ジョナサン・ピアース(ザ・ベス)が2026年2月の初来日公演で使用したペダルボードを本人が解説! ジョナサン・ピアース(ザ・ベス)が2026年2月の初来日公演で使用したペダルボードを本人が解説!

ジョナサン・ピアース(ザ・ベス)が2026年2月の初来日公演で使用したペダルボードを本人が解説!

ニュージーランド・オークランド出身の4人組ロック・バンド、ザ・ベス(The Beths)が4thアルバム『Straight Line Was A Lie』を引っ提げ、2026年2月に東京(渋谷WWW X)と大阪(Yogibo META VALLEY)で初来日公演を行なった。本記事では、ジョナサン・ピアース(g)がライブで使用したペダルボードを、本人のインタビューとともにご紹介しよう。

取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モリー 機材撮影=星野俊

Jonathan Pearce’s Pedalboard

マーシャル系の歪みを軸にした
ロック・サウンドのボード

【Pedal List】
①Devi Ever Fx / Soda Meiser(ファズ)
②Hotone / OMNI AC(アコースティック・シミュレーター)
③Xotic / EP Booster(ブースター)
④Electro-Harmonix / Superego(シンセ・エンジン)
⑤Wampler Pedals / Pantheon Deluxe Dual Overdrive(オーバードライブ)
⑥Z.Vex / Box Of Rock Vexter Series(オーバードライブ/ブースター)
⑦Empress Effects / Compressor MKⅡ(コンプレッサー)
⑧ProCo / The RAT Reissue(ディストーション)
⑨Chase Bliss / Blooper(ルーパー)
⑩Buzzing Bugs Audio Devices / BB02 Percolator Fuzz(ファズ)
⑪Eventide / H90(マルチ・エフェクター)
⑫DigiTech / FSX3(フット・スイッチ)
⑬BOSS / FS-5U(フット・スイッチ)
⑭CIOKS / DC8(パワー・サプライ)

ギターからの接続順は、まず①Soda Meiserを経由して②OMNI ACへ。②OMNI ACのOUTからはマイク・スタンドに設置されたサンプラーに接続されている。THRUからは③〜⑪の番号順につながれており、最後に⑪H90からステレオで2台のアンプ(VOX AC30CC2)にインプット。⑫FSX3は⑪H90に、⑬FU-5Uは⑨Blooperに接続されている。

メインの歪みは⑤Pantheonで、本機で基本のクランチを作っている。⑦Compressor MKⅡは常時オンにしており、そうすることで演奏中のダイナミクスの変化を抑えているようだ。

「No Joy」や「Silence Is Golden」などの激しい楽曲では、⑤Pantheonに⑥Box Of Rockを重ねて強い歪みを作っている。楽曲の最後などでは、そこに①Soda Meiserを加えて轟音を出すこともあるという。

ギター・ソロでは⑧The RATを使用。本機はオペアンプにMotorolaのLM308Nが搭載されているリイシュー・モデルで、ジョナサンはサウンドを気に入っているとのこと。

②OMNI ACは、12弦ギターを使用する「Roundabout」でアコースティック・ギターのシミュレーター・サウンドを出す際にオン。

③EP Boosterはノブを大きいものに交換し、つま先でブースト量をコントロールできるようにしている。物足りない時にプッシュしたり、アンプのチャンネルを増やすような感覚でオンにしているそうだ。

④Superegoはシンセの代用とのことで、「Till My Heart Stops」や「Roundabout」のBメロを始め、楽曲と楽曲のつなぎでもオンにすることがある。

⑪H90はおもにディレイとチューナーを活用。「Metal」ではなめらかなショート・ディレイを、「Til My Heart Stops」では幻想的なディレイをオンにしていた。ほかに「Straight Line Was A Lie」、「No Joy」、「Expert In A Dying Field」ではフェイザーを、「Future Me Hates Me」ではコーラスを使用しているが、コーラスのパッチは使用せず、ディレイ(Vintage Delay)のタイムを短くし、モジュレーションを強めにかけてコーラスのようなエフェクトを作っているとのこと。そのほうが良いコーラス・サウンドになるのだとか。

Sampler

「Metal」の終盤や「Roundabout」の冒頭でSEを流すために使用されたサンプラー、RolandのSP-404MKⅡ。本機からの信号はRadialのJDI Stereo(DI)を通ってPAに送られる。

サンプラーの横には「No Joy」で使用するリコーダーが置かれていた。

Interview

TimeFactor系のディレイのアルゴリズムは
欠かせない存在になっている。

ジョナサンのペダルボードの接続順を教えてください。

Soda Meiser(①)は、前段にバッファーがあるとサウンドが変わってしまうから先頭に置いている。OMNI AC(②)はサンプラーへのライン入力のための装置としても使っているし、「Roundabout」ではエフェクトをかけてアコースティックっぽいサウンドを作っているんだ。だからこのボードはエレキ・ギターだけのシグナル・チェインではないんだよ。

なるほど。

OMNI ACからのシグナルはEP Booster(③)に入って、Superego(④)、Pantheon(⑤)にいく。さっきも話したとおり、PantheonはAnalog.ManのKing of Toneのクローンなんだけど、けっこう良いんだよ。Box Of Rock(⑥)は最近使い始めたものだね。以前はWamplerのPlexi Driveを使っていたんだけど、こっちのほうがシンプルで気に入っている。

そのあとの接続順は?

