TSUBASA(Paledusk)が使用する、4本のIbanezのギターを本人が解説! TSUBASA(Paledusk)が使用する、4本のIbanezのギターを本人が解説!

TSUBASA(Paledusk)が使用する、4本のIbanezのギターを本人が解説!

2026年7月に自主企画対バン・ツアー“Who killed Paledusk?? TOUR”を完走したPaledusk。ギタマガWEBでは、ツアー直後のTSUBASA(g)にインタビューを実施。ジャンルを横断するPaleduskの幅広い音楽性、それを支えるTSUBASAの4本の使用ギターを、本人の解説とともにご紹介しよう。

取材・文=三木深 機材撮影=小原啓樹

左から、DAIDAI(g)、TSUBASA(g)

TSUBASA’s Guitars

2026 Ibanez Custom Shop
JPCS RGDR 7-String

TSUBASAの要求に応える
一切の隙がないカスタム・モデル

本器は、TSUBASAが2024年から2年間メイン・ギターとして愛用していたIbanezのPrestige Axe Design Lab RGDR4527ET-NTFを正統進化させた1本だ。RGDR4527ET-NTFの基本的なスペックを踏襲しながら、ライブでの使用を考慮した改良が行なわれている。

これまでのメインであったRGDR4527ET-NTFは、Ibanezの中でも先駆的な仕様を取り込むことで知られる“Axe Design Lab”シリーズから2024年に発売されたSPOT生産モデル。ダウン・チューニングでの使用を想定した26.5インチ・スケール・ネックや、チューニングの安定性に優れたEvertuneブリッジを搭載。さらに、ピックアップにはクリアな音像が特徴のFishman Fluence Modern Humbuckerを2基備えるなど、現代的なメタル・サウンドを鳴らすための要素が随所に盛り込まれていた。

RGDR4527ET-NTFについてTSUBASAは、“かなりのお気に入りでした“と話す一方で、Paleduskの激しいステージングでは、その重量が大きな課題となっていたことも明かしてくれた。

そこで、以前までのメイン器の強みを受け継ぎながらIbanez Japan Custom Shopの協力より課題点を克服し、2026年に製作されたのが本器、JPCS RGDR 7-Stringだ。重量の問題を解決するため、ボディ材をリッチライト・トップ/アフリカン・マホガニー・バックの組み合わせからアルダーに変更。

指板材はリッチライトからエボニーに変更されており、ラジアス値は430mmR(約17インチ)。演奏性の高いフラットな指板が特徴だ。ポジション・マーカーには蓄光素材を使用したルミンレイが埋め込まれている。

ピックアップは、イギリスのBare Knuckle Pickupsから発売されているスピリットボックスのマイク・ストリンガー(g)のシグネチャー・モデルであるHalcyonを2基搭載。ピックアップについてTSUBASAは、“低音域の基音をしっかりと鳴らしてくれるタイプで、どれだけ歪ませても音の輪郭を保ったまま歪んでくれる”とコメント。Paleduskの楽曲はバンド・アンサンブルに加えて多数のシンセサイザーなどがレイヤーされているため、高域が出過ぎないHalcyonの特性によって、各パートの帯域の棲み分けがしやすくなったという。

3wayピックアップ・セレクターは配線が変更されており、従来のフロント、リアのハムバッカーの出力に加え、センター・ポジションを選択することで2つのハムバッカーのコイル・スプリットが出力されることになる。その際にアウター・コイルが選択されることで、骨太なサウンドを生むことができるそうだ。

ブリッジは、以前のメイン器からEvertune F7 Modelを続投。“ピッチの安定感や、強くピッキングしても音程が上がらないことがリズム・ギタリストとしてかなり大きなメリットですね”と語ってくれた。チューニングの狂いの心配がなく、細いゲージの弦を使用できることもEvertuneの利点とのこと。ベンドができる“Zone 3”の少し手前に設定されていた。

ペグにはロック式のGOTOH SG381 MG-Tが採用されている。ナットとペグの間の弦には、Solar Guitars製のChug Damper CD-Lが装着されていた。ヘッド側の弦の余分な共振をミュートすることで、タイトな演奏に役立つアイテムだ。

エンド・ピンには、フェンダーのStrap Blocks(ストラップ・ロック)を装着。

チューニングはドロップFから3弦をさらに半音下げた変則チューニング(7弦から、F-C-F-A♯-D-G-C)で、弦のゲージは.011〜.076。ドロップ・チューニングで各弦のテンション・バランスを適正に確保するため、弦はバラで調達しているそうだ。1弦から6弦までは、イタリアの工房にて手巻きで作られているというRichard Coccoの.011〜.050(.011-.015-.022-.028-.038-.050)を張り、7弦にはD’AddarioのNYXL Nickel Wound .076をバラで張っているとのこと。


2023 Ibanez
Prestige RGDR4327-NTF

ダウン・チューニングを見据えた
頼れるサブ器

本器はバックアップ用の1本。2023年製のRGDR4327-NTFで、改造点はなし。

リッチライト・トップとアフリカン・マホガニー・バックを採用したボディは、これまでのメイン器であったRGDR4527ETと同じ材構成。しかし、本器にはEvertuneブリッジが搭載されていないため比較的軽量なのだという。

