ニュージーランド・オークランド出身の4人組ロック・バンド、ザ・ベス(The Beths)が4thアルバム『Straight Line Was A Lie』を引っ提げ、2026年2月に東京(渋谷WWW X)と大阪(Yogibo META VALLEY)で初来日公演を行なった。本記事では、エリザベス・ストークス(vo,g)がライブで使用したペダルボードを本人のインタビューとともにご紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モリー 機材撮影=星野俊
Elizabeth Stokes’s Pedalboard

チューナーとライン・セレクターで
3系統の出力をコントロール
【Pedal List】
①Empress Effects / ParaEQ MKⅡ Deluxe(EQ)
②BOSS / LS-2(ライン・セレクター)
③TC Electronic / Polytune 3 Mini(チューナー)
④Empress Effects / Compressor MKⅡ(コンプレッサー)
⑤EarthQuaker Devices / Plumes(オーバードライブ)
⑥Handmade / RogerThat(オーバードライブ)
⑦ABL Pedals / The Szczur(ディストーション)
⑧ABL Pedals / The Toor(ファズ)
⑨Ibanez / LF7(ローファイ・オーバードライブ)
⑩Electro-Harmonix / Deep Freeze(サウンド・リテイナー)
⑪Ibanez / DE7(ディレイ)
⑫Benson Amps / Delay(ディレイ)
⑬Chase Bliss / Thermae(ディレイ/ピッチ・シフター)
⑭TC Electronic / Polytune 3 Mini(チューナー)
⑮Asheville Music Tools / ACV-1(コーラス)
⑯Countryman / Type 85(DI)
⑰CIOKS / DC4(パワー・サプライ)
⑱CIOKS / DC7(パワー・サプライ)
エレキ・ギター、アコースティック・ギターのマグネティック・ピックアップ、アコースティック・ギターのコンタクト・ピックアップという、合計3つの信号を管理するエリザベスの足下。
まずエレキ・ギターを使用する場合は②〜⑬の番号順でつながれ、アンプ(Roland JC-120)にインプット。
アコースティック・ギターのマグネティック・ピックアップからは①〜⑬の番号順で接続され、こちらもエレキと同じアンプから出力される。①ParaEQは常時オンで使用。②LS-2でエレキとアコースティック、どちらを鳴らすのかを選択している。
最後にアコースティック・ギターのコンタクト・ピックアップからは⑭Polutune 3 Miniにインプットし、⑮ACV-1と⑯Type 85を経由してPAに信号が送られる。⑮ACV-1は「Metal」でシマーのような効果を出すためにオンにしているとのこと。

つまりアコースティック・ギターを使用する際、基本はアンプとラインの2系統が鳴っているのだが、「Metal」や「Mosquitoes」や「Roundabout」の静かなパートでは③Polytune 3 Miniをオンにしてアンプからの音をミュートしていたのが確認できた。

基本の歪みサウンドは⑤Plumesと⑥RogerThatの2台を同時にオンにした状態。そこから楽曲やフレーズによって歪みペダルの足し引きを行なっており、例えばヘヴィな「I’m Not Getting Excited」では⑥RogerThatと⑦The Szczurの組み合わせ、「Silence Is Golden」では⑥RogerThatと⑧The Toorの組み合わせを使用している。少し激しめの「Knees Deep」のフレーズでは⑤Plumesに⑨LF7を重ねているとのこと。
⑥RogerThatはFulltone OCDのクローン・ペダルで、エリザベス曰く“アムステルダムで誰かからもらった”。
「Mother, Pray For Me」などでは歪みをオフにしたクリーン・サウンドを使用することも。クリーンではたまに④Compressor MKⅡでブーストすることもあるという。
⑫Benson Delayはライブでの曲間のつなぎや、「Mosquitoes」など『Straight Line Was A Lie』の楽曲でオンにすることが多いとのこと。「Mother, Pray For Me」や「Take」などで使用されるメインのディレイは⑬Thermaeで、本機はジョナサン・ピアースからの借り物。エリザベスはいくつかの設定をプリセットし、楽曲によって切り替えている。「Til My Heart Stops」では2台のディレイを同時に使用する箇所も。
Interview
ノブを細かく調整しなくて済むほうが
好きなんだよね。
ペダルボードの詳細を教えてください。
アコースティック・ギターのマグネティック・ピックアップからは、まずParaEQ(①)を通って、それからLS-2(②)に入る。LS-2にはエレキ・ギターの信号も入っていて、どちらを鳴らすのかをここで切り替えているんだ。そこからPolytune 3 Mini(③)、Compressor MKⅡ(④)と続いて、左側のボードの手前列にある歪みペダルに入っていく。歪みは左に進むにつれて強くなっていく配置だね。

