Neural DSP / Nano Cortex – アンプや歪みエフェクターの音をコンパクトに持ち運べる最新鋭のニューラル・キャプチャー・デバイス Neural DSP / Nano Cortex – アンプや歪みエフェクターの音をコンパクトに持ち運べる最新鋭のニューラル・キャプチャー・デバイス

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Neural DSP / Nano Cortex – アンプや歪みエフェクターの音をコンパクトに持ち運べる最新鋭のニューラル・キャプチャー・デバイス

Neural DSP(ニューラルDSP)からリリースされたNano Cortex(ナノ・コーテックス)は、同社が誇る最先端のニューラル・キャプチャー技術を小さな筐体に詰め込んだ注目のプロセッサーだ。本記事ではその基本的な機能や使い方を紹介し、後半ではギタリスト関口シンゴによるレビューをお届けしよう。

取材・文=編集部 写真=八島崇
Presented by キョーリツコーポレーション

Neural DSP / Nano Cortex

ニューラル・ネットワークを用いた
超高精度のキャプチャー機能

 プラグイン開発を目的に創業し、その過程で生まれた技術を楽器用プロセッサーに詰め込んで展開するフィンランドのメーカー、Neural DSP。

 2020年に発表され、今やスタンダードな存在になった同社のQuad Cortexは、多種のエフェクトやアンプ・モデルを備えたオールインワン・プロセッサーだったが、特に好評を博したのが機械学習を用いてアンプや歪みペダルの特性をコピーする、“ニューラル・キャプチャー機能”だ。

 機械学習の中でも、人間の神経構造を模した“ニューラル・ネットワーク”と呼ばれる多層的な学習法を取ることで、聴覚だけでは解析不可能な信号の微細な変化をパターン化し、再現するという。

 強力なDSPパワーにより超低レイテンシーも実現しており、プロを中心にアンプを使わずQuad Cortexだけでライブや制作をこなすギタリストも目立ってきた。

 そのニューラル・キャプチャー機能を核に、よりシンプルでコンパクトな設計で登場した新製品がNano Cortexだ。エフェクトは最小限の内容ながら、数本のケーブルやマイクがあれば、お気に入りのアンプや歪みペダルを高精度にキャプチャーでき、小型ペダルながら拡張性に優れている。

ニューラル・キャプチャーを軸にした
環境に左右されない音作りを実現

 本機のシグナル・パスは、ノイズ・ゲート→ピッチ・シフター→ニューラル・キャプチャー→IR→コーラス→ディレイ→リバーブという順番で固定されている。

 このうち、ユーザーが自由に入れ替えられるのはニューラル・キャプチャーとIRの部分なので、音作りの肝はニューラル・キャプチャーを何に使うかという点だ。

 ニューラル・キャプチャーにはアンプまたは歪みエフェクター、あるいはアンプと歪みエフェクターの組み合わせを取り込むことができ、キャプチャーしたい実機に加え、Nano Cortexとマイク、数本のケーブルがあれば数分で作業は完結。

 また、自分でキャプチャー作業をしなくとも、スマートフォン用アプリの“Cortex Cloud”には各国のユーザーが作成したニューラル・キャプチャーが投稿されており、気に入ったものをダウンロードすることができる。

 IRに関してもぬかりはなく、プリ・インストールされている10種のIRは5種類のマイクと6つのマイク・ポジションで音作りが可能だ。もちろん、サードパーティ製IRにも対応している。

 ライブで使うならば、ニューラル・キャプチャーのスロットに好きなアンプや歪みの音を入れておき、ラインで出す場合はIRを使ってキャビネットの空気感を付与し、実機のアンプに出すならIRは使わずに出力することで、環境を問わず狙った音を聴かせることができるだろう。

