Event Report|横山健 × G-CLUB Gibson Custom Order Model Launch Party Event Report|横山健 × G-CLUB Gibson Custom Order Model Launch Party

Event Report|横山健 × G-CLUB Gibson Custom Order Model Launch Party

以前、横山健が表紙を飾ったギター・マガジン2024年4月号。巻頭特集内での“ふらっと行こう!楽器屋さんぽ。”という企画で横山が御茶ノ水のG-CLUB TOKYOを訪れたのだが、本企画がキッカケで横山は店長の村木克弥氏(現在はG-CLUB SHIBUYA勤務)と交流を深め、“横山健×G-CLUB”によるギブソン・カスタム・オーダー・ギターを製作する話が持ち上がった。そして2年弱をかけ、ついに夢の1本が完成。本モデルの完成記念トーク・ショー&抽選販売会が2026年8月14日(金)『拡大版!お茶の水大楽器祭り in ソラシティ』にて開催された。その模様をレポートしよう。

取材・文=小林弘昂 撮影=西槇太一

横山健

横山健 × G-CLUB
Gibson Custom Order Model

Gibson Custom Shop Murphy Lab
1958 Les Paul Junior Double Cut with Humbucker
Sparkle Tobacco Burst Ultra Light Aged

Gibson Custom Shop / Murphy Lab 1958 Les Paul Junior Double Cut with Humbucker Sparkle Tobacco Burst Ultra Light Aged(前面)
Gibson Custom Shop / Murphy Lab 1958 Les Paul Junior Double Cut with Humbucker Sparkle Tobacco Burst Ultra Light Aged(背面)

Murphy Labによるエイジドが特徴の
横山健 × G-CLUBコラボ・モデル

ギター・マガジンの“ふらっと行こう!楽器屋さんぽ。”以降、G-CLUB TOKYOへ足繁く通うようになった横山。企画内で試奏したMurphy Labの1959 ES-355 “Bacon”を購入したことは、ファンならば周知の事実だろう。その後も横山は、同店でギブソン・ギターのパトロールを行なうようになっていった。

2024年末のある日、横山は店長の村木氏に“こういうギブソンのギターが欲しいんですけど、カスタムで作れませんかね?”という話を持ちかける。楽器店とギタリストによるコラボ・モデルという前例はなかなか存在しないが、村木氏がギブソン・ジャパンに相談をすると、なんとOKの返事をもらい、そこから2年弱にわたる製作がスタートした。

そして2026年8月に完成したのが、このGibson Custom Shop Murphy Lab 1958 Les Paul Junior Double Cut with Humbucker Sparkle Tobacco Burst Ultra Light Agedである。

ヘッド
指板

ボディ・シェイプは、横山が近年愛用するダブル・カッタウェイのレス・ポール・ジュニア・スタイルを採用。ブリッジはラップアラウンドで、1958年スタイルを踏襲している。ボディとネックは1Pマホガニー、指板はローズウッドという材構成だ。

ピックアップ&ラップアラウンド・ブリッジ

通常、レス・ポール・ジュニアのピックアップにはP-90が搭載されているのだが、本器には現在のカスタム・ショップ製レス・ポール・スタンダードやSGスタンダードなどに搭載されているアンポッテッドのハムバッカー、Custombuckerをチョイス。さらに通常はマグネットにAlnico 3がセレクトされるところ、Alnico 3よりも磁力が強いAlnico 4を採用しており、よりパワーのあるサウンドが持ち味となっている。

ボディ・バックのエイジド
ボディ・サイドのサンバースト

本器の一番の特徴は、なんと言ってもスパークル・タバコ・サンバーストのフィニッシュとMurphy Labによるウルトラ・ライト・エイジド加工だろう。写真ではイエローに見えるが、光の当たり具合ではグリーンのように映るカラーリング。そして1本1本、手作業で加工を行なうトム・マーフィー率いるMurphy Labによるリアルなエイジド技術が、本器に説得力と高級感を与えている。

