リー・キアナン(アイドルズ)が語る、本国のライブで使用する3台のアンプとサウンドメイク リー・キアナン(アイドルズ)が語る、本国のライブで使用する3台のアンプとサウンドメイク

リー・キアナン(アイドルズ)が語る、本国のライブで使用する3台のアンプとサウンドメイク

アイドルズのギタリスト、リー・キアナン。2026年1月に来日していた彼を直撃し、アイドルズの本国ライブで使用している3台のアンプについて話を聞いた。※機材写真と解説は2025年1月の来日公演のものです。

取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モリー 機材撮影=星野俊

Lee Kiernan’s Amplifiers

・Marshall / 1959SLP & Marshall / 1936(Left)
・Marshall / 1987X & Marshall / 1936(Center)
・Fender / ’65 Twin Reverb(Right)

Marshall / 1959SLP & Marshall / 1936
、Marshall / 1987X & Marshall / 1936、Fender / '65 Twin Reverb

ゲイン・ステージによって2台のアンプを使い分け

リーが使用したアンプは3台。すべて日本でレンタルしたもので、本国イギリスのライブではHiwatt DR-88、Marshall 1987X、Peavey Deuceというラインナップを使用している。

左側に置かれた1959SLP(Hiwatt DR-88)は常に鳴らしており、残りの2台のアンプは楽曲によってどちらを使うのかを選択する。基本的に真ん中の1987Xは旧曲用で、右側の’65 Twin Reverb(Peavey Deauce)は『TANGK』の楽曲という使い分け。

3台すべてにHeil SoundのPR40というダイナミック・マイクが立てられていた。

Marshall / 1959SLP

1959SLPはLOWの2にインプットし、各ノブはPRESENCEが5過ぎ、BASSが8、MIDDLEが4過ぎ、TREBLEが4、LOUDNESS 2が4過ぎにセッティングされていた。かなりローを強調した音作りであることがわかる。

Marshall / 1987X

ボリュームとゲインのコントロールがしやすいという理由で、50Wの1987Xを使用。インプットはLOWの2で、各ノブはPRESENCEがMAX、BASSが4、MIDDLEが7、TREBLEが8手前、LOUDNESS 2が6の位置にセッティングされており、音量を上げていることがわかる。

Fender / '65 Twin Reverb

’65 Twin ReverbはVIBRATO chの2にインプット。BRIGHTスイッチをオンにし、各ノブはVOLUMEが4、TREBLEが3、MIDDLEが3過ぎ、BASSが3、REVERBが1過ぎに設定されていた。本機はロー寄りのマーシャル・アンプとは対象的に、明るめのサウンドだと思われる。

Others

Lehle / SGoS、Electro-Harmonix / Hum Debugger、Ebtech / HE-2
BOSS / NS-1X

リーの足下に置かれたボード内のThe GigRig / G3(プログラマブル・スイッチャー)からはアウトが2つ出ており、1つはアンプの裏に置かれたEbtech / HE-2(グラウンド・ノイズ・リダクション)のch.2とBOSS / NS-1X(ノイズ・サプレッサー)を通り、1959SLPにインプット。

G3のもう1つのアウトからは、アンプの裏に置かれたLehle / Dual SGoS(ABYスイッチャー)にインプットされる。Dual SGoSで再びアウトが2つに分かれ、1つはElectro-Harmonix / Hum Debugger(ハム・エリミネーター)を通り、1987Xへ。もう1つのアウトからは、HE-2のch.1を通って’65 Twin Reverbに接続される。

Dual SGoSはMIDIでコントロールされており、リーの足下にあるG3で1987Xと’65 Twin Reverbのオン/オフ操作が可能になっている。

基本的にNS-1XとHum Debuggerの2台はオフで使用。しかし、NS-1Xだけは「POP POP POP」でオンにする時もあるとのこと。

Rivera / RockCrusher Recording

アンプの裏には、マークと同じくRiveraのRockCrusher Recording(アッテネーター/ロード・ボックス)が2台置かれていたが、東京公演では未使用。会場が小さかった大阪公演では本機を2台のマーシャル・アンプにつなぎ、音量を落としていたという。

Interview

ロー用とハイ用のアンプを用意して、
2つのサウンドを混ぜるんだ。

昨年の来日公演ではマーシャル1959SLP、1978X、そしてフェンダー’65 Twin Reverbというアンプのラインナップでしたが、本国のライブではHiwatt DR-88、マーシャル1987X、Peavey Deuceを使用しているそうですね。

オレと(マーク)ボーウェンは常に2台のアンプから音を出している。できるだけたくさんのアンプを鳴らしたくて、夢中になったことがあったんだよね。例えば『Ultra Mono』(2020年)のレコーディングではスタジオにアンプの壁を作って、全部につないでサウンドを探していたよ。ステージ上でもアンプの壁を作ろうと思ったけど、位相の問題もあって上手くいかなかった。多くのライブ会場ではそこまで大音量が出せなくて、常に音量を下げてくれと言われていたしね(笑)。

そこで見つけたのが、2台のアンプを使う方法。ロー用とハイ用のアンプを用意して、2つのサウンドを混ぜるんだ。Hiwatt DR-88は常にオン。マーシャル1987XとPeavey Deuceは曲に応じて切り替える。Hiwattは中域がしっかりしていて音が豊かなんだ。マーシャルには独特のディストーションがあり、ペダルとの相性も最高だね。Garyをマーシャルに通すと、「I’m Scum」を始めとした多くの曲のロックなサビやコードが、かなりグレイトなサウンドになる。

最近の曲ではさらにローやハイがあってクリーンなサウンドが必要だから、マーシャルからPeavey Deuceに切り替える。Deuceは驚異的なアンプで、かなり気に入っているよ。ローを見事に処理していてベース・アンプみたいだし、ハイはTwin Reverbみたいにクリアなんだ。クリーンでも濁らないし、本当にグレイトだよ。

アンプは完全にクリーンなのでしょうか?

Hiwatt DR-88とPeavey Deuceは完全にクリーンだね。マーシャルはそのキャラクターどおり自然に少し歪んでいる。ロー・インプットだと特にそうなるよ。オレは全部のアンプをロー・ゲインで使うんだ。アンプ側のゲインはあまり上げていなくて、ペダルで歪みをいじるのが好きなんだよね。ペダルボードがゲームのプレイヤーなんだよ。ペダルにハマっていた頃はゲインの足し合わせに夢中で、4台くらいのオーバードライブを重ねたりして歪みを作っていた。でもある日、ボーウェンから“なんでアンプからヘアドライヤーみたいな音がしてるんだ? やり過ぎだろ”と言われてしまってね(笑)。