんて!”と、より強く思いました。
作品データ
『歌者 -utamono-』
山内総一郎
ソニー/AICL-4187/2022年3月16日リリース
―Track List―
01.Introduction
02.白
03.最愛の生業
04.大人になっていくのだろう
05.歌にならない
06.Interlude
07.青春の響きたち
08.風を切る
09.地下鉄のフリージア
10.あとがき
―Guitarist―
山内総一郎