ピーター・ゴールウェイが佐橋佳幸とのジャパン・ツアーで使用したペダルボードを本人が解説! ピーター・ゴールウェイが佐橋佳幸とのジャパン・ツアーで使用したペダルボードを本人が解説!

ピーター・ゴールウェイが佐橋佳幸とのジャパン・ツアーで使用したペダルボードを本人が解説!

元ザ・フィフス・アヴェニュー・バンドのピーター・ゴールウェイと佐橋佳幸がタッグを組み、2025年4月に日本の豪華ミュージシャンを多数ゲストに迎えたアルバム『EN』をリリースした。6月には大阪、横浜、東京で本作に伴うジャパン・ツアーを敢行。本記事では、ピーター・ゴールウェイがライブで使用したペダルボードを本人の解説と共にご紹介しよう。

文=小林弘昂 通訳=トミー・モーリー 機材撮影=元気良一

Peter Gallway’s Pedalboard

ペダルボード

日本で調達したBOSSだけのボード

【Pedal List】
①BOSS / TU-3W(チューナー)
②BOSS / BP-1W(ブースター/プリアンプ)
③BOSS / TR-2(トレモロ)
④BOSS / DD-3T(ディレイ)
⑤BOSS / RV-6(リバーブ)

今回のジャパン・ツアーで使用されたピーター・ゴールウェイのボードは、BOSSのペダルのみで統一されていた。佐橋佳幸にBOSSの担当者を紹介してもらい、すべて日本で用意してもらったとのこと。

ギターからの接続順は①〜⑤の番号どおりで、⑤RV-6からフェンダー’65 Deluxe Reverbにインプットされる。アンプはクリーン・セッティングで、楽曲により②BP-1Wをオンにして軽いサチュレーションを作っていた。モード・スイッチはNATURALを選択。「Kyoto」、「English Football At The Prince Hotel」、「Land Of Music」、「Good Lady Of Toronto」の4曲は②BP-1Wのみのサウンドで演奏したとのこと。

④DD-3Tはディレイ・タイム・モードを200msに設定し、FEEDBACKノブをほぼゼロ、TIMEノブとE.LEVELノブもかなり控えめにしたスラップ・バック・ディレイとして使用。ピーターは“ロックっぽい曲で踏んで少し太い音にする傾向にある”と語っており、「On The Bandstand」と「Running, Walking, Kicking The Ball」では②BP-1Wと組み合わせていた。

“アンプのスプリング・リバーブが苦手”という理由から、リバーブは⑤RV-6のHALLモードで代用。ほとんどの楽曲で薄くかけているとのこと。

「Save The Country」、「Coltrane’s Blue World」、「Tokyo To Me」、「Shinjuku Neon」の4曲では②BP-1Wと⑤DD-3Tは使わず、③TR-2と⑤RV-6のみを使用していた。

Interview

サウンドで実験をするのが好きで
色んな人たちからインスピレーションを受けている。

今回のライブで使うアンプは?

フェンダーの’65 Deluxe Reverbだね。家ではPrinceton Reverbを使っているけど。

Fender / '65 Deluxe Reverb
撮影:小林弘昂

なぜリイシューの’65 Deluxe Reverbをリクエストしたんですか?

Billboard Live TOKYOにあったからだよ。最初は佐橋が持っている60年代のDeluxe Reverbを使っていたんだけど、調子が悪くてね。それでここにあったリイシューのDeluxe Reverbを使うことにした。僕はDeluxe Reverbが好きなんだ。

アンプのリバーブとトレモロは使わないんですか?

うん。今回は佐橋がBOSSの担当者を紹介してくれて、BOSSのペダルを使っている。アメリカにあるペダルボードにはEarthQuaker Devicesとかも入っていてね。トレモロ、ディストーション、デジタル・リバーブ……あとはタップ・テンポ付きのデジタル・ディレイなどを使っているんだ。でも今回はBOSSで統一しているよ。

BP-1W(②)が置かれているのが気になりました。

この白いペダルのことをまったく知らなかったんだけど、トライしてみたら気に入ったよ。サチュレーションを作り出してくれるペダルで、ビッグな感じの曲に凄く合うんだ。

ロックンロールな曲用でしょうか?

うん。ロックンロールのサウンドに使っている。でも、そこまでヘヴィな感じにはしていないよ。気に入ったからアメリカに帰ったら1台手に入れるつもりなんだ。

ほかのペダルもどう使うのか教えてもらえますか?