横山は、“これまでに自分のギターを何本も作ってきましたが、お世辞抜きでこいつが一番かっこいい”と語る。

現状のままでもよく歪み、倍音が艷やかで十分に良い音だが、横山はライブでの使用を考慮してピックアップをハイ・パワーなSeymour DuncanのJB Modelに、ブリッジをオクターブ調整可能なLeo Quan Badass Wraparoundに交換する予定とのこと。

本モデルは完全限定生産され、8月14日(金)に開催された『拡大版!お茶の水大楽器祭り in ソラシティ』と、9月12日(土)、13日(日)に大阪で開催される『Gibson Expo in OSAKA UMEDA』にて一般販売される。

横山健

【Specifications】
●ボディ:1Pソリッド・マホガニー
●ネック:ソリッド・マホガニー
●指板:インディアン・ローズウッド
●スケール:628.65mm
●フレット数:22
●フレット:ミディアム・ジャンボ
●ナット:ナイロン
●ナット幅:42.85mm
●指板エンド幅:56.89mm
●インレイ:パーロイド・ドット
●ピックアップ:Custombucker Alnico 4 Unpotted
●コントロール:ボリューム、トーン
●ポット/コンデンサ:CTS 500K Audio Taper Potentiometers、Paper-in-Oil Capacitors
●ブリッジ:Wraparound
●フィニッシュ:Murphy Lab Aged Nitrocellulose Lacquer
●カラー:Sparkle Tobacco Burst Ultra Light Aged
●付属品:ハード・ケース

【価格】
847,000円(税込)
※完全限定生産

14:00〜
抽選販売会

抽選販売会の様子

まずは、イベント会場にて本モデルのお披露目と、横山が実際にチェックを行なった同ロットの個体の抽選販売会が行なわれた。ギターが登場した瞬間、会場からは“すげぇ!”“かっこいい!”“ハンパねぇ!”という歓声が起こる。

抽選販売会の様子

販売本数が限られており、公正を期すために購入者はくじ引きで決定することに。村木氏と購入希望者が一斉にじゃんけんをし、勝ち残った人から順番にくじを引くというルールだ。

抽選販売会の様子
抽選販売会の様子

箱の中には、即日購入できる“◯”、後日引き渡しの予約販売(認定書に横山の直筆サイン入り)になる“△”と書かれた2つのくじが入っており、1人1人が緊張の面持ちで引いていく。

抽選販売会の様子
抽選販売会の様子

見事“◯”を引き当てた9名には、17時から開催されるトーク・ショーの最前列での観覧、そして横山から直接ギターにサインをもらえる特典が与えられた。“◯”を引き当てた人同士で握手をするアツい場面もあり、もはや戦友のような絆が生まれていたようにも感じられた。

17:00〜
横山健 × G-CLUB スペシャル・トーク・ショー

平日にも関わらず、多数の応募があったというトーク・ショー。厳正かつ公正な抽選を勝ち抜いた約150名が期待に胸を膨らませる中、まずは司会を務める村木氏が、“自分も昔から健さんの大ファンで、本当はみなさんと同じ客席で観たいです(笑)。今回は質疑応答の時間を設けていますので、どんどん健さんと交流してください”と説明し、場を和ませる。

横山健
横山健

そして横山が登場すると会場は大きな盛り上がりを見せ、横山は“ライブハウスでよく見かける方々がたくさんいらっしゃって、お馴染みのスタッフさんもいて、ここはもうホームですね”とコメント。穏やかな空気感でイベントが進んでいった。ここからは村木氏と横山の会話と、お客さんからの質疑応答の一部をお送りしよう。

横山健

横山健

試奏した時、弾いていて頭抱えちゃいましたもん。
“まいったな〜、こいつも良いな、こいつも良いな”って(笑)。

ギターを弾かない方もいらっしゃると思いますので、少しだけこのギターの解説させてください。レス・ポール・ジュニアは通常P-90という出力が低めのピックアップが載っているんですけど、健さんのカスタムによってハムバッカーになっています。レス・ポール・ジュニアは1958年からダブル・カッタウェイになるので、“1958 Les Paul Junior”と名付けました。そして、なんと言ってもこのカラーリングですね?