 エフェクト類はQuad Cortexでも好評だったものを厳選して搭載しており、Cortex Cloudから設定を細かく追い込めるため実用には十分。

 必要に応じて外部のエフェクターと組み合わせることもできるので、単体利用でもペダルボード内の利用でも活躍してくれるはずだ。

本体パネル
シンプルにまとめられた本体パネル。アプリで詳細な設定をし、本体ではEQやエフェクト量、ボリューム、ゲインなどの現場に即した調整を行なうという設計になっている。フット・スイッチには4つのプリセットをアサインできる。
本体背面
本体背面。基本的な入出力に加え、バスパワー対応のUSB-C端子があり、オーディオ・インターフェースとしても利用できる。メイン・アウトはLR共にTRS出力なので、PAへの直送りにも対応。R出力はキャプチャー時のテスト・シグナル出力を兼ねている。自宅で練習や音作りをする際には独立したヘッドフォン・レベルが便利だ。
右側面
右側面にはキャプチャー対象を通過したテスト・シグナルを受けるためのコンボ・ジャックを装備。ダイナミック・マイクやライン信号なら直接受けられるため、外部機器を必要としないのが競合製品と比べて圧倒的に優位な点だ。
スマートフォン用アプリ
スマートフォン用アプリ、Cortex CloudとBluetooth経由で連動させることにより、エフェクトの細かい設定のほか、ニューラル・キャプチャーやIRの入れ替えなどを行なうことができる。プリセットは本体に25個、Cortex Cloudに256個保存しておける。世界中のユーザーがアップロードしたニューラル・キャプチャーもダウンロード可能だ。

シチュエーション別
Nano Cortex活用法

 編集部がお薦めする基本的な使い方をシチュエーション別に紹介しよう。

1:Nano Cortexだけで手軽にライブ

 2つのフット・スイッチで4つのプリセットを切り替えられるので、お気に入りのアンプやペダル、あるいは歪みペダル+アンプを組み合わせた音をNano Cortexにいくつか入れておけば、1台でライブを行なうことも十分可能だ。

2:こだわりのペダルと一緒にボードを組む

 Nano Cortexをアンプ・シミュレーター、またはメインの歪みとして利用し、飛び道具系のエフェクターなどと並べてボードを組むことも有効。

 アナログ・ペダルとの組み合わせはもちろん、MIDI信号の送受信もできるので、昨今の高機能デジタル・ペダルとの相性も抜群だ。ペダルボードの高音質化&小型化にも一役買ってくれるだろう。

3:Nano CortexとPCで高品質ギター録音

 Nano CortexのUSB-C端子からはデジタルでのステレオ出力も可能。Nano Cortexが1台あれば、ニューラル・キャプチャーを使ったリアルなギター・サウンドを高音質で録音することができるのだ。

 その場合、USB-C端子からのバスパワーで動作するのも利便性が高い。PCデスクの上に置けるサイズ感も嬉しい。

4:古い機材をキャプチャーしてよみがえらせる

 古いアンプや往年のラック機材など、持ち運びに不安があったり、電源が特殊でセッティングしづらかったりする機器をNano Cortexにキャプチャーしてしまえば、いつでもその音をよみがえらせることができる。

 競合製品と比較して、キャプチャーが本機単体で手軽にできるのも大きな特徴だ。

 自分のお気に入り機材をキャプチャーすることはもちろん、Cortex Cloudには、ビンテージ系機材のニューラル・キャプチャーも膨大な数がアップロードされている。

Neural DSP
Nano Cortex

【スペック】
●コントロール:ゲイン、レベル、ベース、ミドル、トレブル、アマウント、ロータリー・フットスイッチ×2、グランドリフト、ヘッドフォン・レベル、ブースト(キャプチャー・インプット用)
●入出力端子:インプット、TRSアウトプット×2、EXP/MIDI、USB-C、キャプチャー・インプット
●電源:DC9〜12V600mA(センターマイナス)またはUSB-C(1.5A以上)
●外形寸法144(W)×103(D)×62(H)mm
●重量:620g

【価格】
オープン・プライス(市場実勢価格:99,800円/税込)

【問い合わせ】
キョーリツコーポレーション TEL:052-847-5300 https://kyoritsu-group.com

Nano Cortex(ナノコーテックス)|キョーリツコーポレーション特設サイト
https://kcmusic.jp/nano-cortex/

関口シンゴが試すNano Cortexの実力

実機のアンプのほうが良いという考え方は
いよいよ古くなってきたかも。

関口シンゴ

ギタリスト/プロデューサーの関口シンゴによるNano Cortexの試奏レポートをお届けしよう。今回は特にギタリスト目線での感想を中心に聞いてみた。

モニターからの音でも
実機のアンプに遜色ない弾き心地。

先行して発売されているQuad Cortexを弾いたことはありましたか?