それからCompressor MKⅡ(⑦)、RAT(⑧)、Blooper(⑨)へ。Blooperではいくつかのループを作っているよ。BB02(⑩)はイギリスの友人が作っている、かなりナイスなペダルなんだ。ハーモニック・オシレーター系のファズって感じかな? そして最後にH90(⑪)からステレオで2台のアンプに出力している。

歪みペダルの使い分けを教えてください。

基本的なクランチはPantheonで作っている。ギター・ソロではペダルを重ねていて、例えば「Future Me Hates Me」の基本の歪みはPantheonで、リードでRATを足すんだ。これはよくやる組み合わせだよ。RATは古いリイシューなんだけど、MotorolaのLM308Nが入っていて、ファンタスティックなサウンドなんだ。

もっと強い歪みの曲、例えば「No Joy」や「Silence Is Golden」ではPantheonとBox Of Rockをずっとオンにしている。そして興奮した時や曲の終わりなんかでは、Soda Meiserでクレイジーなまでの轟音にブーストにさせることもあるね。

EP Boosterのノブはゼロ位置になっていますが、どのように使っているんですか?

ノブを大きいものに交換していて、足で回しているんだ。曲によってはアンプのチャンネルが増えたように使えるし、少しプッシュしたい時にブーストもできる。曲に応じて微調整しているんだ。

Compressor MKⅡをメインの歪みペダルのうしろにつないでいるのは、どういった意図があるのでしょうか?

常にオンにしていて、スタジオ用のコンプレッサーみたいな使い方だね。これはタッチのニュアンスをちゃんと残してくれるんだ。ギターを強く弾くとドライブ感が増すだろう? そんな時、コンプレッサーがあるとPAエンジニアがフェーダーを細かく動かさなくて済む。オレはけっこう細かい性格で、音量が足りないと感じるとすぐに上げたくなるんだけど、これのおかげでPAエンジニアをあまり困らせない(笑)。ブーストは3dbくらいで、ほんの少し持ち上げている程度だね。

Superegoはどういう場面で使うんですか?

シンセっぽいサウンドを作るためだね。バンドのルールとして、スタジオでは基本的にシンセサイザーを使わないんだ。だから代わりにSuperegoを使ってギターからシンセみたいな音を出している。「Till My Heart Stops」や「Roundabout」のBメロ、それから曲間をスムーズにつなぐ時にもオンにしているよ。新しいアルバムの中だと「Ark Of The Covenant」でかなり目立つ形で使っている。

H90にはどんなエフェクトをプリセットしていますか?

基本的にはディレイとして使っているよ。オレがギターを弾き始めた頃、最初に買ったエフェクターの1つがLine 6のDL4だったんだ。それは盗まれてしまったんだけど、そのあとすぐにEventideのTimeFactorを買ってね。まだ若くてペダルもそんなに持っていなかったから、TimeFactorのアルゴリズムを相当使い込んで慣れていったよ。おかげで今でもTimeFactor系のディレイのアルゴリズムは欠かせない存在になっている。

フェイザーやコーラスを使う曲もあるけど、実はコーラスに関してはディレイで作っているんだ。コーラスのパッチは使わなくて、Vintage Delayのモジュレーションを強めにかけて、なおかつディレイ・タイムを絞ったほうが良いコーラス・サウンドになるんだよ。フェイザーは「Straight Line Was A Lie」、「No Joy」、「Expert In A Dying Field」で使っているけど、レコーディングではフェイザーを使っていない。そんな感じでライブだけで使う音色もけっこうあるね。

IbanezのTONE-LOKシリーズは特徴的な筐体で製造終了になってしまったペダルですが、エリザベスのボードには2台も入っています。ジョナサンが薦めたそうですが、これを使い続けている理由を教えてください。

特別な理由があるわけじゃなくて、単に気に入っているんだよね。ニュージーランドには日本の電化製品がたくさん入ってきていて、IbanezのTONE-LOKシリーズは当時からけっこう出回っていたんだ。今でもニュージーランド版のeBayでわりと安く見つかるんだよ。特にLF7は代わりになるものがない。こういうことができるペダルはほかにないんだ。DE7はシンプルに良いエコーだよ。リズがダブル・トラックっぽい効果を欲しがっていたから、スタジオにあったものをリズのペダルボードに入れたんだ。

個性的で良いチョイスだと思います。

ノブを押し込むと設定をロックできるし、フット・スイッチも大きくて使いやすいよね。ただ残念なのは、スイッチが壊れやすいところかな。でもこのサウンドが大好きなんだ。ニュージーランドだと中古でたくさん見かけるし、Ibanezのペダルを何台も持っている人もけっこういるんだよ。

2026年2月24日(火)渋谷WWW X


【Setlist】
01. Straight Line Was A Lie
02. No Joy
03. Silence Is Golden
04. Future Me Hates Me
05. Metal
06. Til My Heart Stops
07. Mother, Pray For Me
08. Out Of Sight
09. Not Running
10. Head In The Clouds
11. Mosquitoes
12. Roundabout
13. Jump Rope Gazers
14. Little Death
15. I’m Not Getting Excited
16. Expert In A Dying Field

-Encore-
17. Take

作品データ

『Straight Line Was A Lie』
ザ・ベス

ANTI- / SILENT TRADE
STCD-0021
2025年8月29日リリース

―Track List―

01. Straight Line Was A Lie
02. Mosquitoes
03. No Joy
04. Metal
05. Mother, Pray For Me
06. Til My Heart Stops
07. Take
08. Roundabout
09. Ark Of The Covenant
10. Best Laid Plans

―Guitarists―

エリザベス・ストークス、ジョナサン・ピアース