ポップな楽曲に熱量を加える
ツイン・ギターによるロックなアレンジ
若者を中心に支持を集める5人組ロック・バンドがメジャー1stフル・アルバムをリリース。その祝祭がごとく、荘厳なストリングス・アレンジの「El Dorado」から始まり、讃美歌のようなコーラスも加わった「開幕宣言」へ。この重厚なアンサンブルの中、アコギによる16分のストロークは楽曲に推進力を与え、ダビングでストリングスにも負けない存在感を演出するギター・ソロは、ロック・バンドとしての矜持を示している。このように、楽曲自体は良質なメロディのポップスだが、スタジオ・ミュージシャンでは出せないロック・バンドならではの熱量をギターが担っているように思う。
「Sunny drop」では、左右で異なる音域のアルペジオが奥行きを演出したと思えば、サビでは山田がコードで支え、沖のオブリは歌メロに寄り添う。「青春旗」は、ブリッジ・ミュートした音価の細かな単音オブリが疾走感たっぷりで、ダブル・チョーキングから熱く始まるキャッチーなメロで組み立てたソロが見事だ。
また、歌謡ロック曲「あなたを求めただけなのに」では、アコギとエレキそれぞれのソロ・パートも。間奏のアコギ・ソロはマイナー調のラテン風メロディで、ラスゲアードのようなピッキングで情熱的な空気感を演出する。そして後半のエレキによるソロは、アコギ・ソロに呼応するようなメロディだが、そのサウンドと速弾きによる味付けでメタルな雰囲気を助長する。
沖&山田の幅広いバックグラウンドを惜しげもなく詰め込んだ、ツイン・ギターのコンビネーションが楽しめる1枚だ。