リー・キアナン(アイドルズ)が語る、自身に欠かせないエフェクター リー・キアナン(アイドルズ)が語る、自身に欠かせないエフェクター

リー・キアナン(アイドルズ)が語る、自身に欠かせないエフェクター

アイドルズのギタリスト、リー・キアナン。2026年1月に来日していた彼を直撃し、愛用するエフェクターについて話を聞いた。※機材写真と解説は2025年1月の来日公演のものです。

取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モリー 機材撮影=星野俊

Lee Kiernan’s Pedalboards

ペダルボード(上段)
ペダルボード(下段)

多数のペダルの組み合わせをスイッチャーで一括管理

【Pedal List】
①Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
②Xotic / EP Booster(ブースター)
③BOSS / PS-6(ピッチ・シフター)
④The GigRig / G3(プログラマブル・スイッチャー)
⑤Death By Audio / INTERSTELLAR OVERDRIVE DELUXE(オーバードライブ)
⑥EarthQuaker Devices / Tone Job(EQ/ブースター)
⑦EarthQuaker Devices / Gary(ファズ/オーバードライブ)
⑧INTENSIVE CARE AUDIO / Vena Cava Filter(オート・フィルター/リング・モジュレーター/ディストーション)
⑨The GigRig / Remotest Loopy 2(2chスイッチャー)
⑩drolo / Stamme[n] V4(ルーパー/リバーブ)
⑪Montreal Assembly / Count to 5(ディレイ/ルーパー)
⑫The GigRig / Remotest Loopy 2(2chスイッチャー)
⑬Moog / MF Chorus(コーラス)
⑭Warm Audio / RingerBringer(リング・モジュレーター)
⑮Eventide / H9(マルチ・エフェクター)
⑯DigiTech / Whammy 5(ピッチ・シフター)
⑰Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
⑱Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
⑲Death By Audio / REVERBERATION MACHINE(リバーブ)
⑳Death By Audio / MICRO DREAM(ディレイ)
㉑BOSS / DM-2W(ディレイ)
㉒The GigRig / Remote Loopy 2(2chスイッチャー)
㉓EarthQuaker Devices / Data Corrupter(ハーモナイジングPLLシンセサイザー)
㉔Red Panda / Raster V2(ディレイ)
㉕The GigRig / Remote Loopy 2(2chスイッチャー)
㉖EarthQuaker Devices / Organizer(オルガン・エミュレーター)
㉗drolo / Twin Peaks(トレモロ)
㉘BOSS / TU-3S(チューナー)
㉙Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
㉚Fretronics Engineering / Custom Expression Pedal
㉛Mission Engineering / Expressionator(マルチ・エクスプレッション・コントローラー)
㉜Mission Engineering / SP-25-Pro-Aero(エクスプレッション・ペダル)
㉝Mission Engineering / SP-25-Pro-Aero(エクスプレッション・ペダル)

重量が32kgもあるというリーのボード。左側のボードは上下2段構造となっており、上部に置かれているペダルはライブ中にノブをいじるもので、いじらないものは下段にセットされている。⑥Tone Job、⑩Stamme[n] V4、⑲REVERBERATION MACHINE、⑳MICRO DREAM、㉖Organizerなどは頻繁にノブを変えるそうだ。

ギターからの接続順だが、まずは①ジャンクション・ボックスに入り、②EP Boosterと③PS-6を経由して④G3にインプット。

②EP Boosterは常時オンで、基本のサウンドを太くしている。③PS-6はペダルを踏んでいる間だけエフェクトがかかるS-BENDモードに設定し、Whammyのような使い方をしているという。

④G3の各ループに接続されているペダルは下記のとおり。

・Loop 1=⑤INTERSTELLAR OVERDRIVE DELUXE
・Loop 2=⑥Tone Job
・Loop 3=⑦Gary
・Loop 4=⑧Vena Cava Filter
・Loop 5=⑨Remotest Loopy 2(Loop 1=⑩Stamme[n] V4/Loop 2=⑪Count to 5)
・Loop 6=⑫Remotest Loopy 2(Loop 1=⑬MF Chorus/Loop 2=⑭RingerBringer)
・Loop 7=⑮H9
・Loop 8=⑯Whammy 5(⑰⑱ジャンクション・ボックスを経由)
・Loop 9=⑲REVERBERATION MACHINE
・Loop 10=⑳MICRO DREAM
・Loop 11=㉑DM-2W
・Loop 12=㉒Remote Loopy 2(Loop 1=㉓Data Corrupter/Loop 2=㉔Raster V2) → ㉕Remote Loopy 2(Loop 1=㉖Organizer/Loop 2=㉗Twin Peaks)

