2026年7月に自主企画対バン・ツアー“Who killed Paledusk?? TOUR”を完走したPaledusk。ギタマガWEBではツアー直後のTSUBASA(g)にインタビューを実施し、現在のライブで使用しているサウンド・システムを解説してもらった。
取材・文=三木深 機材撮影=小原啓樹

TSUBASA’s Sound System

シンプルを極めた
現代的なライブ・リグ
【Gear List】
①Neural DSP / Quad Cortex(アンプ/エフェクト・プロセッサー)
②Shure / GLXD6+(ワイヤレス受信機)
ギターからの信号は①Quad CortexのINPUT 1に入り、OUT 1/LからPA卓に送られる。撮影時は結線されていなかったが、普段は①Quad CortexのFX LOOP(SEND 1)から②GLXD6+のINSTR INへ接続し、②GLXD6+のチューナー機能を使用しているとのこと。
TSUBASAのメインとなるリズム・トーンは、Quad Cortex内で以下のように構築されている。
・ギターの信号をINPUT 1に入力し、まずノイズ・ゲート、次にEQを配置する。
・続いてSPLITTERSブロックで信号を分岐し、一方の信号にオーバードライブをかける。強く歪ませた信号を約10%加えることで、クリーンの音色に歪み成分をレイヤーする。
・アンプの直前にMIXERSブロックを配置し、ドライ信号とオーバードライブを通した信号を1本にミックスする。
・その後、アンプ、キャビネット、ポストEQを通過し、OUT 1/LからPA卓へと出力する。
ノイズ・ゲートとEQはQuad Cortex内のエフェクトを選択しており、オーバードライブにはVEMURAMのJan Rayをキャプチャーして使用。

アンプ・モデルには、Neural DSP製のプラグインであるOmega Ampworks / Granophyreを採用。現時点で、このプラグインはPC専用のプラグインをQuad Cortex内で使用できるようになる“Xアップデート”を受けていないため、Neural Captureを使用してQuad Cortex内部で音色を再現しているという。
アンプ・セクションのみを使用し、各ノブはGAINが4、BASSが5、MIDが4.5、TREBLEが5過ぎ、LEVELが6、MASTERが3、DEPTHが4、DETAILが4.5に設定。GAINスイッチはHIGH、VOICEスイッチはUp、パワー管のシミュレーションには6L6が選択されていた。

