“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えたーー“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。スティーヴィー・レイ・ヴォーンとアルバート・キングの名バトル『In Session』はご存知ですか? この中でふたりは「ストマン」を演奏しているんですが、それぞれの個性が爆発して最高なんですよ。未聴の方、まぁまぁ聴いてみて下さい。ぶっ飛びますよ!
文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈
アルバート師匠への愛にあふれるSRVのプレイ
前回、“「ストーミー・マンデイ」のライブ・バージョンをたくさん残している”とご紹介したアルバート・キング(前回の記事はこちら)。敢えてそれらとは別に紹介したい、忘れ難い演奏がこれ。83年12月、カナダのTV局の“In Session”という番組で録られたものだ。
83年といえば、まったく無名だったスティーヴィー・レイ・ヴォーンが、デヴィッド・ボウイ『Let’s Dance』に起用され評判を呼び、勢いに乗りデビュー・アルバムを発表した年。
アルバート・キングのリックに大きな影響を受けたSRV、まさに師弟対決だ。
CDでは、約9分の同曲が収められているが、実はTV収録時には、30分近いスロー・ブルース・ジャムが行なわれ、まずSRVがF♯で「テキサス・フラッド」を歌い、後半にアルバートがキーをA♭に変え、「ストーミー・マンデイ」を歌っていた。その最後の9分。
SRV(ジャムの前半で弦を切り、サブのストラトを使用していた)にオブリガートをうながしたり、ソロを振ったりしつつ、最後はきっちり締めに入る御大。最初は座って余裕を見せていたが、SRVが臆することなく“アルバート・リック”で師匠に挑んでいたので、立ち上がって本気のパフォーマンス。力強くもしなやかな魔法のタッチで、見事に意地を見せている。