いえ。Quad Cortexを使っているミュージシャンが多かったので、音の良さは知っていましたが、自分では弾いたことがなかったんです。2024年に来日したジャズ・ギタリストのウォルフガング・ムースピールもQuad Cortexを使っていて、アンプなしでとても良い音だったので、ちょうど気になっていたところだったんですよ。

関口さんは仕事柄、アンプ・シミュレーターを使う機会が多いのではないでしょうか?

そうですね。アンプ・シミュレーターは古くから単体機やプラグインなど色々なものを使ってきましたが、音質はかなり進歩しましたよね。

録音された音としては、実機のアンプを録ったのか、あるいはシミュレーターを使ったのかは、区別がつかないのではないかと思っています。それでも実機のアンプが好きなのは、やっぱり弾き心地の違いなんですよね。

どのような点に違いを感じますか?

シミュレーターだと、微妙なニュアンスの再現や、出したい強弱が出せないと感じることはありましたね。録音された音の質は悪くないので、技術的にはレイテンシーやダイナミック・レンジなどの問題なのかもしれません。

ではさっそく、Nano Cortexのプリセットをいくつか弾いていただきましょう。

はい……今、Nano Cortexからスタジオのミキサーに送って、モニター・スピーカーから聴いていますが、これは弾いていて本当に気持ちが良い! ライン出しの場合、どうしてもペタッとした平面的な音になってしまったり、右手の強弱についてきてくれなかったりということを感じるんですが、Nano Cortexは弾き心地が素晴らしいですね。実機のアンプを弾いているのと違いがないくらいに感じます。

クランチくらいの音色って、デジタルで再現するのがなかなか難しい領域だと思いますが、強く弾いたらちょっと歪んで、弱く弾くとクリーンになる感じなど、アナログなニュアンスがしっかり出てきますね。

エフェクトの音質はどうでしょうか?

ピッチ・シフターの追従の速さには驚きました。プラグインでかけるよりもタイミングが合っていて、これはほかで体験したことのないレベル!

ディレイ、リバーブに関して種類は選べませんが、ステレオでもモノラルでも広がり感があって、何ら不足ないですね。コーラスもタイプは2種のみですが、的確なポイントを突いたものが入っています。これらを使ったプリセットの音も良い。僕は演奏動画をよくSNSにアップするんですが、もうプリセットのまま録画してアップしたいくらいです(笑)。 

関口シンゴ

アンプをキャプチャー

では、Nano Cortexを使ったアンプのキャプチャーを実際にやってみましょう。関口さんはRoland JC-120がお好きだということで、実機を用意しました。

JC-120は環境によってコンディションのブレが少ないところが良くて、ライブでは基本的にJCばかりなんです。これにしか出せないクリーンもありますし、好きなアンプですよ。

キャプチャーの手順としては、Nano Cortexからのテスト・シグナルをJC-120に送り、スピーカーから出力されたシグナルをマイク(ここではShure SM57)で拾ってNano Cortexに戻します。

Nano Cortexはマイクを直接つなげられるんですね。

そうです。ダイナミック・マイクを使うなら、Nano Cortexだけでキャプチャー作業ができます。テスト・シグナルが2分ほど流れ、そのあと3分ほどの解析が終わると準備完了です。では弾いていただきましょう。

あ、これはJCの音だ! これがモニターから出ていると思うと、ちょっとビックリしますね(笑)。JC特有のピチピチしたアタック感までしっかり再現されています。

マイク録りをしているので、余分なローがカットされている印象ですね。EQでその分のローを足すと、さらに似てきました。JCのモデリングは他機種でも弾いてきたんですけど、ここまで迫ったものはなかった。マイクを変えたら、その分の特性も反映されるんですよね?