・Tuner Out=㉘TU-3S

マーク・ボーウェン(g)同様に④G3で楽曲ごとにバンクを作っており、④G3の手前1列目の左側のフット・スイッチから、各楽曲のイントロ、ヴァース、ブリッジ、コーラス、アウトロというプリセットになっている。

④G3には2つのアウトがあり、ここから3台のアンプに信号が分岐される。

アンプの裏の置かれたLehle / Dual SGoS(左)、Electro-Harmonix / Hum Debugger(中央)、Ebtech / HE-2(右)。
アンプの裏の置かれたLehle / Dual SGoS(左)、Electro-Harmonix / Hum Debugger(中央)、Ebtech / HE-2(右)。
BOSS / NS-1X
BOSS / NS-1X

アウトの1つは①ジャンクション・ボックスに戻って、アンプの裏に置かれたEbtech / HE-2(グラウンド・ノイズ・リダクション)のch.2とBOSS / NS-1X(ノイズ・サプレッサー)を通り、マーシャルの1959SLPにインプット。1959SLPのサウンドは常に出力されている。

もう1つのアウトは、同じく①ジャンクション・ボックスへ戻り、アンプの裏に置かれたLehle / Dual SGoS(ABYスイッチャー)にインプットされる。Dual SGoSで再びアウトが2つに分かれ、1つはHE-2のch.1を通ってフェンダーの’65 Twin Reverbへ。もう1つはElectro-Harmonix / Hum Debugger(ハム・エリミネーター)を通り、マーシャルの1987Xに接続されている。

Dual SGoSと③G4はMIDIで接続されており、楽曲によって’65 Twin Reverbと1987Xのどちらを鳴らすかを切り替えている。

メイン・ボード

⑥Tone Jobもオンにしていることが多く、各ライブ会場による音の鳴りや響きを本機で調整しているとのこと。

⑦Garyはリーのシグネチャー・ペダル。右側のchがファズで、左側のchがオーバードライブという仕様。もともとリーはEQDのGray Channelという2chオーバードライブを愛用していたのだが、いつも片方しか使用しておらず、コントロール部分をシンプルにしたバージョンの製作をEQDのジェイミー・スティルマンに依頼。そこにリーが所有していたDevi Ever製ファズのサウンドを再現したチャンネルを追加したのがGaryである。

⑦Garyは楽曲のコーラス部分でオンにする。例えば「Never Fight A Man With A Perm」や「I’m Scum」では⑥Tone Jobと同時に踏んでいるとのこと。また、「Dancer」のコーラス部分では⑲REVERBERATION MACHINEと㉑DM-2Wと組み合わせて浮遊感あるサウンドを生み出しており、コーラス・パートのあとは⑤INTERSTELLAR OVERDRIVE DELUXE、⑥Tone Job、⑦Gary、㉗Twin Peaksの4台でホワイト・アウトのようなサウンドを作っているという。

3台のジャンクション・ボックス

⑧Vena Cava Filterは、リーが“かなりクレイジー”と語るペダル。フィルターやリング・モジュレーターのようなサウンドも出せるほか、ハードな歪みを加えることもできる。

「1049 Gotho」では⑬MF Chorusと⑳MICRO DREAMを組み合わせているほか、リーがベースを弾く「POP POP POP」の前半では⑬MF Chorusと⑲REVERBERATION MACHINEの組み合わせで独特のサウンドを鳴らしている。

