これぞエルモア・ジェイムズ!このブレなさが“ブルース”だ! これぞエルモア・ジェイムズ!このブレなさが“ブルース”だ!

これぞエルモア・ジェイムズ!
このブレなさが“ブルース”だ!

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はスライドの名手、エルモア・ジェイムズ! 自分のスタンスをまったく崩さないストロング・スタイルの「ストマン」、これぞブルースですよ!! なお、音源がサブスクリプション・サービスなどにないので、自力で盤を探す or YouTubeなどで検索してみてほしい。

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


『Whose Muddy Shoes』(1969/Chess)
Elmore James/John Brim

独自の世界を見せる
オンリー・ワンの「ストマン」

スタンダード中のスタンダード、「ストーミー・マンデイ・ブルース」。

やはり原曲のTボーン・ウォーカーと、Tボーン以上にヒットさせたボビー・ブランド版が東西の横綱格。その土俵入りで太刀持ちを務めるのが、オールマン・ブラザーズか。例外的にスウィングさせたルー・ロウルズ版などもあるが、大体の場合はスローで、先の三者の影響をどこか感じさせる。

そんな中、そのどれともまったく違う、独自の世界を見せてくれるのが、スライド・ギターの偉人、エルモア・ジェイムズ。

60年にチェスで吹き込み、録音当時は未発表に終わっていたが、のちに陽の目を見た1曲。

実際の録音時には、何かしらのギター・イントロもあったのだろうが、残された音源はほぼ歌始まり。ストマン進行ではない、ストレートなブルース進行の重厚なミディアム・スロー。

ブルームダスターズの安定した音をバックに、いつもながらのひりついた声に大きなビブラートをかけてダイナミックに歌い、スライド・ギターで応えていく。何ともアーシー。その合間、感情の昂りにつられるように発する“アアァ~ッ”という呻き声がまた強力。ソロは弾かず、3コーラス一気に歌い切る潔さ! 

まさにワン&オンリーだ。

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