はい。マイクも含め、その時のセッティング全体がキャプチャーされます。

SM57以外のマイクも色々試してみたいな〜。マイキングのパターンでも、いくつもキャプチャーが録れますね。

関口シンゴ

歪みペダルをキャプチャー

歪みペダルも手軽にキャプチャーできます。手順は先ほどと同じですが、テスト・トーンはマイクで録るのではなく、ラインでNano Cortexに戻します。

音が出ないので、さらに簡単にキャプチャーできますね。今日はいつも使っているXoticのBB Pulsを持ってきました。

ではキャプチャーしていきましょう。これも5分ほどで完了しましたので、JC-120から出してみましょうか。

おお、これは似てますね〜。音色が似るというのはわかるんですが、弾き心地がここまで近づくというのは驚きですね。キャプチャーされた音のほうがクリアというか解像度が上がって聴こえる感じもしますが、Nano Cortexの音質に少しだけ寄ったのかもしれません。それもトレブルを少し絞ったりしたら、実機かNano Cortexか、弾いている本人でも全然わからない(笑)。しかもここに3バンドEQを効かせることもできて、便利ですね。

関口シンゴ

歪みペダルとアンプの組み合わせをキャプチャー

では最後に、JC-120とBB Plusをまとめてキャプチャーしてみましょう。

僕はほかにちょっとした飛び道具系のエフェクターしか使っていないし、このセットがキャプチャーできればNano Cortexだけで済んでしまうことが多そう。

アンプをキャプチャーしたのとほぼ同じ手順で完了です。さて、音のほうはいかがでしょうか?

これは凄くナチュラルですね! 本当に実機のJC-120はオフになっていますよね(笑)? いつも聴いている音、そのものです。限りなくアンプに近い生々しさがあって、弾き方に対する追従性が本当に自然。

モニター・スピーカーから聴いているという感じは全然しないし、もしモニターを床に置いたら、いつものセットとなんら変わらない弾き心地ですね。

僕はアンプのない環境で演奏することもあるんですが、その場合はアンプの弾き心地は諦めていました。だけど、この使い方ならどこに行っても楽しく弾けますね!

Total Impression

音が良いだけではなく、
ギタリストに好まれる弾き心地がある。

関口シンゴ

今日の試奏の感想は?

そもそも機材としての音質が良い、というのが第一印象です。キャプチャーの技術も素晴らしいんだけど、それをアウトプットできる設計の良さがあるからこそ活きるのでしょう。デジタル・デバイスの場合、モノによっては通しただけで音が細いと感じることがあって、そうするといくら録音された音が良くても、ギタリストに好かれる機材にはならないですよね。Nano Cortexはギタリストに好まれる弾き心地がありました。

弾き心地については取材中に何度かコメントしていましたね。

僕も実は、いくら技術が進歩したと言っても、現状ではまだ実機のアンプのほうが良いだろうと思っていたんです。だけど、いよいよその考え方も古くなってきたかもしれません。若いギタリストはさらに抵抗がないでしょうから、バンドの中でのこういった機材の使われ方も変わっていきそうですね。単にアンプの代わりというより、もっと進んだ使い方を提案する人が出てきそう。もちろん、実機のアンプが好きという先輩世代のギタリストにもお薦めできますよ。

エフェクトの印象はいかがですか?

ディレイやリバーブの広がりも素晴らしい音で、この空間系とニューラル・キャプチャーの組み合わせならば、単にギター・アンプにマイクを向けただけでは作れない、キレイな空間の広がりを作れます。そういう音色で、実機の弾き心地があるというのは新しい可能性を感じますね。

Nano Cortex(ナノコーテックス)|キョーリツコーポレーション特設サイト
https://kcmusic.jp/nano-cortex/

関口シンゴ プロフィール

せきぐち・しんご●1982年生まれ、ギタリスト/コンポーザー/プロデューサー。ジャズやソウル、ロック、ポップスなど様々なジャンルをバックグラウンドにしたメロウで心地の良いプレイが特徴で、そのスタイルを“Chill Guitar”と銘打って自身の公式YouTubeアカウントでも演奏動画を展開。おもな活動は所属バンドであるOvallのほか、あいみょん、さかいゆう、坂本美雨など様々なアーティストの作品やライブ・サポートにまで及ぶ。最新ソロ作は2ndアルバム『tender』。

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