キャビネットには、ペリフェリーの元ベーシスト、アダム・“ノリー”・ゲットグッドが手がけるソフトウェア・ブランド、GGDの“GGD Studio Cabs: Contenders Round 1”を採用。ソフトウェア上で作成した“キャビネット+マイク”の組み合わせをIRとしてWAVファイルでエクスポートし、Quad Cortexにインポートして使用している。
セッティングは、マーシャルの1960TVをベースにした“MAR-TV”をSM57で、EVHの5150 Ⅲ 4×12をベースにした“3VH”をKM140でそれぞれマイキングし、それらをブレンド。
Interview
アンプの歪みは
そこまで強くしないことを心がけています。
過去のライブでは、ステージ上にアンプやキャビネットを置いていましたよね。
はい。以前はアンプ・ヘッドのセンド/リターンのリターンに、キャビネット・シミュレーターを抜いた信号を入力して、ステージ上の中音を出していました。
現在は足下のQuad Cortexのみで音作りを完結させていますが、スタイルを変化させた理由は?
中音を鳴らさなくなった理由は、僕が“ライブでお届けしたい音”というものを冷静に考えた時に、Kaito(vo)の歌声やDAIDAI(g)のリード・プレイをおもに聴かせるべきだと思ったからなんです。
そうなった時に、僕もアンプの音を出していると音がデカすぎるというか。特に小さいライブ・ハウスの最前の人にとっては、僕の音ばかり聴こえてきて、それもどうかなと感じまして。DAIDAIはずっとアンプを鳴らしているんですよ。だったらもう、僕の音は外音のスピーカーからだけにしようと思いました。
ツイン・ギターならではの音の棲み分けを意識したということでしょうか。
そうですね。ほかの理由としては、サポート・ベーシストにJohnというメンバーが入ってくれているんですけど、彼がいることによってステージ上のフォーメーションが変わったんですね。今、彼がいる位置に僕がもともとアンプを置いていたので、そういう理由もあってアンプは使わない形になりました。
メインで使用するリズム・トーンは、Quad Cortex内でどのように音作りをしていますか?
まずノイズ・ゲートを入れて、次にアンプの手前にEQを入れます。これは、ギターのピックアップの傾向を少しファイン・チューンしてあげるという目的でよくやりますね。僕らがよく使うドロップFぐらい低いチューニングとなると、ギターのドライ信号の500Hzあたりがけっこう邪魔になってくることが多いんです。
そのあたりを少しスクープしているのでしょうか?
はい。そうすると、500Hz付近より下の欲しい帯域が出しやすくなります。あとは3kHzあたりのアタック感も少し欲しいので、そこを広めにブーストしていますね。
その次に、パラレルでオーバードライブをアンプの直前に置いています。クリーンのシグナルに、めちゃめちゃ歪ませたオーバードライブを10%くらいレイヤーしていまして、“音の芯に対して衣を付ける”みたいなイメージですね(笑)。ここまででドライの音を作りきっています。
アンプは実機をキャプチャーしたものですか?
アンプに関してはめちゃめちゃ右往左往したんですが、最終的にはNeural DSPの“Omega Ampworks Granophyre”というプラグインの音をキャプチャーしました。
キャビネットは何のモデルを使用していますか?
キャビネットにはIRファイルを使っています。僕、キャビシミュにもめちゃめちゃうるさいんですが(笑)、Get Good Drumsっていうところがドラム音源以外にキャビネット・シミュレーターも作っているんですね。その中の“GGD Studio Cabs: Contenders Round 1”というソフトウェアを使っています。もともとはMesa/Boogieのキャビの音が大好きだったんですけど、今はマーシャルのキャビのIRを使っています。
どのようにQuad Cortex内で使うのでしょうか?
そのソフトウェア上でキャビネットやマイキングを設定して、その設定を反映したIRファイルをWAVとして書き出せる機能があるんですよ。そうして書き出したIRファイルを、Quad CortexのIR LOADERに読み込ませて使っています。
ライブでのQuad Cortexの音色切り替えはフット・スイッチで行なっていますか? それともMIDIを使って自動的に切り替えていますか?
フット・スイッチで切り替えていますね。なので、DAIDAIがお立ち台に上がってリードを弾きに行く時とかは、踏んでから上るのでは遅いので、彼が上ってから僕が上手に踏みに行くという感じでやっています(笑)。
それは大変ですね(笑)ライブではチューニングが異なる楽曲でもギターを持ち替えている印象がありません。その場合は、Quad Cortex内のピッチ・シフターを使用しているのでしょうか?
そうですね。基本のチューニングは7弦のドロップFと6弦のドロップC♯なんですが、「DIVE INSIDE FOREVER IN THE DARK」は7弦でさらに半音落としてドロップEになっています。「AFTER DUSK feat.AB」は6弦の半音下げでドロップCですね。どちらもピッチ・シフターで対応しています。
ピッチ・シフターを用いて音作りをする場合、通常とは異なる方法を取り入れるのでしょうか?
ドロップEなどのすごく低いチューニングになってくると、アタックとして聴こえてほしい帯域と、基音として音程を感じてほしい帯域との2つを、どう取捨選択するかが重要になってくるんです。そうなると、やはり野暮ったいミッドがアンサンブルの中で不要になってくることがあるんですね。それこそ僕は、アンプの前段のEQで500Hzあたりを切る、というのはよくやります。
基本の音作りからもう少し削る帯域を選ぶような調整で、大きくは変えていないのでしょうか。
そうですね。あとはアンプの歪みはそこまで強くしないことを心がけています。芯になるドライの音に激歪みのオーバードライブをレイヤーして、より倍音を稼いでいるという感じですね。なので、そのオーバードライブがなかったらけっこう軽い歪みなんです。
最後にペダルについて聞かせてください。「HUGs」の冒頭のリフでは、Tallon ElectricのThe Noiseというピッチ・シフター・ペダルを使用していたと思います。
あー、Noiseですね! 使っています。(00:11〜00:22)
現在のボードにはThe Noiseが載っていませんでしたが、Neural Captureで再現したのでしょうか?
実はQuad Cortexでのキャプチャーは、今はオーバードライブなどの歪み系とコンプレッサーしか対応していないんですね。Noiseはいくつかのモジュレーション・ペダルとWhammyを組み合わせたようなペダルなので、キャプチャーができないんです。なので僕は、Quad Cortex内のエフェクトを使って耳で再現しました(笑)。
“The Noise”は、ペダル・ブランドのTallon Electricとメタルコア・バンドのアルファ・ウルフのギタリスト、スコッティ・シンプソンとセイビアン・リンチとの共同開発によって生まれたピッチ・シフター。1オクターブ・アップ/2オクターブ・アップのピッチ・シフトに加え、入力音に対して半音上/下の音を生成するコントロールを備えるなど、カオティックなサウンドを生み出すことに特化したペダルだ。
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