現行品として発売されているグレッチのギター10本を、ギタリストのDURANが試奏する本企画。最後に、すべてのモデルの試奏を終えたDURANへのインタビューをお届けしよう。
取材・文:奥田悠哉 撮影:小原啓樹
グレッチのイメージから離れたプレイも、
実は物凄くカッコ良く鳴るんです。
今回、新製品として発表されたプロフェッショナル・コレクションの3モデルはいかがでしたか?
個人的にはセルリアン・スモークのファルコンが凄く気に入りました。少し上品な音で、コード・プレイとかにもハマるような良い印象というか。このシリーズは、シビアな現場でも全然使えるモダン仕様になっていると思いますね。それとビンテージ・セレクト・コレクションのテネシアンのプリセット・スイッチも面白かったです。
ギターによってカントリー風であったり、カッティングだったりと、弾くフレーズが異なっていましたよね。
やっぱりそういう風に作られているのかなっていう印象があります。それに、どのギターにもちゃんとグレッチ本来の良さが出ていますよね。
伝統あるグレッチ・サウンドとモダン仕様のバランスも魅力ですね。こうして10本を並べてみると、カラーリングも本当に豊かです。
見た目も大事ですし、そこに憧れる部分がありますよね。ただやっぱりグレッチは弦交換や調整だったりが大変で、どこか難しいっていう印象も同じくらいにあると思うんですよ。でも最近こうして出ているものは凄くモダンな作りになってきていて、ストリング・スルー・ビグスビーやアジャスト・マティック・ブリッジが採用されたりと、かなり使いやすくなってるから入りやすいと思うんです。素晴らしいです。
DURANさんもダブル・カッタウェイのホワイト・ファルコンを所有していますが、グレッチの魅力はどんなところにありますか?
グレッチだとロカビリーやブルーグラス、ブルースだったりをイメージする人が多いと思います。でもそこから抜けたプレイも、実は物凄くカッコ良く出るんです。ジャック・ホワイトとかもそうじゃないですか。使い方の幅がめちゃくちゃ広くて、かなり面白い楽器だと思いますね。
なるほど。
それとやっぱりオモチャじゃないというか、楽器としてちゃんと鳴っていることが重要で、その点でもグレッチは本物ですよね。
本日は合計10本の現行品を試奏しましたが、中でも一番印象に残ったモデルはありますか?
やっぱりカスタムショップは衝撃的でしたね。本当に使い込まれたギターみたいで、楽器に弾かされている感覚がありました。弾き心地だけじゃなくて、音もほかと比べると枯れ具合が再現されていて、アナログのサチュレーションがかかっているイメージがあるというか。このギターの音ありきで、どうやって演奏するかを考えさせられていましたね。
最後に試奏を通しての感想を教えて下さい。
チェンバード・ボディやfホールが空いていないものもありましたけど、やっぱりどれもグレッチ特有の音や弾き心地がするのが凄いなと思いました。それと、こんなに弾ける機会もなかなかないと思うので幸せでしたね。楽器店で散々弾いていると怒られてしまいますから(笑)。でも本当に、グレッチに憧れない人なんていないんじゃないですか。
DURAN
デュラン●アーシーなブルースや野性味溢れる骨太なドライブ・サウンドを奏でる、現代ロック・シーンの奇才ギタリスト。The ROOTLESS、Made in Asia、a flood of circleなど数々のバンドを経て、稲葉浩志や清春、スガ シカオ、藤井風などの様々なアーティストのサポートを行なう。ソロとしての最新作『Tokyo Blues』も配信中。