横山 そうですね。ここが一番のこだわりです。

バーストはいろいろと種類があって、“どこをバーストするか?“という細かいところまでお話をして作ったギターになります。そして今回製作した中から、健さんが使用するものを1本選んでいただきました。

なので、この子たち(今回販売された9本)に会うのは二度目ですよね。で、1本選んでこれが僕の所有器になりました。

横山健

どういうポイントで選んだのでしょう?

これはMurphy Labというシリーズなんですが、どういうものかというと、ダメージ加工みたいなものが施されているんですね。塗装が割れている“クラック”がメインだと思うんですよ。その中でも一番軽い程度のものなんですけど、塗装にラメを入れたことによって、クラックがものすごく良く見える。なので、まずはクラックがかっこいい個体を半分くらいに絞ったんですよね?

まずは見た目からでした。

見た目で半分くらいに絞って、それを全部弾いて、最終的に音も見た目もこいつが一番良いかなと思って、連れて帰りました。

今回、このギターを作ろうと思った経緯は?

まずは村木さんですよ(笑)。当時、“クロサワ楽器 G-CLUB TOKYO”店長の村木さんのところに、僕はお客として行っていたんですね。そこでギブソンのギターを購入していたんですけど、“こういうギター作れませんかね?”とポロッと言ったことがキッカケで、村木さんが“聞いてみましょう”“作れることになりました!”と。そこから時間はかかってしまいましたけど、できたのがこれです。だから村木さんと僕のやり取りでできたギターですね。

僕ね、連れて帰って、さっそく名前つけたんですよ。“Lucky(ラッキー)”っていう名前にしました。僕は犬と一緒に育ったんですね。それがラッキーっていう名前だったんです。「Lucky」っていう曲も書いたくらい。幸運かどうかはさておき、“ラッキー”っていう言葉を大事にしているんですよ。そしてスペシャルなギターができた。こんな素晴らしい機会はなかなかないので、“Lucky”をつけるしかないと思って。それで……ちょっとですよ? 村木の“ラキ”も入ってます。

横山健
横山が所有する個体のヘッド裏には“Lucky”のネーム・シールが貼られていた。

(笑)!

そこで“Lucky”とつけるのに合点がいってしまったというか。学生時代に村木さんのことを“ムラちゃん”と呼ぶ方はいらっしゃったと思うんですけど、“ラキちゃん”と呼ぶ方はいらっしゃらなかったと思う(笑)! だから、そこら辺も良いなって。

村木克弥
この話を聞いて、司会の村木氏は思わずガッツポーズ! まさに成功したオタクである!

ありがとうございます。恐縮です。もうスタジオには持って行かれましたか?

まだです。ちょっとモディファイをしたいので、今日のイベントが終わってからパーツ交換をしようかなと。ピックアップを換えて、ブリッジもBadassタイプっていう調整ができるものに換えたいなと思うんです。僕はこのままでもいいんですけど、ギター・テックが嫌がるんですよ。“調整できないとダメです”って。だから彼のために交換する感じですね。

オクターブ調整ができたほうが良いですもんね。

僕はそんな細かいところまでわかんないんですけどね。でもギター・テックは仕事なので、うるさいです(笑)。あとはストラップ・ピン。今は普通のストラップが付けられるようになっているんですけど、僕は全部ロック式のストラップ・ピンに統一しているんですね。なので、こういうところも換えます。

このままでも全然良いんですよ。倍音っていう“音の色気”がすごいんです。試奏した時、弾いていて頭抱えちゃいましたもん。“まいったな〜、こいつも良いな、こいつも良いな”って(笑)。なのでピックアップはこのままでもいいなと思ったんですけど、“僕といえばコレ”というピックアップが1つあるので、それに換えてライブで使いたいなと考えています。

1つ補足させてください。通常、こういうギターにはCustombuckerというピックアップが載るんですけど、CustombuckerにはAlnico 3という磁石が採用されているんですね。しかし、このモデルにはAlnico 4という少し磁力が強いものが載っているんです。

