英ギター誌『Total Guitar』の読者投票ランキング企画にて、“現代最高のギタリスト”部門で8位を獲得した世界的アーティスト＝ichika。彼がその卓越した技術を直伝解説してくれるスペシャル・セミナーの第2回目は、映えるタッピング・テクニックを中心にお届け。譜面解説と一緒にチェックして、ぜひ自分のプレイに取り入れてみよう！
演奏＝ichika 動画制作／録音＝Takumi Osera 採譜／譜面解説＝石沢功治
Ex-1：タッピングする指によって強さを意識する
ichika 前半部分は、コードに対してタッピングがメロディとリズムを受け持つ役割で、アクセントを右手でつけています。あと、これは2本指のタップが入っていますが、どちらの指も均等に叩いているつもりでも高音弦のほうが弱くなってしまうんです。なので、中指を少し強目な気持ちでタップすると、音としては均等に出ると思います。それにこのフレーズの場合は、4弦と2弦っていう弦の太さの違いもあるので、より中指を重視したほうが良いですね。後半の部分は、タッピングを含めたレガートの上昇下降フレーズですが、12フレットのハーモニックスを鳴らしたまま次に移行にしたいので、出したい音の弦以外は触れないように注意が必要です。
Ex-2：右手が鍛えられる“ザ・エクササイズ”
ichika これは“ザ・エクササイズ”のようなフレーズで、右手で鍛えたいポイントがふたつあるんですよ。ひとつ目は、自分では“スパイダー”って呼んでいるんですけど、人差指と中指で交互に下っていくタッピング。このフレーズで、指板をウォーキングするような使い方が身につけられます。で、後半はダブル・タップのスライドの練習です。スライドで3音をつなげるのは、リズムが寄れたりするんですよね。それに指板上をスライドで行き来する時は、常に均等に力を入れていないとどこかで音がかすれたりしてしまうので、けっこうしんどいと思うんですよ。でも、それを耐えて常に力を指板に伝え続けるっていう意識を持つことが大事です。
Ex-3：タッピング後の薬指ピッキング
ichika タッピングを使っているのは、高音のメロディのつなぎと、最後にちょっと目立ったやり方でルートを弾いている部分だけですね。これはエンディングのフレーズというイメージで考えました。2小節目は右手人差指でタッピングしてスライドするんですが、それを鳴らしたまま右手の薬指で1弦を弾くんです。それが最初は難しいかもしれないので、ここだけくり返し練習するのも良いと思います。それと同様に、一番最後にタッピングした6弦をスライドさせたあとも、人差指をはなさずに薬指でピッキングする。ただ、見た目の派手さに反して、最後の部分はそんなに難しくはないと思います。
ichika
いちか◎1994年生まれ。Instagramに投稿した演奏動画から人気に火がつき、世界中から注目される新世代のギタリスト。叙情的なメロディを独創的なタッピング・テクニックで描き出す唯一無二の世界観が高い評価を集めている。川谷絵音とのichikoroや“Nito”名義でのコラボレーション作品など、ソロ以外でも精力的に活動中。