ピックアップは、DiMarzioがIbanezのミドル〜ハイエンド・クラスのギター用に開発したというFusion Edgeを2基搭載。

ブリッジはLo-Pro Edge 7が搭載されており、アーム・アップができない位置まで沈めてセッティングされている。TSUBASAはアームは使わず、フィクスド・ブリッジとして使用しているそうだ。

ロック・ナットをはずしている理由について、“弦ゲージがすごく太いのもあって、ロック・ナットを締められないんですよね(笑)”と話してくれた。

ペグはロック式ではないGOTOH SG381を採用している。

メイン器と同じく、エンド・ピンにはフェンダーのStrap Blocksが装着されていた。

チューニングは同じくドロップFで、弦のゲージは.011〜.084。D’Addarioの8弦ギター用のセットであるNYXL0984SB.STRANDBERG BODEN 8-STRING CUSTOM Light NYXL SETから1弦と2弦を抜いて、同じくD’AddarioのSingle Plain Steels .011を追加して張っているとのこと。メイン・ギターと同じチューニングとスケール長であるが、弦のゲージは1周り太いものを使用。その理由として、本器はEvertuneブリッジを搭載していないため、チューニングの安定性を高めるべく太い弦でテンションを確保しているようだ。

Ibanez / RGDR4327-NTF

2019 Ibanez
Axion Label RGD61ALET-MGM

現代的な仕様を凝縮した
6弦のメイン器

本器は6弦のメイン・ギターとして使用している1本。改造点はなし。

ボディはナトーにメイプル・トップを採用。26.5インチのネック材は、ウェンジとパンガパンガという硬質な木材を組み合わせた5ピースで、高い剛性を誇る。

ピックアップはFishmanのFluence Modern Humbucker Ceramicを2基搭載し、Voice切り替え用のミニ・スイッチも備えている。

7弦のメイン・ギター同様に、Evertune F6 Modelを搭載。

ペグはロック式のGOTOH SG381 MG-T。本器にもナットとペグの間の弦にSolar GuitarsのChug Damper CD-Sが装着されていた。

チューニングはドロップC♯(6弦からC♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯)で、弦のゲージは.010〜.052。.010〜.052はセットでも市販されているが、ドロップC♯チューニングでは4、5弦が太すぎると感じるため、こちらも必要なゲージをバラで調達しているそうだ。1弦から5弦をD’AddarioのNYXL1046BT Nickel Wound, Regular Lightから張り、6弦のみD’AddarioのNYNW052 NYXL Nickel Wound .052を張っているとのこと。

Ibanez / RGD61ALET-MGM

2026 Ibanez
Prestige AZ2407F-BSR

多彩なサウンドを引き出す
オールマイティな1本

本器は6弦ギターのバックアップ用。2026年製のAZ Prestigeシリーズの現行モデルだ。

ボディはバスウッドに4mm厚のフレイム・メイプル・トップがあしらわれたゴージャスなルックスが印象的。ネック材には、窒素加熱処理技術である“エステック処理”が施された1ピースのローステッド・メイプルが用いられる。エステック処理された木材は温度変化などによる影響が少ない特徴があり、ツアーで世界中をまわるPaleduskでは、その効果を大いに発揮していることだろう。

ピックアップはすべてDiMarzio製で、フロントがAir Norton、センターがTrue Velvet、リアがThe Tone Zoneとなっている。

ブリッジはGOTOHのシンクロナイズド・トレモロであるT1502Sを採用。前述の7弦のバックアップ器(RGDR4327-NTF)とは対照的に、フローティングした状態でセッティングされていた。

本器のペグもロック式のGOTOH SG381 MG-Tが採用されており、ヘッド側の弦には、Solar Guitars製のChug Damper CD-Sを装着。

本器のエンド・ピンにもフェンダーのStrap Blocksが装着されていた。

チューニングはドロップC♯にセッティング。本器のスケール長は25.5インチであるが、弦のゲージは6弦のメイン器と同じく.010〜.052。使用する弦も同じくD’Addario製であり、1〜5弦がNYXL1046BT Nickel Wound, Regular Light、6弦のみNYNW052 NYXL Nickel Wound .052となっている。

Ibanez / AZ2407F-BSR

Picks

使用ピックは、MASTER 8 JAPAN製のTSUBASAシグネチャー・モデル。EP『PALEHELL』(2024年)のジャケットに描かれたキャラクターを配置したデザインとなっている。