⑭RingerBringerはMoogerfoogerのMF-102と入れ替えたもので、ローからハイまでスウィープするところが気に入っていると語る。

ペダルボード

㉖OrganizerはEQのような使い方をしているという。

㉗Twin Peaksはリーが最も気に入っているトレモロで、使用頻度も高く「Dancer」や「Roy」でオンに。

2枚目のペダルボード

右側のボードにはエクスプレッション・ペダルが3台(㉚㉜㉝)置かれており、それぞれ左のボード内のペダルと接続。⑰㉙ジャンクション・ボックスを使用して配線をまとめている。

㉚エクスプレッション・ペダルは、ピアノのダンパー・ペダルを改造したもの。㉛Expressionatorを経由して㉗Twin Peaksとつながれており、「Roy」でトレモロのスピードをコントロールする。

㉜SP-25-Pro-Aeroは⑪Count to 5とつながれており、「Jungle」で使用。

㉝SP-25-Pro-Aeroは⑭RingerBringerのFREQUENCYをコントロールするためのもので、「Car Crash」で使用。

The GigRigのスイッチャーでペダルを制御

マーク同様、各ペダルへの電源供給はThe GigRigのGenerator(パワー・サプライ)をもとに、Distributor(電源分配機)やIsolator(電源分配機)などで複数台のペダルを駆動させている。

Interview

ペダルは進化していて、良くなったり悪くなったり、
違うものになったりするんだ。

もしエフェクター3台でアイドルズのライブをするとしたら何を選びますか?

最近そういった絞り込みをしたことがあって、Gary(⑦)は絶対に必要だと思う(笑)。これがないとライブは無理だろう。あとはREVERBERATION MACHINE(⑲)とMICRO DREAM(⑳)だね。

もう1台だけ加えられるとしたら?

Tone Job(⑥)かな。なくてもなんとかなるけど、使うのが好きなんだ。

あなたにとって必要なペダルはどれでしょう?

ペダルボードの進化の中で、長年使っているのはやっぱりGaryだと思う。もともとはGray Channelだったんだけど、ずっとGaryを使い続けてきたし、これからも残り続けるんじゃないかな?

それ以外で必要なペダルを挙げるならREVERBERATION MACHINEだね。これはディストーションとリバーブのどちらとしてもキャラクターが強い。ダーティーで混沌としていて、クリーンなサウンドなんて出てきやしない。Death By Audioのどのペダルとも通じていて、ちょっと狂っているんだよね。

こういうペダルの面白いところって、時間とともに設定が変わってくること。“ここがいいね!”とノブの位置を決めておいても、ライブをやるたびに微調整することになる。ペダルは進化していて、良くなったり悪くなったり、違うものになったりするんだ。

同時に使用するペダルは最大で何台ですか?

曲によるね。8台くらい使う曲もあって、ノイズたっぷりのチェーンみたいになる。例えば「Car Crash」のアウトロでは、まさに8台くらい使っているよ。「Roy」のサビはモジュレーション、リバース・ディレイ、オーバードライブ、ファズを使ってシンセっぽいサウンドを作っていて、5〜6台くらい使っていると思う。

右側のボードに配置されているFretronics Engineering(㉚)について教えてください。Twin Peaks(㉗)をコントロールするためのものだそうですが、ペダルの上に置かれたシルバーのスイッチはなんですか?

これは5ボルト信号を操作するためのものなんだ。Twin PeaksにFretronics Engineeringのサステイン・ペダルをつなぐとタイムのパラメーターが自動的に“とある位置”に設定されて、サステイン・ペダルで設定値を可変することになる。つまり5ボルトのCV信号によってTwin Peaksに“サステイン・ペダルが接続された”と伝える仕組みになっていて、ペダル本体のパラメーターが無効化されるんだ。でも曲によってはその動作が邪魔になることがあってね。

そこでDroloのデヴィッドに相談してみたら、“簡単だよ。専用のフット・スイッチを作ればサステイン・ペダルを無効化できる”と教えてもらった。だからこれは単純にサステイン・ペダルの有無を切り替えるスイッチなんだ。それだけ。これまで必要だと思ってなかったけど、かなり便利になったよ。銀色のスイッチがオフならTwin Peaks本体のセッティングが機能するし、銀色のスイッチがオンならFretronics Engineeringのサステイン・ペダルが機能するっていうことだね。Droloは本当にすごくて、オレが今まで経験した中でも最高クラスのペダル・メーカーだよ。