歪みペダルの使い分けは?
普通の状態は、まずPlumes(⑤)をオンにして、そこにRogerThat(⑥)を足して少し厚みを出すという使い方をしているの。以前はHot Cakeを置いていたんだけど、ボードごと盗まれちゃって、新しく組み直してPlumesで代替している。PlumesはHot Cakeっぽいんだけど、EQDバージョンという感じかな。
RogerThat(⑥)はアムステルダムで誰かからもらったオランダのペダル。ミディアム・ゲインでOCDっぽいよ。続く2つのディストーション(⑦⑧)は、どっちもABL Pedalsというブランドのもの。ABLっていうのはスコットランド・グラスゴーのビルダーの名前、アンガスのイニシャルから取られているみたい。The Szczur(⑦)はRAT、The Toor(⑧)はBig Muffのクローンだね。

LF-7(⑨)はどう使っているんですか?
LF-7はフィルターだけど、DRIVEが付いているからけっこう便利。ちょっと激しめのパートで使っていて、「Knees Deep」で踏んでいるよ。
歪みペダルはけっこう重ねがけしているのでしょうか?
そう。もっと少ない台数にまとめられなくもないと思うけど、ノブを細かく調整しなくて済むほうが好きなんだよね。組み合わせは曲ごとに違うけど、「Silence Is Golden」ではかなり歪ませていて、RogerThatとThe Toorを一緒に使っている。「I’m Not Getting Excited」ではRogerThatとThe Szczurの組み合わせ。その2曲はどっちもヘヴィなリフだからね。
ディレイの使い分けはどのように?
ディレイはずっとMXRのCarbon Copyを使っていたんだけど、ジョナサンがすごく高機能なThermae(⑬)を購入して、それを借りているんだ。設定やテンポをいくつか保存できるから便利なんだよね。Carbon Copyだと、いちいちノブを調整しなきゃいけなかったから、かなり助かっている。
Benson Delay(⑫)はかなりブティック感のあるディレイ。曲間のつなぎとか、新曲のちょっとしたパートで使うことが多くて、そこまで複雑なことはしてないんだ。新しい曲ではディレイを2つ同時に使うこともあるの。どっちも甲乙つけ難いくらい気に入っているよ。
DE7(⑪)の使い方は?
今後もボードに居座るかはわからないんだ。ちょっとした追加要員みたいな感じだけど、本当に良いペダルだよ。
Compressor MKⅡはクリーン・サウンドのみで踏んでいるんですか?
大体そうだね。ピッキングがハッキリしたクリーン・サウンドの時にちょっとした煌めきを加えてくれるし、ブーストもしてくれる。ディレイと一緒に使うこともあって、「Out Of Sight」や「Take」のエンディングでも使っていると思う。「Take」ではアンプのリバーブも一緒に使っているの。
アコースティック・ギターに搭載されたTrance AudioのAmulet Ultra Dual Mono(コンタクト・ピックアップ)からの信号の流れも教えてください。
コンタクト・ピックアップの信号は、もう1台のPolytune 3 Mini(⑭)を通ってからACV-1(⑮)に入っている。ACV-1は「Metal」でシマーっぽい感じを足すために使っているんだ。この曲はかなりジャングリーだからね。
2台のチューナーとLS-2を使うことで、アコースティックだけ、エレキだけ、あるいは両方同時にも出せるの。

2026年2月24日(火)渋谷WWW X
【Setlist】
01. Straight Line Was A Lie
02. No Joy
03. Silence Is Golden
04. Future Me Hates Me
05. Metal
06. Til My Heart Stops
07. Mother, Pray For Me
08. Out Of Sight
09. Not Running
10. Head In The Clouds
11. Mosquitoes
12. Roundabout
13. Jump Rope Gazers
14. Little Death
15. I’m Not Getting Excited
16. Expert In A Dying Field
-Encore-
17. Take
作品データ

『Straight Line Was A Lie』
ザ・ベス
ANTI- / SILENT TRADE
STCD-0021
2025年8月29日リリース
―Track List―
01. Straight Line Was A Lie
02. Mosquitoes
03. No Joy
04. Metal
05. Mother, Pray For Me
06. Til My Heart Stops
07. Take
08. Roundabout
09. Ark Of The Covenant
10. Best Laid Plans
―Guitarists―
エリザベス・ストークス、ジョナサン・ピアース
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