コロナ禍の影響で、ほんと様々な日常のスタイルが変わってきた。そのせいで、だいぶ不自由さを味わっているけれど、嫌な変化だけってわけでもない。
たとえば、コンビニでの現金支払いの在り方。一時、釣り銭を渡す時に両手で客の手のひらを包む、みたいなスタイルが流行らなかった?
“飴ちゃんあげよね”おばちゃんやキレイどころのお姐さんのお会計時ならともかく、バイト君にアレやられるのが苦手でね、すごく嫌だった。
しばらくすると小銭をレシートに乗せてから渡すって感じに変わっていったけど、“手のひらに置かれる”って図式は変わってないし。
思うにアレは店側の“無意識なマウントどりなのでは?”と思っている。なんか流れ的に、おねだりキッズに小遣いやおやつをめぐんでやってるポーズを決めてるように感じない?
“なにバカ言ってるんだ?”と思ったヒト、実は試したことあるんだ。会計時に代金をトレーに乗せるのではなく、“はい”と手渡したら、受け取るために手を“ちょうだい”のポーズにする際、店員さん明らかにムッとしたのを俺は見逃さなかったのだ。“代金はトレーに乗せろよな”的な舌打ちまで聞こえたかも。
なのに、釣り銭をトレーに乗せて返してくる店員さん率は、だいぶ低かったコロナ前。
“トレーでのやりとりならば立場はイーブンだし、双方気持ちがいいのになぜしない?”なんてこと思ってずっとモヤモヤしていたんだけど、最近は“申し訳ありませんが、お会計はトレーを介してお願いします”なんて貼り紙まで目にするようになってる。“望むところだ、本来そのためにレジ・カウンターにトレーを置いていたんだぜ?”などと、こっそり喜んでみたり。ま、コロナ由来だろうがなかろうがアップデートくり返しつつ、毎度毎度そこから少しだけ角度の付いた世界線でうまく息していけたら素敵だろうな。
世の中には、様々な演奏スタイルがあるけど、セッションにマウントどり合戦な気分で臨むタイプは少し苦手です。素敵なアンサンブルには調和や出し引きのセンスが重要で、一緒の場に居る演奏者へのバトル気分がプレイに出ている(特に)LIVEとかは、観てても素直には楽しめない。
もちろん、“Let’sギター・バトル!”とかフリージャズ系セッションみたいに、一見演奏者同士が闘っているように映りがちな世界があるのは否定しないけれど、そのヒトらだってマウントとろうとしてるのは、“昨日の自分自身に対して”なんですぜ、なんてね。
そこらのバランスが最高な、山木秀夫さんと故・和田アキラさんとの火花散るセッションをどうぞ、では、また!
いまみちともたか
Profile
いまみちともたか
いまみちともたか◎1959年生まれ。BARBEE BOYSのギタリストとして1984年にデビュー後、佐野元春や井上陽水のレコーディングに参加するなど、多方面で活躍。ほかにも、椎名純平らとのヒトサライ、自身がホストとなってゲストを迎えるスタジオ・ライブ・シリーズ=“カメを止めるな”を主催するなど、精力的に活動中。