ミュートした時の、僕独特の“ズンズンズンズン”っていうプレイがあるじゃないですか? あれを再生するためには、“横山健といったらコレだよね”というピックアップに交換したほうがいいと思うんですよ。でも、例えばグリーン・デイみたいなコード・ストローク主体の音楽を弾きたいっていう感じだったら、すごくバランスが良いし、倍音も色気があるし、このままのピックアップでいけますね。歪みますし。“ヒュ〜!”って鳴ってましたもん。お店の中で“ヒュ〜! ヒュ〜!”って(笑)。

閉店したあとのG-CLUB SHIBUYAでこのモデルの選定を行なったんですけど、2人きりで盛り上がりましたよね(笑)。

弾いていて、“うわ、良い音するな〜!”と思って村木さんのほうを見たら、村木さんが目を細めてましたもん(笑)。それくらい、どれも良い音でしたね。

横山健

最近はギブソン・ギターを使われていますよね?

一昨年くらいかな? 『The Golden Age Of Punk Rock』(2024年)っていうパンク・ロックのカバー・アルバムを作ったんですけど、そのライブの頃から……カバーだからかもしれないんですけど……ギブソンのサウンドがピッタリくるようになったんですね。特に近年メインで弾いているランディ・ローズ・モデル、アルパイン・ホワイトが黄色くなったあのレス・ポール・カスタムがものすごく良くて。それは十数年、家に置いていたギターなんですけど、ピックアップを換えてライブ用に持って行ったらフィットして、それでピンときてしまった。

さらに今回のような製作の話もあったりして、ギブソン熱がガーッと高まりましたね。もともとはバンドをやっていこうと決めた時に、1本ちゃんとしたものを買おうと思って手に入れたのがギブソンだったので、本当にギブソンっ子なんですよ。

ランディ・ローズ・モデルの“RR”だけではなく、最近はビリー・ギボンズ・モデルの“Pearly Gates”も使われるようになったり、様々なギブソン・ギターが主役になっているじゃないですか? その中に、このギターも入ってくるわけですよね。

入れたいですね。僕、Murphy Labの青いSGを弾いているんですけど、あれは明らかにレス・ポールとは音が違うし、楽器としての作りも違うんですよ。だからレス・ポールをメインと考えた時に、多少の違和感とか、音の違いとかがあるんですね。そういうこともあってSGは狙って弾かないといけないギターなんですけど、これは素材や作りがレス・ポールとほぼ近い。ボディが薄かったり、ピックアップが1つで、ちょっとポップなレス・ポールみたいなイメージですけど、相当近いと思うんですよ。だからあまり変わらない使い方ができると思いますね。期待大です。

僕が最近好きなレス・ポールはオール・マホガニー・ボディなので、これと同じ構造なんですよね。メイプル・トップが貼られているレス・ポールも好きなんですけど、今はオール・マホガニーのほうがパンチがあって良い気がします。

質疑応答その①
かわいがる予定はありますか?

横山健

健さんはたまにギターを焼いたり、傷つけたり、変わった愛で方をされていますよね。このギターにはもともとエイジドが入っていますが、かわいがる予定はあるのでしょうか?

Murphy Labのようなギターをライブで使うと、普通の新品よりも傷が入りやすいんですね。だからその必要はないと思います。使っていくうちに、あっという間に良い意味でボロボロになるんじゃないかな。そういった意味での特別な愛情は注がなくていいかなと(笑)!

南(英紀)さんも安心すると思います(笑)。

いや、実は南もやってるんですよ(笑)! あの人はサンド・ペーパーとかで削っていて、それはまともなやり方なんだけど……ギターに火をつけるってエキセントリックに聞こえますけど、やってることはサンド・ペーパーも一緒ですからね!? ……そんなことはないですよね、ありがとうございます(笑)。

質疑応答その②
所有しているギブソン・ギターでトップ3を決めるなら?

今、所有しているギブソン・ギターの中で3本を挙げるとするならば、何を選びますか?

まずはランディ・ローズ・モデル。僕の中に再びギブソン・ギターとのコネクションを作ってくれたという意味でも、すごく愛着があります。ランディ・ローズ・モデルは1974年製のリイシューなんですけど、74年のレス・ポール・カスタムってちょっと特殊な構造なんですね。

で、本物の74年製をゲットしたいということで、村木さんに付き添ってもらって御茶ノ水の別の店舗に買いに行ったんですよ。それが“Chico(チコ)”っていう、最近Hi-STANDARDとかでいっぱい弾いているワイン・レッドのレス・ポール・カスタム。これが2本目ですね。

3本目は……あとでメールしますね(笑)!

