前回の置き土産「A Hard Day’s Night」の動画は観てもらえたのかしら(前回の記事はこちら)。
予告したとおり、私見だらけの無責任な勘ながら、件の曲のイントロのジャ〜ンの響きの謎解きに挑戦だ。
自分が新顔のギターに出会ってボディの鳴りを確かめようとする時やLIVEの曲間でチューニングチェックでジャラー〜ンと弾く時に、必ず“ローコード三度抜きのG”を鳴らすのがクセだってことや、たまにリード・ボーカルをとりながらギターを弾く時にコード・チェンジでもできるだけ左手の動きの少ないフォームを選ぶ、って事情を、勝手に「A Hard Day’s Night」を弾きながら歌うJ.レノンに当てはめての妄想解説だから、“それ間違ってるぞ”とか責めはなしでお願いしますよ、FAB4研究家の方々。
まずこの曲、ネックをグッと握ってかき鳴らしながら響きに乗っかって声を出していくタイプのヒトのリズム・ギターがひっぱっているはず。なので右手のグルーヴは重要だろうけれど、左手はそんなに難しい押さえ方はしてないと思うし、コード・チェンジの際の動きもかなり省エネ系だ、と仮定。
“ジャーン!”のあとG→C→G×2ときてF×2→G×2って感じの進行なんだけど、たぶん左手の小指と薬指は3フレットを押さえっぱなしのはず。そのほうが楽だし。
だからGからCに移るってよりも“G一発に4度を混ぜてみたら、歌にテンションかかって気持ちいいじゃん?”なんだよ、きっと。
Fに行く時も小指は3フレットに置いたまま1弦から4弦までをラフにストロークすると、Fadd9の響きがまた歌にいいテンションをかけてくれて具合がよさげ。
てなとこから、あのジャ~ンは歌の5、6小節目のコードを6弦と12弦の2本で同時に弾けばそれっぽくなるはず。6弦も12弦もきっと1~4弦メインで鳴らしてるはず。だってそのほうが楽だし。
12弦は複弦もあるから、それでも同時に12個の音が鳴る計算、充分だ。で、さらに忘れちゃいけないのが12弦ギターは弦のテンションがキツイからコードを押さえると指が痛い。きっとおんなじフォームで弾こうとして、“痛いな”と思ったG.ハリスンは中指で押さえるのやめてG弦は開放にしたんだ。
するとあら不思議、1本のギターじゃ鳴らせない開放Gと2フレのAが同時に響くわけで、これは同時に鳴らした時に“うぉー! かっこいいじゃん”ってなったはず。
あとはギタリストならきっとわかるだろうけど、音色だよね。歪んでないギラギラな音を弾くとなんか得体のしれない倍音が鳴って気持ちいいってのあるじゃん? そのせいで不思議な響きに拍車がかかってるんだと思う。音色は大事だ。
そう言えば、映画『ハード・デイズ・ナイト』としてもうすぐ画質アップしたBOXセットがリリースされるらしい。さすがにデジタル処理でのカラー化とかはされてなさそうでひと安心。白黒には白黒の良さがあるんだ。過度な色ごとはトラブルの元、ご用心を!
あれ? 書き終わってから編集部のヒトに注意をもらいました。
編集 「コードの押さえ方画像がチカチカしてわかりにくいですね。ギター専門誌として見逃せません、色を抜いて下さい」
いまみち 「いやいや、それじゃどの指で押さえるかがわからなくなるじゃん」
編集 「では正しいコード・ダイヤグラムというのを見せてあげます」
というわけで、下記に(もっと)わかりやすい図解を載せてもらえましたよ。
おぉッ、なんか真実味が増した気がする。やっぱ白黒、いいじゃん。色を付けるのはギャラだけで充分だね!
では、また。
いまみちともたか
Profile
いまみちともたか
いまみちともたか◎1959年生まれ。BARBEE BOYSのギタリストとして1984年にデビュー後、佐野元春や井上陽水のレコーディングに参加するなど、多方面で活躍。ほかにも、椎名純平らとのヒトサライ、自身がホストとなってゲストを迎えるスタジオ・ライブ・シリーズ=“カメを止めるな”を主催するなど、精力的に活動中。