サイズについては、“ちょっと小さめで、JazzサイズとJazz XLサイズの中間くらいです”とコメント。厚みは0.8mmであった。

ピックはポーチに収納されており、ライブ時はJim Dunlopの5010というマイク・スタンド用ピック・ホルダーを使用している。

Jim Dunlop / 5010 マイクスタンド ピックホルダー

Interview

Ibanez / RGDR4527ET-NTF
Ibanez / RGDR4527ET-NTF

リズム・ギタリストとしての役割を
100%担当してくれる。

まずは以前までのメイン器(RGDR4527ET)について、導入した経緯や使用感を教えてください。

Ibanezのギターはこれまでけっこう長い間使わせていただいていたんですけど、7弦でEvertuneが載っているという、自分好みにドンズバのスペックの1本にはなかなか出会えなかったんです。

そんな中、SPOT生産でEvertune搭載モデルのRGDR4527ETがリリースされて、Ibanezのアーティスト・リレーションの方に“ぜひ使わせてください”とラブコールを送り、実際に手にすることになったんですね。これが素晴らしいギターで、2年くらいメイン器として愛用するほど僕の中ではかなりのお気に入りの1本となりました。ただ、ライブで使っていく中で1つ気になるところも見えてきて…… 重過ぎたんですね(笑)。4.6キロぐらいあって。

そうなんですか!

ボディはマホガニーで、トップと指板はリッチライトだったんですよ。たしか、リッチライトは比重で言えばエボニーよりも大きいんじゃなかったですかね。そのぐらい重量感のある木材の組み合わせでした。

そうした点も踏まえて、新しくオーダーした現在のメイン・ギター(JPCS RGDR 7-String)では木材の変更を?

はい。ボディ材はバスウッドと迷ったのですが、アルダーにしました。指板材はエボニーに変更しています。

そのほかの変更点についても教えてください。

もともとはコイル・タップ用のミニ・スイッチが付いていたのですが、それをなくして3wayピックアップ・セレクターのみにしました。シングルコイル1発の音は今のところ使わないだろうと思って、断捨離しましたね(笑)。

僕はPaleduskの楽曲を演奏するうえで、2つのハムバッカーが出力されるセンター・ポジションの音は使っていなかったんです。なのでセンター・ポジションで2つのハムバッカーのアウター・コイルのタップが選択されるように配線を変更しました。

Paleduskの近年の作品を聴くと、リフの音色にリア・ハムバッカー以外のバリエーションもあるように感じます。そういう音色はセンター・ポジションで演奏しているのでしょうか?

そうですね。最新アルバム『PALEDUSK』(2025年)の「HUGs」っていう曲のブレイク・ダウン(01:16〜、02:24〜)だったり、「GOOD DEATH」っていう曲では常にセンターにしています。

以前はピックアップにDiMarzioのFusion Edgeを使用していたと思いますが、Bare KnuckleのHalcyonに載せ替えた理由も教えてください。

最近オーストラリア・ツアーを周って、そこで以前から好きだったギタリストのケヤン・ハウシュマンドといろいろお話しする機会があったんですね。今回このピックアップを選んだのは、彼との交流がきっかけなんです。

彼もHalcyonを使っていますよね。サウンドの印象はいかがですか?

Bare Knuckleのホームページに掲載されているトーン・チャートでは、“ローがすっごく薄くて、ミッドとハイが強い”っていう書かれ方をしていたのですが、良い意味で全っ然違くて(笑)。どちらかというと、下の基音の部分がハッキリ出るタイプだなと感じましたね。

僕は歪みに対して、“基音に対して倍音を乗せまくるもの”というイメージを持っているんですよ。Halcyonは基音の音がすごくしっかりしているので、どれだけ歪ませても音の輪郭を保ったまま歪んでくれるといいますか。

ダウン・チューニングでも、ぼやけずに再生してくれるのでしょうか?

そうですね。特にシングル・ノートのリフでは、ドロップFでもしっかり音程が見えてくるので役立っています。

僕たちの曲は、シンセサイザーなどのバック・トラックがすごく重厚なんですよ。だからこそ、ハイが出過ぎないことで各楽器との棲み分けもしやすいんです。攻撃的でありながら、リズム・ギタリストとしての役割を100%担当してくれるといったイメージですね。

ブリッジにはEvertuneが搭載されていますが、ベンドができる設定にしていますか?

はい。逆にベンドができない設定にすることはないですね。Evertuneは素晴らしいブリッジですよ。でも、ベンドができないと思ってる人が多いのかな(笑)? 全然できるんですよね。

やっぱり僕はリズム・ギタリストとして、ピッチの安定感がすごく重要だと思っているんです。この極限のダウン・チューニングでも、本当に強くピッキングしても音程が上がらないのは、かなり大きなメリットですね。ほかには、テンションを気にしすぎずに細い弦を使えるという強みもあります。

では最後に、メイン・ギターにオレンジのカラーリングを選んだ理由を教えてください。

オレンジ色が僕の好きな色であることと、昔からこういうメタリックの塗りつぶしが好きで、フェラーリやランボルギーニのようなスポーツ・カーをイメージしました(笑)。

僕が特に好きなバンドの1つにペリフェリーというバンドがいて、ギタリストのミーシャ・マンソーもシグネチャー・モデルのカラーリングにスポーツ・カーの塗装を取り入れているんです。それもあって、より自分のルーツを感じられるように、この塗装を選びました。