質疑応答その③
バースト・レス・ポール購入の可能性

健さん、バーストは買わないんですか?

そうなんですよ。最近、その想いをギター・コラムに吐露したばかりなんですが、こうなってくると“ぶっちゃけ欲しいな”という気がしています。文章に書いているとおり、“本当に僕が手を出していいものなのだろうか?”という想いがあるんですよ。僕、ギターをぞんざいに扱うんですね(笑)。……バーストに火を付けちゃいけないですよ! ギター警察に逮捕されますからね(笑)!

コンディションが悪くなっちゃうと、それこそ“世界的な損失だよな?”みたいなことも考えちゃったりするんです。自分の欲としては欲しいけれども、果たして本当に手にしていいのかなとか……いろいろ思いますけど、結局はお値段ですよね(笑)! だから、“状態と価格の釣り合いが取れるものがあればなぁ……”という風に思い始めました。

また、ご報告いたします。あ、メールしますね(笑)!

質疑応答その④
おいしそうな色はどうやって決めた?

横山健

今回のレス・ポール・ジュニアをInstagramで見た時、とてもおいしそうな色だなと思いました。健さんはグリーンがお好きだと思うんですけど、この色に決めた理由は?

昔からあるTVイエロー的なジュニアから発想しました。“それをバーストにしたらどうなるだろう? ラメを入れたらどうなるだろう?”って試したら全然違う見た目になっていって……食べ物からではないですね(笑)!

奥さんとケータイでInstagramを見ていて、奥さんが“キウイの一番おいしそうなところだね”と表現していました。

僕もそう思い始めました(笑)。本当に色味が独特でキレイですよね。最初はInstagramで1点もののブラウンのスパークル塗装のジュニアの写真を見つけて、村木さんと“ジュニアのスパークルがかっこいい”という話をしたのがスパークルを入れたキッカケです。Instagramで見たジュニアは黄色の部分にもグラデーションが入っていて、もうちょっと独特だったんですよ。

夫婦でギターの話ができるのが、すごく良いですね。ありがとうございます。そちらに“ごちそうさま”です(笑)。

質疑応答その⑤
ピックをティアドロップ型に変えた理由

健さんはずっとオニギリ型のピックを使用していましたが、数年前からティアドロップ型に変わりましたよね。その理由は?

僕、自分で“ピッキングが下手だな”と思ってたんですよ。この歳になっても練習はするんですね。オニギリ型のピックで練習をしていて、“オレが悪いんじゃなくてピックが悪いんだ”と思いまして(笑)。

オニギリ型を使っていたのは、若い時の経済的な事情があったんですよ。オニギリ型って均等な形をしているじゃないですか? だから3箇所使えるんですよね。裏と表を合わせれば6回使えるんですよ。ティアドロップは2箇所しかないから、若き日の横山にしたら贅沢品だったんです。で、“今だったら贅沢してもいいんじゃないか?”と思ってティアドロップを使ってみたら、めちゃめちゃピッキングが上手いんですよ(笑)! オニギリ型が僕には合わなかったんだというのが、この歳になってわかりました。

ティアドロップにして上手くなったかはわからないんですが、ピッキングが変わりましたね。

質疑応答その⑥
再販の予定はある?

横山健

今回のギターがすごくかっこよくて、家族会議をしたんですけど、奥さんを説得できず購入を見送ってしまいました。おこづかいを貯めておきたいので、もし今後、再販の計画があったら教えてください。

だってよ、村木さん! 現状、予定はないです。今回、僕と村木さんでこれを作ったということは、おそらくギブソンにとっても特例だったと思うんですね。なので、“今回良いものができました、では第二弾も!”とやってくれるとは限らないんですよ。ただ、さっき村木さんに“こんなに良いものができたので第二弾もやりたいですよね”とポロっと話したので、ギブソンとも相談したいと思います。

