黒人音楽へと急接近したジェフ・ベック。続く超名盤『Blow By Blow』で聴けるブラック・フィーリング溢れるプレイ・スタイルは、この第2期ジェフ・ベック・グループで土台が完成した。今回は『Rough And Ready』と『The Jeff Beck Group』の中から黒い香り漂うプレイを抜粋して紹介しよう。
文=編集部 譜例作成/解説=石沢功治 Photo by Andrew Putler/Redferns/Getty Images
歌、バッキング、リズムをギターで表現
ソウル/R&B/ファンクに傾倒していった第2期ジェフ・ベック・グループ。しかし、ベックは単にそういった類の楽曲で鳴っていたギターをコピーするわけではなく、歌やリズム体も含めた“フィーリング”をギターで表現していたのだと思う。このように“模倣”ではなく“吸収する”姿勢だったからこそ、唯一無二のギタリストとなりえたのだ。
『Rough And Ready』と『Jeff Beck Group』の2作品から、その“フィーリング”が垣間見ることができるプレイをモチーフにした譜例をお届けしよう。
タメに黒さを感じる単音イントロ
『Jeff Beck Group』から、Key=Gのファンキーなナンバー「Glad All Over」でのバッキング・リフを土台に模してみた(参考タイム:0’08″〜0’17″)。ハーフ・シャッフルの跳ねたビート感がブラック・フィーリングにあふれている。3小節目の1拍目のA音のオクターブ跳躍は、6弦5fと4弦7fの可能性もあり。
ソウルフルに歌い上げるソロ
『Jeff Beck Group』に収録の、R&Bのバラードを思わせる楽曲「Tonight I’ll Be Staying Here With You」の冒頭から飛び出すイントロのソロを参考に作成した(参考タイム:0’00″〜0’15″)。コードCでは、Cメジャー・ペンタトニックによるタメの効いたフレーズが実にソウルフルだ。F7の手前の5弦6fからのハーフ・チョーキングは、1弦方向への押し下げるベンドかもしれない。
アンサンブルで生きるトリッキーなグルーヴ
『Rough And Lady』の16ビートがご機嫌な「New Ways / Train Train」では、曲中盤でドラムとギター2本のみになる場面が登場するが、その1シーンでの左チャンネルのソロを素材にスケッチした(参考タイム:2’44″〜2’54″)。しっかりタイム・キープしてないと、2小節目の1拍目裏の8分音符が、2小節目アタマに聴こえたりと、拍が裏返りそうになるので要意。