“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週ご紹介したいのは、ゲイリー・ムーア! まさに“嵐”!! 月曜日の憂鬱なんてナンのその、すべてを吹き飛ばす勢いの「ストマン」です。
文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈
怒りすら感じる、
超ハードな“嵐の月曜日”
今年、2020年7月、フリートウッド・マックの創始者、ピーター・グリーンが亡くなった。即座に思い浮かんだのがゲイリー・ムーアの顔。
ムーアがデビューするきっかけを作ったのがグリーンであり、ムーア自身も最も影響を受けたと公言。グリーンが長い隠遁生活に入っていた95年に、ムーアは彼に捧げたアルバムも作っていた。ムーアが、そのグリーンより先に逝ってしまっていたのは何とも皮肉だったなあ、と思わずにいられない。
そんなムーア、90年代に一旦ブルース回帰したあと、2001年に再度作った『Back To The Blues』で「ストマン」をカバー。“ストマン進行”を使った、最大公約数的なブルース・ロック・スタイルだ。
アルバート・キングの生前最後の録音が、ムーアのステージで共演した「ストマン」という因縁もあり、イントロはもろにアルバート風に聴こえてくる。その後は、得意の“泣き”のフレーズ、というより、怒り爆発的な、アグレッシブなプレイで畳み込む。
部分的にはピーターと直に通じる弾きっぷりだし、それ以上に、歌い出しなどもピーターによく似ていたりする。ピーターのあとを継いだ、ブリティッシュ・ブルースの末裔、と強く感じさせる演奏だ。