でも、時間がかかるので……絶〜対お金貯まります(笑)。

僕ね、いろんなギターをいろんなブランドで作ってきて、どれも思い入れがあるんです。こいつとはG-CLUB SHIBUYAで初めて対面したんですけど、今まで自分が作ってきたギターの中で一番かっこいいって思ったんですよ。お世辞抜きで! そのくらい気に入ってしまった。

ギターって見た目も大事だと思うんですよね。もちろん、“どこがどうだからこいつが好き”っていう具体的な理由も大事ですけど、これを見た瞬間、“僕だよー!”って入ってきてしまったんです。……病院に行ったほうがいいですかね(笑)? 自分で作ってきたギターの中で……ほかのギターに失礼かもしれないですけど……一番好きです。

質疑応答その⑦
ギブソンの良いところって?

今メインで使っているギブソンの良いところと、改善してほしいなと思うところを教えてください。

良いところは、ギブソンであり続けているところ。ギブソンとよそのブランドが同じ形のギターを作っても、やっぱり音は違うんですよね。ギブソンがA社だとして、B社とC社が同じシェイプのギターを作っても、その3本の音は絶対に違うんですよ。それは当たり前のようなことだけど、実感するとありがたいことで。ギブソン・サウンドっていうのは昔のクラシック・ロックの頃から、もう僕らが子守唄のように聴いていたサウンドなので、やっぱり安心するんですよね。安心というか、“コレだよね!”っていう“コレコレ感”。それがギブソンの一番良いところ。

直してほしいところは……言いづらいですね(笑)。もうちょっと日本人プレイヤーに目を向けてほしいな。ギブソン・ジャパンはありますけど、ブランドとして日本人プレイヤーに目を向けてくれたら嬉しいな、くらいの感じです。

横山健
トーク・ショーの最後には、当初予定になかったサウンド・チェックも行なわれた。横山曰く“弾く予定がなくても、弾けと言われたら弾くのがギタリストでしょう!”

18:30〜
購入者サイン会

横山健
横山健のサイン

トーク・ショーのあとは、この日ギターを購入できた9名へのサイン会が行なわれた。それぞれの個体の塗装やエイジド具合を横山が改めてチェックし、1人1人に向けてベストだと思うギターを選定してくれるというサプライズも!

横山健と購入者
横山健と購入者
横山健と購入者
横山健と購入者

横山が直々に、“このギターはネックが太いんですよ”“この個体はクラックがキレイに入っていてハンサムなんです”“ここにクラックが入ってないんだけど、これから増えていく楽しみがあって……”“僕のとシリアルが2つ違いですね”など、まるで我が子の巣立ちを見守る親のように、1本1本丁寧にそれぞれのギターへの思い入れを話していたのが印象的だった。

横山健と購入者
横山健と購入者
横山健と購入者
横山健と購入者
横山健と購入者

自身が製作したギターを通じてファンと交流をし、貴重な時間を過ごせたと語る横山。

横山健

そして楽屋に戻り、後日引き渡し分の認定書にサインを終えたところ……“せっかく来たならメイン会場も見てみたいな〜。実は今狙ってるギターがあって、ドンピシャのやつが置いてあったらヤバいですよ”と、試奏に向かったのだった。この飽くなきギターへの探究心が、今後のオリジナル・モデルへとつながっていくのだろう。

Gibson Custom Shop / Murphy Lab 1959 Les Paul Standard Ultra Heavy Aged Lemon Burst
試奏を行なったMurphy Lab 1959 Les Paul Standard Ultra Heavy Aged Lemon Burst。
真剣な面持ちで検討を重ねる横山。
真剣な面持ちで検討を重ねる横山。

ちなみに横山が狙っていたのは、グリーン・レモン・フェイドかつ、杢目がブスな(※トラ目が入っていないプレーン・トップのことを横山は愛情を込めてブスと表現する)レス・ポール・スタンダード。試奏したのはMurphy Labの1959リイシュー・モデルで、“ブスと美人、両方の良さがあるなぁ……“と、悩むこと数十分。本器を購入したかどうかは、最後の写真から判断していただきたい(笑)。

横山健