よし、教えてあげるからセットリストを取ってくるね。……例えば「On The Bandstand」では、BP-1WとDD-3T(④)のスラップバック・ディレイを少し使っている。今回のライブではロング・ディレイを使っていなくて、ディレイは全部タイトで短めにしているんだ。全体的にロックっぽい曲ではDD-3Tのスラップバック・ディレイを使って少し太めのサウンドにする傾向があるね。

あとはRV-6(⑤)のHALLリバーブをほとんどの曲で少しだけかけているよ。リバーブも長めじゃなくて控えめだね。スプリング・リバーブがあんまり好きじゃないからアンプのリバーブは使ってないんだ。

そういう理由だったんですね。

「Running, Walking, Kicking The Ball」でも同じセットアップを使っているよ。「Kyoto」、「English Football At The Prince Hotel」、「Land Of Music」ではBP-1Wしか踏んでいなくて、ドライなサウンドだね。

「Save The Country」、「Coltrane’s Blue World」、「Tokyo To Me」、「Shinjuku Neon」ではBP-1WとDD-3Tを使わずに、少しだけTR-2のトレモロとRV-6のリバーブをかけている。「Good Lady Of Toronto」ではBP-1Wを使うかもしれないけど、DD-3Tは使わないかな。

それと「French Is Spoken Far From Here」ではギターを弾いていなくて、ラストの「Sunday Basketball」でもギターを弾かないことにした。この曲はクリーンなトレモロが似合っているから、最初はTR-2とRV-6だけを使うつもりだったんだよ。

アメリカでは様々なペダルを使っていることに驚きました。どんなディストーション・ペダルを気に入っているんですか?

えっと……、名前を忘れちゃったな。昔からあるメーカーで、リバーブで有名なところなんだけど。

Electro-Harmonixでしょうか?

それだ! Electro Harmonixのディストーション・ペダルで、バンドのリード・ギタリストがトライさせてくれたんだよ。

となると、ファズですがBig Muffですかね?

いや、Big Muffじゃないと思う。70年代か80年代のもので、音に少し太さを加える程度にしか使っていないんだ。名前も覚えてないけどサウンドが好きでね。

僕はサウンドで実験をするのが好きなんだ。そういった意味では色んな人たちからインスピレーションを受けているよ。例えばジュリアン・ベイカーはとてもクールだと思う。彼女はルーパー、ビッグなディレイやリバーブを使っているよね。だから僕もそういうものをトライしていて、普段のライブでは2曲くらいでEarthQuaker DevicesのAvalanche Runを使って上下のハーモニクスを加えたりしている。1曲だけではリバース・ディレイのペダルも使っているんだ。あとはイヴェット・ヤングも好きだね。彼女は面白いことをやっている。


Photo:Peter Gallway

【Pedal List】
①Sonic Research / ST-200(チューナー)
②BOSS / BP-1W(ブースター/プリアンプ)
③EarthQuaker Devices / Astral Destiny(リバーブ)
④BOSS / PN-2(トレモロ)
⑤Walrus Audio / ARP-87(ディレイ)
⑥BOSS / CE-5(コーラス)
⑦Walrus Audio / Fathom(リバーブ)
⑧Electro-Harmonix / East River Drive(オーバードライブ)

こちらはピーターが帰国後に送ってくれた、アメリカのペダルボードの写真。②BP-1WはBillboard Live TOKYOでBOSSの担当者からプレゼントされたという。

インタビューで話していたEarthQuaker DevicesのAvalanche Runははずされているが、現在は③Astral Destinyがその役割を担っているのだろう。

Peter Gallway & 佐橋佳幸
“EN” Japan Tour 2025 with 屋敷豪太, 小原礼, Dr.kyOn
2025年6月26日(木)@Billboard Live TOKYO

【Setlist】
01. On The Bandstand
02. Running, Walking, Kicking The Ball
03. Save The Country
04. French Is Spoken Far From Here
05. Coltrane’s Blue World(with 山本拓夫)
06. Tokyo To Me(with 山本拓夫、松たか子)
07. Shinjuku Neon(with 山本拓夫、大貫妙子、松たか子)
08. Kyoto(with 山本拓夫、大貫妙子、松たか子)
09. English Football At The Prince Hotel(with 山本拓夫、大貫妙子、松たか子)
10. Land Of Music

-Encore-
11. Good Lady Of Toronto
12. Sunday Basketball(with 山本拓夫、大貫妙子、松たか子)