ロック次世代2人組のリアルとスリルの結晶
2020年下期の「SPACE SHOWER RETSUDEN NEW FORCE ARTIST」にも選出された2人組バンド=なきごとの2ndミニ・アルバム。
水上えみり(vo,g)、岡田安未(g,cho)が織り成すオルタナ感満載のギター・アンサンブルのみならず、感情に焼きつくようなリアルな歌と詞世界、常識や固定観念を心地よく裏切るような楽曲展開など、そのひとつひとつが鼓膜と心に残る。
バッキング&リードのオーソドックスなツイン・ギターが絶妙の呼吸とグルーヴを生み出す「ラズベリー」の後半、聴く者をポップの異世界に導く鮮やかなポリリズムと転調。切ないメロディが胸に迫る名バラード「春中夢」に、リバーブ音色のアンビエンスが与える、メロウでメランコリックなシューゲイザー感。静謐と狂騒の極みを3分あまりで活写してみせた最終曲「B」の、ドラマチックなギター激奏で迎える凄絶なエンディング……。
ロック次世代の個性と才気が随所に光る名盤。