崎山蒼志の未知との遭遇  第32回:変形ギターを試奏する 崎山蒼志の未知との遭遇  第32回:変形ギターを試奏する

崎山蒼志の未知との遭遇 第32回:変形ギターを試奏する

新世代のシンガー・ソングライター/ギタリスト、崎山蒼志の連載コラム。1人のミュージシャンとして、人間として、日々遭遇する未知を自由に綴っていきます。 月一更新です。

デザイン=MdN

素敵な出会いはいつも突然に。

 最近ストラトキャスターに魅了されすぎて、メインのエレキをストラトキャスターにしているのですが、それに反して変形ギターへの憧れも募りに募ってきました。自分自身元々は変形ギターや、ビザール・ギターが大好きなので、それが再熱しているという感じです。

 この間、グレコのダン・アームストロングのコピー・モデルを試奏しました。AP-1000という個体です。特徴的なアクリル・ボディ。木製のピックガード。数々のロック・スターが抱えている写真を幾度となく見てきた、ずっと憧れているギターのコピー・モデルです。

 まず、アクリル・ボディのギターを持った経験が無かったので、手に持った瞬間その重量に驚かされます。4.2キロ程でした。大体、レス・ポールくらいでしょうか。全体というよりかは、アクリルのボディがずっしり重いので、座って抱えれば、右膝に全体の7割の重みがかかっているんじゃないか、という具合です。潔い1ピックアップ。1ピックアップへの愛着、熱い気持ちに関しても何度かこの連載で触れていますが、いざ直に1ピックアップに相対するとやっぱり惚れ惚れしますね。ちょっと太め?なネック。

 いざ、試奏してみると、チャキッとしてはいるものの、のぶとい音がアンプから飛び出してきました。立ち上がりがいいと言いますか、小気味良い音です。もっとビザーリーな音を想像していたので予想外でした。でもやっぱり、ストラト、テレキャス、レス・ポール、SG、普遍的なギターの音色にはあんまり似ていなくて、そこにワクワクします。試奏では歪ませなかったのですが、後に動画等で見たところ、強く歪ませると、まとまりの良いザクザクとした音色になるっぽくて、バンド・サウンドでも広く多用できそうです。本家と違うところは、ピックアップがカートリッジ式ではないところだと思うのですが、その辺は本家の方もぜひ弾いてみたいですね。

 何せ見た目がピカイチに良いので、購入するか悩んだのですが、一旦その場を去りました。どんなギタリストが持っていても映える、めちゃくちゃかっこいいギターだなと思います。色んな人に持って欲しい。ただ本家もコピーも相当レアですよね……。後日ネットで見たら、わー売れている……。それはそうだ。もしかしたらこれを読んでくださっているどこかの誰かが購入されたのかも。めちゃくちゃかっこいい買い物!

 ライブで訪れた大阪では、ザ・変形ギターの、エクスプローラー・タイプのギターを試奏しました。80年代のフェルナンデス、Burny製で、エルボー・カットが特徴的なモデルです。元々エクスプローラーに興味があったので、ネットで見つけてその嬉しさと、物珍しいさにときめいて店舗まで駆けつけました。

 最近、バンド・セットのライブをスリー・ピース形態でしているのですが、ワイルドな、ハムバッカーのレンジ感の広いサウンドも欲しくなってきて、それにぴったりのギターでした。音が太く柔らかく、明瞭です。弦のタッチに対する反応がめちゃくちゃ良くて、レゲエっぽく短く刻むようなフレーズを弾きたくなります。リアで歪ませればハードロック感マシマシで、ついつい自分の引き出しに無いような見様見真似のハードロック・フレーズまで弾きたくなってしまいます。時を経たマホガニー単体のボディの鳴り感が気持ち良いです。ピックアップは、交換されており不明とのことでした。重量は3.3キロくらいで軽く、肩に優しいです。

Burny製エクスプローラー・タイプのギター

 このギターで曲を書いたら、またうんと雰囲気の違う曲が書けそうです。ぼわーんと夢が膨らみます。でも、色んなジャンルに適応しそう、ダンスっぽい音楽で刻んだりもしてみたいです。弾いていて本当に楽しいギターでした。見た目も言わずもがなかっこいい。買ってしまいそう! ギターとの素敵な出会い。それはいつも突然ですね!

著者プロフィール

崎山蒼志

さきやま・そうし。2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガー・ソングライター。2018年、15歳の時にネット番組で弾き語りを披露、一躍話題に。独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。

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